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被害者が暴行してきた場合の救護義務違反の成否。

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道路交通法では交通事故を起こしたときに、救護義務と報告義務を定めてますが、

(交通事故の場合の措置)
第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。

もしもですよ。
事故被害者が暴行などをしてきた場合はどうなるのでしょうか?

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事故を起こした後、被害者が逆上

判例は東京地裁 平成31年2月20日。
事件の概要です。

ア 原告は,第1事故当時,本件車両を運転し,春日通りを池袋方面から茗荷谷駅方面に向かって進行し,その後方を相手方車両が進行していたところ,(住所省略)で進行方向の道路左側に駐車車両があったため,相手方車両が通り抜けるスペースがなくなり,本件車両と相手方車両が接触しそうになった。Aは,原告から幅寄せされたと感じ,原告の顔を見ようとして本件車両を左側方から追い抜いた。その後,原告は,前方の信号が赤色であったため,相手方車両の右後方を減速しながら進んでいたが,相手方車両が停止した際,ブレーキが間に合わず,本件車両の前方左側バンパー部分が相手方車両の右後方のマフラー部分に接触した(第1事故)。

イ 原告が道路脇に停止した相手方車両の後方に本件車両を停止させると,Aが本件車両の運転席側に駆け寄り,何か言いながら運転席側のドアミラーをたたき,運転席側のドアガラスを何度か強くたたいた。その際,ドアミラーはボンネット側に傾き,その鏡の部分が外れ,鏡がワイヤーでつるされた状態となった

ウ 原告は,本件車両のエンジンをかけて一旦後退させた後,前進させてその場から逃げ出し,Aは原告を追跡した。

(3) 本件交通事故の状況等
ア 原告は,路地裏に入ったり,転回したりを繰り返しながら逃走したが,Aは本件車両の追跡を続けた。そして,原告は,本件道路の第1車線を進行して本件交差点に差し掛かり,左折を開始して本件車両の方向を左に向けたが,前方に停止中の左折車両があったため,同車両の右側方から追い越して左折しようと,ハンドルを右に切って,本件車両の方向を変換して進行した。

イ Aは,本件車両の前に左折中の車両があったことから本件車両は左折できないと考え,本件車両を停止させようとして本件車両を第2車線側から追い抜き,その進路上に相手方車両を停止させた。原告は,急ブレーキをかけたが間に合わず,本件交差点の第1車線上の地点において,5~10㎞毎時の速度で,Aがまたがっていた相手方車両の左側面に本件車両の前部を衝突させた(本件交通事故)。衝突の衝撃により,相手方車両は倒れたが,Aは,体が左に揺れたものの転倒することはなかった。

ウ Aは,本件交通事故後,すぐに本件車両の方に走り寄っていった。原告は,本件車両を右後方に後退させた際,Aが本件車両の運転席に向かってくるのが見えたため,それから本件車両を前進させて,現場から離れた。

エ 本件交通事故により,相手方車両の左後部に擦過痕が生じ,本件車両の前部に擦過痕が生じた。Aは,救急車で病院に運ばれた。

同日中に警察には事故を報告してますが、過失運転致傷、救護義務違反ともに不起訴(起訴猶予)。
公安委員会は救護義務違反を理由として免許取消処分にしましたが、原告が「救護義務違反は成立しない」と主張して提訴したもの。

 

これについて東京地裁は、救護義務違反は成立しないとして免許取消処分を違法と認定。

車両等の運転者が,人身事故を発生させたときは,直ちに当該車両等の運転を停止し十分に被害者の受傷の有無程度を確かめ,全く負傷していないことが明らかであるとか,負傷が軽微なため被害者が医師の診療を受けることを拒絶した等の場合を除き,少なくとも被害者をして速やかに医師の診療を受けさせる等の措置は講じるべきであり,この措置をとらずに,運転者自身の判断で,負傷は軽微であるから救護の必要はないとしてその場を立ち去るようなことは許されないものと解される(最高裁昭和45年4月10日第二小法廷判決・刑集24巻4号132頁参照)。
前記事実関係によれば,原告は,本件交通事故後,本件車両を停止させることなく立ち去ったものであり,直ちに本件車両の運転を停止し十分にAの受傷の有無程度を確かめたとはいえない。
しかしながら,前記事実関係によれば,第1事故後,Aは,本件車両の運転席側に駆け寄り,何か言いながら運転席側のドアミラーをたたき,運転席側のドアガラスを何度か強くたたいたこと,そのためドアミラーの鏡の部分が外れたこと,Aは,原告が第1事故後に逃走すると執拗に追跡したこと,本件交通事故後もAは本件車両の運転席に向かって走り寄ってきたことが認められる。このような第1事故の際のAの暴行,Aの執拗な追跡,本件交通事故後のAの行動等によれば,Aは,本件交通事故による負傷にもかかわらず,原告による救護を望むどころか,かえって本件車両又はその運転者である原告に危害を加えようとしていたことが見て取れるのであり,このような場合には,軽傷の被害者が医師の診療を拒絶した等の場合に準じて,原告のAに対する救護の措置義務は解除されるに至ったと解するのが相当である。
したがって,上記のとおり,Aに対する救護の措置義務が解除された状況下において,原告が本件車両や自己の身の安全を考慮して本件交通事故現場を立ち去った行為は,負傷者救護の措置義務違反を構成しないというべきである。当該行為が緊急避難的行為であったとの原告の主張は,この趣旨をいうものとして理由がある。

東京地裁 平成31年2月20日

とりあえず言えることは

この事件のきっかけは、駐車車両との関係で被害2輪車が「幅寄せされた」と思ったことがきっかけで、しかも赤信号で停止する際に接触事故(第一事故)を起こしたこと。
文面だけを読むと、この事故自体は普通に回避できるような「不注意」なわけで、第一事故を起こさなければ相手が逆上してくることもないし、ましてや救護義務違反により免許取消処分に至ることもない。

 

事故さえ起こさなければ余計なことに絡まれたり、裁判していろいろ苦労することもないので、事故を起こさないことが最大の自己防衛なんでしょうね。

 

訴訟をした人ならわかると思うけど、無駄に絡まれた時点で負けなんです。
裁判にならないように生きていくほうが賢明。
裁判に勝って喜ぶよりも、裁判に関わらない生活のほうがはるかに幸せなのよ。

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