読者様から質問を受けたのですが、正直全然知らない件だったので調べてみました。
2015年に高知市の歩道で男子高校生(当時17)が自転車で警察官に衝突し死亡させた事故で、警察官の遺族が高校生だった男性に約1億1900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が高知地裁であり、西村修裁判長は「過失は重大」などとして男性に約9400万円の支払いを命じた。判決は4日付。
自転車で衝突、相手の警官死亡 9400万円の賠償命令:朝日新聞デジタル2015年に高知市の歩道で男子高校生(当時17)が自転車で警察官に衝突し死亡させた事故で、警察官の遺族が高校生だった男性に約1億1900万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が高知地裁であり、西村修裁判長…
質問内容は「約1億1900万円の損害賠償を求めて約9400万円の支払いを命じたということは、被害者になった警察官にも過失を認めたのか?」です。
歩道を時速44キロで走り警察官に衝突
この事故は、無灯火で歩道を走っていた少年に対しパトカーが停止を求めたところ、タバコの所持の発覚を恐れて立ち漕ぎでギアを一番重くして歩道を爆走。
歩道上で待ち構えていた警察官に衝突し、警察官が死亡した事故です。
自転車の速度は刑事事件では「時速約43キロ」、民事では「時速約44キロ」になってました。
結論から言いますと、加害者側は10%の過失相殺を求めていましたが、裁判所は過失相殺を認めず。
自転車の一方的な重過失としています。
損害賠償請求額と判決での認容額に差がある理由は、遺族年金により得る部分を一部相殺したのと、慰謝料の認定で請求と多少差が出たこと。
なんか加害者側がTwitterにて被害者を揶揄するような書き込みを継続していたようで、事故発生から死亡に至るまで2ヶ月の間、遺族感情を逆撫でするような書き込みをしていた点を慰謝料増額理由として請求していたみたいですが、請求額全てを認定したわけではないので多少の差が出た形です。
ちなみに刑事事件のほうは、傷害致死と公務執行妨害で起訴したものの、あとから追加した重過失致死罪を適用して有罪判決。
なんか「小さなこと」で逃亡して、人が死ぬのだからやるせない。
素直に自転車の無灯火で停止して捕獲されていたら、注意止まりの案件ですから。
たまに不思議な判例をみかけますが、以前紹介した広島高裁判決にしても、自転車が歩道で時速40キロですよね。
イマイチ理解し難い速度を歩道で出す人たちについてはよくわからない。

自転車保険の対象…なの?
保険について詳しくないのですが、仮に自転車保険に入っていたとして、このようなケースで支払われるのでしょうか?
というのも、ほとんどの保険は故意又は重大な過失により死傷させた場合には免責条項がついているはずで、「重過失致死罪」(刑事)、「重大な過失」(民事)と判断された事件なわけで。
以前紹介した判例では、被保険者が加入していた保険に「信号無視免責条項」がついていて、信号無視により死傷した場合には支払いしないというものがありました。
なぜ争いになるかというと、「信号無視」なのか「進路変更」なのか?を争いまして、信号無視と判断されたため保険会社は支払い義務がないとしている。

保険に入っていたから安心、というわけではないし、本質的には保険の出番以前にちゃんとしろという話なんでしょうね。
重大な過失ってどこからなのかはちょっとわかりません。
コメント
速度は誰が測定していたんでしょうか?段差のロスは想像以上に大きいので、完全にフラットな歩道でもない限り、とても出せる速度とは思えないのですが。
コメントありがとうございます。
確か防犯カメラ映像の解析だったはずですが、下り坂で6段変速のギアを最も重くして立ち漕ぎで逃走となっています。