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「横断歩道を横断しようとする自転車」の場合でも横断歩行者等妨害等違反は…

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こちらの1:07あたりから登場する対向車(白)ですが、横断歩道を横断しようとする自転車がいるのに通過しました。

さて質問です。

 

「横断歩行者等妨害等違反」は成立しますか?

 

1、違反は成立する
2、違反は成立しない

 

さて、どっち?

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横断歩行者等妨害等違反


結論から言えば、横断歩行者等妨害等違反は成立します。

 

理由はシンプルです。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない

38条1項後段の一時停止義務がなくても、2項の一時停止義務があるからですね。
「横断歩道の手前の直前」とは、横断歩道から概ね5m程度と考えればよい。

2項については、現に横断歩行者がいたかいなかったかを問わずに「手前の直前」に停止している車両がいれば一時停止義務があります。
停止している理由は一切問いません。

所論は、原判示の横断歩道直前に停止していた自動車は、一時停止していたものではなく、「駐車」していたものであるから、本件において、被告人は、道路交通法38条2項にいう「その前方に出る前に一時停止しなければならない」義務を負わないのに、その義務があるとした原判決の認定は失当であると主張する。しかし、被告人の立会のもとに作成された実況見分調書によつて明らかなとおり、原判示道路は、道路標識等によつて駐車が禁止されているし、原判示自動車の停止位置は、道路交通法44条2号、3号によつても停車及び駐車が禁止されている場所であるから、かかる場所に敢えて駐車するが如きことは通常考えられない事柄であるのみならず、同法38条2項にいう「横断歩道の直前で停止している車両等」とは、その停止している原因、理由を問わず、ともかく横断歩道の直前で停止している一切の車両を意味するものと解すべきであるから、本件の場合、被告人の進路前方の横断歩道直前の道路左側寄りに停止していた自動車が、一時停止による場合であると停車或いは駐車による場合であるとにかかわりなく、被告人としては、右停止車両の側方を通過してその前方に出ようとするときは、出る前に一時停止しなければならないのである。従つて、右措置をとらないまま横断歩道に進入した被告人に過失があるとした原判決に誤りはない。論旨は理由がない。

 

名古屋高裁 昭和49年3月26日

横断歩道を横断しようとする自転車に優先権はありませんが

「横断歩道を横断しようとする自転車に優先権がない」というのは正解ですが、横断歩道には38条1項しかないわけではなくて、先日のこれもそう。

これの場所は信号交差点ですが、これならバイクが単なる信号無視なので優先権云々以前の問題だし、

このようにバイクが左折進行してきたなら38条2項の一時停止義務違反になる。

冒頭の映像にしても、横断待ちしていたのが歩行者か自転車かを問わず、そもそも横断待ちの有無を問わず停止車両の側方通過をして前に出る際には一時停止義務を課してますが、2項も「横断歩行者等妨害違反」なんですよね。

 

なので「自転車に優先権があるかないか?」という議論が不要なケースになります。
2項の違反って現実にはまあまああるのかなと思って見てますが、何のために新設した規定なのかを知るとより理解しやすくなると思う。

もともと横断歩道の手前の側端から前に5m以内の部分においては、法令の規定もしくは警察官の命令により、または危険を防止するために一時停止する場合のほかは停止および駐車が禁止されている(第44条第3号)のであるから、交通整理の行われていない横断歩道の直前で車両等が停止しているのは、通常の場合は、第38条第1項の規定により歩行者の通行を妨げないようにするため一時停止しているものと考えてしかるべきであるしたがって、このような場合には、後方から来る車両等は、たとえ歩行者が見えなくとも注意して進行するのが当然であると考えられるにかかわらず、現実には、歩行者を横断させるため横断歩道の直前で停止している車両等の側方を通過してその前方に出たため、その歩行者に衝突するという交通事故を起こす車両が少なくなかったのである。
そこで、今回の改正では、第38条第2項の規定を設けて、交通整理の行われていない横断歩道の直前で停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとする車両等は、横断歩道を通行し、または通行しようとしている歩行者の存在を認識していない場合であっても、必ずその横断歩道の直前で一時停止しなければならないこととし、歩行者の有無を確認させることにしたのである。車両等が最初から歩行者の存在を認識している場合には、今回の改正によるこの規定をまつまでもなく、第38条第1項の規定により一時停止しなければならないことになる。
「一時停止」するというのは、文字通り一時・停止することであって、前車が停止している間停止しなければならないというのではない。この一時停止は、歩行者の有無を確認するためのものであるから、この一時停止した後は、第38条第1項の規定により歩行者の通行を妨げないようにしなければならないことになる。また、一時停止した結果、歩行者の通行を妨げるおそれがないときは、そのまま進行してよいことになる。

 

警察学論集、浅野信二郎(警察庁交通企画課)、立花書房、1967年12月


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