先日、ツールド北海道事故の件について「安全対策検討会」の第1回議事要旨が公表され、第2回の安全対策検討会が開催されたことについてまとめましたが、

一応この「安全対策検討会」についてはメディアが取材希望を出せば取材可能らしい(会見はオンラインとありますが)。
https://2023.tour-de-hokkaido.or.jp/download.asp?id=312
それはそうとして、第2回安全対策検討会について報道しているのは見たところHBC北海道放送くらいなので、すでにマスコミの関心も薄れているんだろうなと思いますが、ちょっと気になる点。
国内最大規模の自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」の死亡事故から3か月半余り…28日午前、再発防止策などを提言する第三者委員会の2回目の会合が開かれたものの、原因解明がすすまず、来年の開催は事実上“困難”の見通しです。
第三者委の会合後、取材に応じた公益財団法人「ツール・ド・北海道協会」の高松泰常務理事…来年については「開催ありきで話をすすめてしまうと、検証の妨げになることが懸念させる」などとして“白紙”を強調。
しかし、死亡した選手の関係者への聴き取りなどは「情報が錯綜、事故原因の解明はすすんでいない」ということです。
(中略)
一方、事故の原因については「さまざまなヒューマンエラーが重なった」と指摘しただけで、第三者委では「追及していない」としています。
Yahoo!ニュースYahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。
一見すると「原因の解明は進んでいない」「事故の原因については…追及していない」と矛盾するかのようになってますが、前者の発言はツールド北海道協会、後者の発言は第三者委員会という意味ですかね。
「解明は進んでない」「追及していない」では意味がわかりませんから。
ところで、第三者委員会の目的についてはこのように書いてあります。
令和5年9月8日午前11時37分ころ、「ツール・ド・北海道2023」第1ステージの競技中に発生した事故を受け、事故の調査分析を行い、二度とこのような事故を起こさないための総合的な安全対策を検討するものである。
ツール・ド・北海道安全対策検討会の開催について | ツールド北海道2024 国際大会
結局、第三者委員会の目的としては「事故の調査分析」を掲げながらも、「様々なヒューマンエラー」とし「分析していない」と語り出す。
一方、事故の原因については「さまざまなヒューマンエラーが重なった」と指摘しただけで、第三者委では「追及していない」としています。
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「事故の調査分析」を掲げながらも「分析していない」というなら、そもそも「する気がない」と受け取られても仕方ないでしょ。
例えば警備員が一般車両をスルー状態で進入させていたりしますが、そもそも主催者が警備員に対してどのような指導を行っていて、一般車両が来たときにどのように警備員が行動するように指示を出していたのかなと「原因」となる部分は公表しない気なんですかね?
下記にしても、
・なぜ先導車がいなかったのか?
・最初からそういう状況になることが予想されていたのか?
などは明らかにしていかない方針なのだろうか。
9月8日に自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」で起きた交通事故で、死亡した選手が走っていた21人の集団の前には対向車に注意を呼びかける「先導車両」がいなかったことが29日、わかった。
死亡選手の前に先導車なし 「ツール・ド・北海道」第三者委が初会合:朝日新聞デジタル9月8日に自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」で起きた交通事故で、死亡した選手が走っていた21人の集団の前には対向車に注意を呼びかける「先導車両」がいなかったことが29日、わかった。専門家でつく…
検討会では、事故発生当時、死亡した選手の前方約2キロにわたって誘導バイクなど関係車両が走っていない区間があったと考えられるとする協会の調査結果を報告。
衝突前2キロ誘導車なし ツール・ド・北海道死亡事故 検討会初会合:北海道新聞デジタル自転車ロードレース「ツール・ド・北海道2023」で先月発生した選手の死亡事故を受け、大会を主催するツール・ド・北海道協会は29日、事故原因の調査や今後の対策を有識者らで議論する「安全対策検討会」の初会...
第三者委員会では「分析していない」「様々なヒューマンエラー」とし、ツールド北海道協会としては「解明は進んでいない」と語る。
警察の捜査情報が協会には来ない、という事情は当然あるでしょうけど、そもそも原因究明を「する気」があるのかすらわからない。
一応、今後開催するとした場合には道路全幅使用区間を増やすみたいな話は出ているようですが、
安全対策検討会・萩原亨委員長
「交通量が少ない道路であれば、全幅使用ということをもう少し進めてもいいんじゃないか、ということで(まとまった)」
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風化させておしまいにしそうな雰囲気。
「なぜ警備がザルになったか?」「主催者が警備員にどのような指示を出していたのか」などの原因究明はせずに「結果的にいろいろ足りなかった」みたいな結論にしておしまいになるような予感しかしませんが、マスコミ的にもすでに興味がないんでしょうね。
自転車系メディアはなおさら…なのかな。
なので今後も同じような話しか出てこない気がします。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
なんか高島屋のケーキの一件みたいですね。原因究明する前に調査をやめる。
コメントありがとうございます。
ケーキも何らかのヒューマンエラーでしょうし、追及しないのもある意味ではヒューマンエラーなのかもしれません。
ケーキの一件は、今までは2週間冷凍室に入れるところを、イチゴの入荷が間に合わず24時間程度に短縮したそうです。実験では一晩で凍ったらしいのですが(恐らく一箱だけを置いて)、仮に箱を積んであった場合には隣り合う箱が断熱材の役割をするので、中心付近のケーキが凍るには時間を要するはずです。ですが、冷却時間の影響ではないと発表されています。
コメントありがとうございます。
個人的には、原因が不明だと発表するのが早すぎた気がしてます。
ろくな調査をしないまま原因不明だと…
「追究」と「追及」の違いではないでしょうか。
https://salon.mainichi-kotoba.jp/archives/110182
「追及していない」とは言ったけど
「追究していない」とは言っていない、みたいな
コメントありがとうございます。
そこまで考えて発言していたら逆に怖いです…どちらにせよ調査機関ではない第三者委員会には限界があるのである程度は予想してましたが。