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電動キックボードひき逃げ事件、事故映像が公開に。問題はどこにあるのか?

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先日から名古屋で起きた「電動キックボードひき逃げ事件」が話題になってますが、なんでこういう人って逃げるのでしょうか?
事故映像が公開されています。

逃げるとかあり得ないですよね。
そして時速20キロ程度でもかなりの衝撃に…

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先に道路交通法のおさらいを

先に事実関係を整理します。
電動キックボードといっても大雑把にいえば二種類あります。

一般原付 特定小型原付
最高速度 30キロ 20キロ
免許 16歳以上不要
ナンバープレート
ヘルメット 努力義務
自賠責保険

見た感じではナンバープレートがついていない違法電動キックボードのようにも見えますが、詳しくはわかりません。

 

先に一般原付と特定小型原付を説明したには理由がありまして、この電動キックボードが進行した方向にはこの標識があります。

この標識は「自動車と一般原付は進入禁止」。
自転車と特定小型原付は逆走OKという意味になる。

(六) 車両の種類の略称
規制標識に車両の種類を記載するときは、次の表の上欄に掲げる車両について、それぞれ同表の下欄に掲げる略称を用いることができる。

車両の種類 略称
一般原動機付自転車 原付

補助標識に「自動車・原付」とありますが、補助標識の「原付」とは一般原付を指すと標識令で決まっているため、自動車と一般原付が進入禁止という意味になります。

 

つまり、この電動キックボードが「一般原付」ならそもそもこの方向に進行することは違反。
しかし特定小型原付であればこの方向に進行することは違反ではないことになり、ちょっとややこしいのです。

 

ちなみに補助標識が「自転車を除く」の場合は、「普通自転車と特定小型原付」が逆走OKになるものの、非普通自転車は逆走NG。

分かりにくすぎて涙が止まらない…

 

補助標識による違い

自動車・原付 自転車を除く
禁止対象 自動車と一般原付は進入禁止 自動車・一般原付・非普通自転車は進入禁止
逆走OK 自転車と特定小型原付は進入可能 普通自転車と特定小型原付は進入可能

これを踏まえて。

民事責任

ひき逃げする奴が悪いのですが、残念ながら歩行者にも過失がつく状況です。

 

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歩行者の過失は、以下。

 

①「横断歩道の付近」なのに横断歩道を使わなかった(道路交通法12条1項)
②直前横断(道路交通法13条1項)

 

特定小型原付の事故判例はまだ無いに等しいのでなかなか難しいところですが(そもそも特定小型原付か一般原付か不明)、歩行者側にもまあまあ過失がつく可能性があります。

 

仮に特定小型原付と考えた場合、特定小型原付を自転車相当と仮定。
基本過失割合35:65に直前横断として歩行者過失+10%とするとこうなります。

歩行者 特定小型原付
45 55

繁華街の狭路で歩行者の横断が予見される場所であることを考慮すると歩行者過失はもう少し下がると思います。

 

仮に一般原付だとした場合、「横断歩道の付近」と「直前横断」を加味すると35:65。
そもそもこの方向には進行できないので重過失として歩行者過失から20%引くようなイメージでしょうか。

歩行者 一般原付
15% 85%

 

なお、ひき逃げ自体は過失割合には含まれないことが一般的。

刑事責任

救護義務違反(道路交通法72条1項前段)が成立します。
被害者がケガしたことを認識した上で逃走しているので、救護義務違反は待ったなし。

 

一般原付・特定小型原付ともに自動車運転処罰法の対象ですが、過失運転致傷罪に問われる可能性があります。
ただしこの件、歩行者もノールック直前横断に見えるので、逃げなきゃ救護義務違反にならなかった上に、過失運転致傷罪も不起訴で民事責任だけになった可能性もあると思われ、下手に逃げた分だけバカなんじゃないかと思うのですが…
(ナンバープレート無しや無保険運行なら別)

 

問題なのはこの電動キックボードが一般原付だった場合、そもそも進入禁止なわけです。

問題なのは危険運転致傷罪の「通行禁止道路」に該当するか?

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

自動車運転処罰法施行令

(通行禁止道路)
第二条 法第二条第八号の政令で定める道路又はその部分は、次に掲げるものとする。
一 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第八条第一項の道路標識等により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分(当該道路標識等により一定の条件(通行の日又は時間のみに係るものを除く。次号において同じ。)に該当する自動車に対象を限定して通行が禁止されているもの及び次号に掲げるものを除く。)
二 道路交通法第八条第一項の道路標識等により自動車の通行につき一定の方向にするものが禁止されている道路又はその部分(当該道路標識等により一定の条件に該当する自動車に対象を限定して通行が禁止されているものを除く。)

この規定とてつもなく読みにくいのですが、「一定の条件に該当する自動車に対象を限定して通行が禁止されているものを除く」とあります。
自動車運転処罰法における「自動車」には原付を含みます(法1条)。
ややこしいのですがこの標識は、

一般原付の進入を禁止しているものの、特定小型原付の進入を禁止していない。
つまり「一定の条件に該当する自動車に対象を限定して通行が禁止されているもの」に該当すると思われますので、危険運転致傷にはならないかと。

 

逃げなきゃ民事賠償責任だけで済んだ可能性もあるのに、無駄にひき逃げの罪を創作してアホなんじゃないかと思うのですが、これだけ映像が残っているなら警察もホンキで探すのでしょう。
おそらくナンバープレートがないから即座にタイーホに至ってないのかなと予想しますが、映像が複数あるのでタイーホは時間の問題かもしれません。

 

警察さんや検察さんは、電動キックボードの犯罪を立件して大々的にアピールしたいんだろうなと思ってみてますが、例えば違法電動アシスト自転車が起こした事故について、危険運転致傷罪(妨害運転)を適用して有罪にした判例も出ています。

自転車が自転車に妨害運転をして有罪に。
「自転車が」被害にあった妨害運転の事例について質問を頂いたのですが、妨害運転罪ではなく「危険運転致傷罪(妨害運転)」であれば比較的最近の事例ですがあります。しかも、自転車が自転車に妨害運転という内容。妨害運転危険運転致傷罪(危険運転致死傷)...

なぜ逃げたのかは知りませんが、警察がホンキを出したら防犯カメラのリレー捜査とかで足取りを追うのでしょうか。

 

しかし、電動キックボードって補助標識もちょっと難しいのでそれなりに道路交通法を理解してないと難しいのですが、衝突して逃げずに救護することは法を理解してなくても当たり前のことですから…

コメント

  1. upmoon より:

    タクシーのドラレコ映像から画像検索するとヒットするAPEX MAXという25km/hのものぽいですね

    防犯カメラから実速度も割り出せそう

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      やはり一般原付ですかね。
      歩行者も直前横断ですし逃げなければそこまで騒ぎが大きくならない気がするのですが…

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