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交通事故が起きて同乗者が「逃げちゃえ」とそそのかした場合。

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ひき逃げ事件って多いですよね。
毎日のようにひき逃げ事件の報道がありますが。

 

ところで、こんな事例を考えてみましょう。

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同乗者が「逃げちゃえ」とそそのかした場合

もしもですよ。
運転者が事故を起こして他人をケガさせたことを認識したところで、同乗者が「逃げちゃえ」とそそのかした場合にはどうなるのでしょうか?

 

一例を挙げます。

被告人は右Aの運転している普通乗用自動車に同乗していて何かドンというような音のしたのを身に感じ更に進行してX方附近に(衝突地点より約180m位のところと認められる)停車し、15m程戻つて道路を見ると更にその先の方に人の倒れているのが見えたので、これは大変なことをしたと思い突嗟に誰も居ないし夜で暗いので逃げて了へば分らないですむと考え、事故後の処置に窮して路上にすくんでいたAに対し「この儘行つてしまえ」等の申し向け、因つてAをしてその場から逃走するに至らせたものと認められるのである。

東京高裁 昭和41年5月27日

事故を起こした際に、同乗者が運転者に「このまま行っちゃえ」とそそのかして運転者を逃走に至らせた事件です。
運転者が救護義務違反(道路交通法72条1項前段)になるのはもちろんですが、今回の被告人は「同乗者」。

 

さて、被告人は何の罪になるのでしょうか。

①道路交通法73条(救護義務の妨害禁止)
②道路交通法72条1項前段(救護義務違反)
③その他

正解は「救護義務違反の教唆犯」。

被告人は道路交通法72条1項前段所定の義務違反の教唆犯としての責を免れないのである。

東京高裁 昭和41年5月27日

なお、最高裁も同判決を是認しています。

道路交通法72条1項に規定する措置、報告等を怠る意思のなかつた運転者等を教唆して、新たに犯意を生ぜしめ、右の義務違反をさせたような場合には、同法73条の妨害罪に当らない旨の原判断は相当である。

最高裁判所第一小法廷  昭和42年3月16日

(妨害の禁止)
第七十三条 交通事故があつた場合において、当該交通事故に係る車両等の運転者等以外の者で当該車両等に乗車しているものがあるときは、その者は、当該車両等の運転者等が第七十二条第一項前段に規定する措置を講じ、又は同項後段に規定する報告をするのを妨げてはならない。

73条は救護・報告する意思がある運転者を妨害する行為を問題にし、72条の教唆犯は運転者をそそのかして一緒に逃げるイメージ。

73条の救護・報告妨害 72条の教唆犯
運転者が救護・報告する意思があるのを妨げて、運転者に救護・報告させないようにする 救護・報告しないことをそそのかす
(教唆)
第六十一条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

なお、どちらも犯罪です。
ダメ絶対。

 

ダメなんですよ。
救護しようとしている運転者を妨害したり、運転者をそそのかして逃走しようとすることは。

 

けどややこしいのは、事故を起こして全く気がつかずに結果的に逃げた形になっているケースは故意がないのでひき逃げの罪にはならないわけで、「そんなもんに気がつかないのに運転すんなよ」という批判はあるでしょうけど、ひき逃げ罪にはならない。

 

なお、教唆犯の場合でも行政処分として免取があり得ます。

救護義務違反

救護義務違反というと昨年話題になった「飲酒運転発覚回避目的でブレスケアを買いにコンビニに寄った事件」があります。
最高裁に上告しているので、まだどうなるかはわからない。

「ひき逃げ無罪」、東京高裁はなぜ飲酒運転発覚回避でコンビニに行ったのに無罪にしたのか?
ちょっと前に、横断歩道を横断中の歩行者をはねた後、被害者の捜索よりも自身の飲酒運転発覚を回避するためにブレスケアを購入するためコンビニに向かった被告人に対して無罪(道路交通法違反、救護義務違反)とした件が報道されましたが 東京高裁はなぜ救護...

そもそもこの事件は横断歩行者事故なので、きちんと横断歩道に接近するにあたり減速していれば起きなかったと考えられますが、事故を起こさないようにするのがまず大前提

 

万が一事故を起こしてしまったときには、速やかに救護して報告する必要があります。
救護義務、報告義務には「直ちに」とありますが、「直ちに」とはこういう意味。

右報告が果して道路交通法72条1項後段所定の報告をした場合にあたるかどうかについて案ずるに、右にいう「直ちに」とは、同条1項前段の「直ちに」と同じくその意義は、時間的にすぐということであり「遅滞なく」又はというよりも即時性が強いものであるところ、同条1項前段の規定によれば交通事故であつた場合、事故発生に関係のある運転者等に対し直ちに車両の運転も停止し救護等の措置を講ずることを命じているのであるから、これと併せてみると同条1項後段の「直ちに」とは右にいう救護等の措置以外の行為に時間を籍してはならないという意味であつて、例えば一旦自宅へ立帰るとか、目的地で他の用務を先に済すというような時間的遷延は許されないものと解すべきである。

 

大阪高裁 昭和41年9月20日

間違いを起こさないようにするのがまず大前提ですが、間違いが起きた以上は「直ちに」だし、逃走をそそのかしたり(教唆)、救護しようとする運転者を妨害してはダメ。

コメント

  1. スレイ より:

    ここ1年?2年?こちらのサイトを拝見していて思いました・・・

    この記事のように『轢いたことに気がつかず立ち去った場合はひき逃げにあたらない』など具体的に解説しすぎてひき逃げした人の言い訳を教えちゃっている気がする記事がたくさんある(苦笑)

    • roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      要は認識の問題になりますが、本人が「轢いた自覚はない」と言い張ったとしても車の破損状況などから認識があったと見なされます。
      なので自供はそこまで強い証拠にはならないのです。

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