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この標識、標示は有効?

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読者様から「電柱に半分隠れた標識は有効なのか?」と質問を頂いたのですが、

どうなんですかね笑。

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電柱に半分隠れた標識は有効か?

たぶん、照れ屋さんなんですよ笑。

道路交通法施行令7条3項は、公安委員会が道路標識を設置するときは、歩行者、車両または路面電車がその前方から見やすいように設置しなければならない旨を規定しており、このことにかんがみても、道路標識は、ただ見えさえすればよいというものではなく、歩行者、車両等の運転者が、いかなる車両のいかなる通行を規制するのかが容易に判別できる方法で設置すべきものであることはいうまでもない

最高裁判所第三小法廷  昭和43年12月17日

このように半分隠れた標識ですが、これが有効かどうかはビミョーです。

駐車禁止の標識が、車道左側の路端ではなく、車道からさらに2、3m離れた歩道上に、しかも家屋に傾けて立てかけてある場合でも、歩道が舗装されているため路端に立てられず、一般に見えないという程のものでもなく、ただうっかりすると見落とすおそれがあるという程度であるときは、客観的にみて該標識の存在を全く否定し去る程度の重大かつ明白な瑕疵が存するものとは解し難いので、施行令に定める設置基準に違反する不当なものというを得ない。

札幌高裁 昭和38年12月3日

個人的にはこのように「あとから言い訳にされたり、揉める要素」は最初から無いようにすべきだと思いますが、世の中テキトーですから…

 

ただまあ、日本の道路交通は道路交通法のみならず過失論が中心。
横断歩道の道路標示の大半が消えていても注意義務は免れない。

被告人は、(中略)、交通整理の行われていない交差点を(中略)に向かい直進するにあたり、過去に同交差点を通行したことがあったため、同交差点出口に横断歩道が設けられ、その白線表示の一部が消失し、一部が残存していることを知っていたのであるから歩行者等が同表示に従って横断することを予見できた上、当時、同表示の手前の右側車線には右折待ちの停止車両があったため、同表示の右方の見通しが困難であったのであるから、同表示の手前で徐行又は一時停止し、同表示に従って横断する歩行者等の有無に留意し、その安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、

 

大津地裁 令和3年2月12日

なので標識の半分が隠れていても、標示が視認可能なら実務上は変わらないような気がします。
標識がきちんとあっても従わない…おっと、やめておきましょう。

おそらくですが

昭和の時代には「標識が有効か?」について争った判例はありますが、道路交通法違反の判例です。
一時停止義務違反で検挙されたとか、速度超過で検挙されたとか。

 

例えば速度超過で検挙されたものの、速度標識が視認できないとした判例があります。

本件道路標識は次に述べる理由により被告人のように市道から本件交差点に進入して左折し府道を東行しようとする車両の運転者に対する関係では適法有効なものであるとはいえない。すなわち、道路標識を設置して交通の規制をするときには、車両がその前方から見やすいように設置しなければ適法有効なものであるとはいえないところ(道路交通法4条1項、同法施行令1条の2第1項)、本件道路標識については、車両の運転者が市道から本件交差点に進入して左折するに際し、本件道路標識の方を注視しているかぎり、北東すみ切りの半ば付近に至れば左約45度斜め前方約10数メートルの距離にこれを見ることができ、さらにその後約10メートル進行する間も左前方にこれを見ることができるのであるが、前記認定の道路状況のもとにおいては、運転者は進路前方の交通の安全確認だけでなく府道を直進東行してくる車両に対する安全確認をもしなければならず、そのためには左折体勢に入りながら右後方を注視しなければならないことにかんがみると、左折にあたつての徐行義務を尽していても、左折しているときには本件道路標識を容易に認識することができないというべきであり、そして左折を終つて直進の体勢になつたときにはすでに本件道路標識は左前方の上方にあつてこれを見ることができないのであるから、結局本件道路標識は左折進行の運転者に対する関係では見やすいように設置されているものということができないのである(本来、交差点における左折車両に対する道路標識は、左折が終了して直進状態になつたときにおいて見やすいように設置すべきものであろう)。してみると、被告人は本件道路標識により最高速度の規制を受けるに由なかつたものであり、これを見落して本件現場において40キロメートル毎時をこえる速度で自動車を運転しても、なんら過失による指定最高速度遵守義務違反の罪責を負うことはないというべきである

大阪高裁 昭和50年5月30日

起訴されないと争う場所がないし、最近はあまり見かけません。
強いていうなら、車両通行帯の標示が適法かを争った行政事件がありますが…車両通行帯の道路標示は「白線」と規定されているのに、進路変更禁止のイエローラインだったから車両通行帯がないと見なすべき!みたいな無理筋の主張なので…
最高裁まで争っていたり、なぜか二度目の提訴をしていたり…

 

これか。

裁判所はテキトーなのか?
えー、大して面白くもない話を。 ずいぶん前に、車両通行帯(進行方向別通行区分、35条)が有効なのか?を争った行政訴訟の判例を挙げたと思います。 東京地裁平成23年7月19日判決です。 この裁判、実は続編があります。 裁判所はテキトーなのか?...

二度目の提訴は一審がチョンボしたせいで差戻しになっていたり、いろんな意味でビックリします。
違法な判決言い渡しで差戻しというなかなか香ばしい事件です。

 

話を戻すと、仮に標識が無効であれば「道路交通法上は」横断歩道がないことになりますが、過失運転致死傷の注意義務としては「そこが横断歩道と認識できるなら」横断歩道として扱われますし、標識が無効だから歩行者に衝突していい理由にもならない。
なので実務上はあまり変わらないのかもしれません。

 

直すべきだとは思いますが。


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