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ノールック右折車と横断自転車の事故。

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何ら難易度が高くないのに起きる謎の事故…

右折車からするとこんな感じでしょうか。

 

・対向車が譲ってくれたと勘違いした(実態は横断自転車を先に行かせるために停止中)

・横断歩道を未確認のまま張り切って右折開始

・事故発生

 

怖いよね。
横断歩道の左右を未確認のまま右折開始するクルマがいるのだから。
過失割合でいうと、だいたいはこんな感じ。

右折車 横断自転車
90 10

右折するのに未確認のまま右折開始すれば、歩行者だろうと自転車だろうと衝突する。
ちなみに以前このような記事を書いてますが、

JAFの横断歩道調査は、事故防止と関係するのか?
毎年のようにJAFが横断歩道での一時停止率を発表しています。 長野県が毎回のように1位になりますが、じゃあ長野県は横断歩行者妨害による事故が少ないのか?という話になりますよね。 それについて見ていきます。 長野県と新潟県の比較 比較的人口が...

JAFの一時停止率調査って、交差点の右左折態様は調査対象外。

調査場所
センターラインのある片側1車線道路で、原則として、調査場所の前後5m以内に十字路および丁字路交差点がない箇所で、道路幅員が片側2.75m~3.5m、交通量が3~8台/分(目安)とし、制限速度が時速40~60km程度の箇所

調査対象
横断歩行者側の車線を走行する自家用自動車、自家用トラック(白ナンバー)

 

信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2023年調査結果)
「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2023年調査結果)」についてご案内します。

記事にも書いたけど、真の一時停止率ってたぶん違う。
一時停止率と事故件数に相関性が無さすぎるので。

 

長野県 新潟県
人口(R4年8月) 2,007,347 2,129,722
一時停止率(R5) 84.4% 23.2%
一時停止率(R4) 82.9% 25.7%
歩行者妨害事故(死亡者) 246(2) 204(2)

そしてもう1つ。
優先権がどうのこうのよりも事故回避義務が強く働くのは当たり前なので右折車の過失が大きいのは当然ですが、「道路交通法上」、青信号だろうと横断歩道を横断する自転車には優先権がない。
道路交通法上の優先権よりも事故回避義務が強くなるのは当たり前ですが、自転車に乗る人はちゃんと理解した方がいいと思う。

 

信号がある横断歩道での自転車についての判示。

交差点を左折する四輪車にもその進行にあたっては前方を確認すべき注意義務があることは当然であるが歩行者用信号規制対象自転車であっても、横断歩道では歩行者が横断歩道により道路を横断する場合のような優先的地位(同法38条1項)は与えられておらず、また、他の車両との関係においてはなお安全配慮義務(同法70条)を負うと解されるから、安全確認や運転操作に過失がある場合は、自転車の運転者は、相当の責任を負わなければならない。

神戸地裁 令和元年9月12日

自転車で交差点を横断するときは、車両が交通弱者である自転車や歩行者に配慮すべきであるから、自身は、信号色と交差点進入直前に接近している自動車がないかだけを確認し、その他、特に減速したり一時停止をしたりする必要はないと考えていたと述べる。しかし、自転車は、横断歩道で横断する際、歩行者のような優先的地位(道路交通法38条1項)が与えられておらず、自動車を含む他の車両との関係ではなお安全運転義務を負い、自ら衝突等を回避するよう行動すべきである

名古屋地裁 令和4年3月30日

自動車が横断歩道に接近する場合、その運転者には、横断歩道によりその進路の前方を横断する歩行者があるときは、その通行を妨害してはならない義務が生じているが(道路交通法38条)、自転車横断帯ではない横断歩道を通行する自転車について、歩行者と全く同じ扱いをすることはできないと解される。したがって、控訴人が自転車に乗って横断歩道を横断中であったことをもって、本件事故につき控訴人に過失が無いということはできない。

平成30年2月16日 大阪高裁

原告は、道交法38条1項が、横断歩道における歩行者及び自転車の優先を定めているから、自転車にとっても横断歩道上は聖域であると主張する。しかし、同条項は、横断歩道を横断する歩行者と自転車横断帯を横断する自転車を保護する規定であると解され、横断歩道上を横断する自転車について、歩行者同等の保護を与える趣旨とは解されない。もっとも、本件歩道は自転車通行が許されているにもかかわらず、本件交差点には横断歩道のみが設けられ、自転車横断帯は設けられていないことからすれば、本件歩道上を走行してきた自転車がそのまま横断歩道を進行しようとすることは自然な成り行きということができ、かかる道路条件に照らすと、本件交差点を左折しようとする車両においても、本件歩道上を走行してきた自転車が本件横断歩道を横断することがあり得ることを想定して、より十分に注意を払うべきであったということができる。

仙台地裁 平成29年5月19日

これら全て信号交差点の判例。
道路交通法上の優先権を争うわけじゃなく注意義務の大小を争うのが民事ですが、青信号で横断歩道を横断する自転車でも優先権がないのは道路交通法に書いてある通り。
優先権がない自転車だから衝突してもいいなんて理由はないので事故回避義務が強く働く右折車に責任が大きいのは当たり前ですが、「青信号だから優先」という考え方も危うい。

 

基本的な考え方ってこれなのよ。

被告は、被告車を運転して横断歩道の設置された本件交差点を右折するに当たっては、前方及び側方の条件に十分注意した上で、進路の前方を通過しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない義務がある(道路交通法38条1項前段参照)にもかかわらずこれを怠り、漠然と右折したために、横断歩道上を進行していた原告自転車を発見するのが遅れ、原告自転車との衝突を回避することができず、本件事故を惹起した過失があるというべきである(なお、原告は、被告に道路交通法38条1項後段の規定する横断歩道の直前での一時停止義務がある旨主張するが、本件交差点に自転車横断帯は設置されていないことに加え、原告は自転車から降りて押して歩いていたものではないことに鑑みると、被告に上記義務は生じないものと解される。)。

東京地裁 平成21年3月3日

右折して横断歩道に接近する場合において、「横断しようとする歩行者が明らかにいない」と言えないなら減速接近義務(38条1項前段)を負う。
その段階で自転車が横断しようとしていたら事故回避義務があるので、優先権にかかわらず右折車が譲るしかないのは当たり前。

 

なので優先権の問題よりも事故回避義務が強く働くのは当たり前ですが、なぜか「青信号だから優先!」という誤った解釈に至る人が…

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。 ○横断歩道を横断しようとする自転...

信号は単に「可能」と「禁止」を分けるだけに過ぎないもの。

「横断歩道を直進」することは道路交通法上は「横断」。
優先権よりも実情を踏まえた注意義務が強く働くのは当たり前ですが、だから「過失」割合なのよ。
「違反」割合ではない。
過失=不注意ですから。

しかしまあ、ノールック右折するクルマは偶然に頼りすぎとしか言えませんね。

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