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自転車はノールックで横断してはならない。

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先日もちょっと触れましたが

世の中不思議ですよね。
いろいろ思うところがあるのですが、 この手の話題になると、横断歩道を横断しようとする自転車に優先権(38条1項)があるのかないのか?が必ずと言っていいほど議論になる。 その議論の中で必ずと言っていいほど出てくる主張がこれ。 このような論理の...

これ。

自転車はイヤホンをつけてノールック横断した様子。

ところで前回記事でも書きましたが、この件は両者の過失が競合しているのは明らか。
クルマは減速接近義務(38条1項前段)と徐行義務(42条1号)、自転車は横断等禁止(25条の2第1項)。

 

基本過失割合はこんなイメージですよと書きましたが、

クルマ 自転車
基本過失割合 70 30
自転車の横断歩道通行 +5 -5
自転車の直前横断 -5~10 +5~10
65~70% 30~35%

解説している弁護士さんも基本過失割合は70:30からスタートで、イヤホン等で修正して60:40くらいと解説している。

 

ただまあビックリするのは、Twitter上では「クルマの過失が100%」とか「自転車はノールックで横断してよい」などと語る人がいたりすること。
それは120%あり得ないので、ある意味衝撃。

(横断等の禁止)
第二十五条の二 車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない

38条は横断歩道を使って横断する自転車を対象にしてませんし、自転車がノールックで横断してよい根拠はどこにもありませんが、一方ではこのクルマのスピードだと仮に歩行者が横断した場合でも衝突してます。
そこがクルマの過失。

 

過失運転致死傷罪判例では、「横断歩行者がいることを確認しないまま漠然進行していたところに自転車が横断してきて衝突した」という体裁で過失認定することが一般的。

進行道路の制限速度が時速約40キロメートルであることや本件交差点に横断歩道が設置されていることを以前から知っていたものの、交通が閑散であったので気を許し、ぼんやりと遠方を見ており、前方左右を十分に確認しないまま時速約55キロメートルで進行した、というのである。進路前方を横断歩道により横断しようとする歩行者がないことを確認していた訳ではないから、道路交通法38条1項により、横断歩道手前にある停止線の直前で停止することができるような速度で進行するべき義務があったことは明らかである。結果的に、たまたま横断歩道の周辺に歩行者がいなかったからといって、遡って前記義務を免れるものではない。もちろん、同条項による徐行義務は、本件のように自転車横断帯の設置されていない横断歩道を自転車に乗ったまま横断する者に直接向けられたものではない。しかし、だからといって、このような自転車に対しておよそその安全を配慮する必要がないということにはならない。

 

東京高裁 平成22年5月25日

要は仮に事故がたまたま起きなかったとしても、横断歩行者に向けた減速接近義務は免除されないし、横断するに当たり左右を確認しないままノールック横断することも許されないわけですが、これほどまでに両者の過失が競合している事例について一方的過失だと捉えるのはだいぶヤバいとしか言いようがない。

 

ちなみにイヤホンについては過失として修正する場合もあれば、直前横断として包括的に捉えて修正する場合もあるので、イヤホンがダメというよりもノールック横断した点がダメ。
なぜか「自転車はノールック横断しても問題ない」という恐ろしい考えを披露する人までいてビックリしますが、理屈の上ではクルマが横断歩道を使って「転回」することは禁止されていない。
もちろん正常な交通を妨害するおそれがあるときは転回禁止ですが(25条の2第1項)、無合図&ノールックでクルマが転回して事故ったとしても、「減速してなかった直進車が悪いヨ!」という発想なのだろうか?

車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する自転車等に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行する義務があるところ(道路交通法36条4項)、被告は、本件交差点に直進進入するに当たり、本件交差点又はその直近で道路を横断する自転車等に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行する義務があり、また、最高速度である時速40キロを遵守する義務があったにもかかわらず、これらの義務を怠り、注意を欠いたまま、制限速度を約20キロも超過した時速約60キロの速度で進行し、本件交差点の約15m手前でようやく原告車を発見したものであり、過失が認められる。

 

また、原告は、自転車に乗って本件横断歩道上を横断するに当たり、左右を確認し、南北道路を通行する車両の有無、動静に注意して横断すべきだった(同法25条の2第1項)にもかかわらず、これを怠り、左方への注意及び安全確認が不十分なまま本件横断歩道上を横断したものであり、過失が認められる。

 

平成21年12月15日 名古屋地裁

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