一応、道路交通法63条の7では交差点を通行する際に自転車横断帯があるなら通行する義務があるわけですが、
第六十三条の七 自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第十七条第四項、第三十四条第一項及び第三項並びに第三十五条の二の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。
時々来る質問や要望。
「自転車横断帯は通らないと違反?」
「義務なんだからちゃんと自転車横断帯を通行しろ」
これらについて。
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いいからやめとけ
要はこういうプレイをする義務があるわけですが、
間違いなく義務です。
ただし、この規定には罰則がなく、警察官から自転車横断帯を通行するように指示されても従わない場合のみ罰則です。
罰則の有無はどうでもよくて、以下の理由から通行しないことをオススメしています。
②横断帯の存在に注意すると交差点手前から左側を注視するしかなく、対向右折車の動向などが疎かになる。
③「対向右折車に特に注意し」と書いてある36条4項に反する。
④メリットがほぼ思い浮かばない。
というよりも自転車横断帯が創設されたのは昭和53年ですが、昭和56年の東京高裁判決にこういう事故があります。
赤信号で停止していた状態から、先行自転車と後続車が左折進行。
自転車が左折進行と同時に右に進路を変えて横断歩道を横断した結果、事故に至った事例(業務上過失傷害罪)。
自転車横断帯がない横断歩道の事故ですが、後続車は自転車が左折すると思ってそのまま左折したところ、自転車は横断歩道を横断したので衝突です。
左折フェイントになるので、何一つメリットがない。
自転車横断帯を通行したかどうかで過失割合もさほど変わらないし(5~10%)、さほど過失割合が変わらないわりには事故りやすくなる。
まっすぐ進んでかまわないです。
ごく一部の「法律を守る」と豪語する人は勝手に守ればいいけど、一般人は無理せず直進した方がよい。
自転車専用信号
自転車専用信号がある場合には、車道を通行する自転車も歩行者用信号に従う義務があります。
それに付随して自転車横断帯があることも。
理屈の上ではこれが違反になります。
ただし、交差点直近まで「自転車専用」を視認できない場合が多いし、無理に急停止するほうが危険。
なので気がつかなかったならそのまま進んでかまわないです。
仮に警察官が赤切符だというなら、以下を示せば済む。
ところで、道路交通法施行令7条3項には、公安委員会が道路標識を設置するときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように設置しなければならない旨を規定しており、このことに鑑みても、道路標識は、ただ見えさえすればよいというものではなく、歩行者、車両等の運転者が、いかなる通行を規制するのか容易に判別できる方法で設置すべきものであることはいうまでもない。しかるに本件道路標識は、前示のように、本件交差点の南東角にある元A銀行建物の角からfを約4.7mも南に入つた場所に設置されていたばかりでなく、その標識(矢印をもつて一方通行の方向を示しているもの)は、正確に西を指示しておらず、約40度も西南方を指示していたというのである。そのうえ本件記録によれば、本件当時、fも北から南への一方通行と指定されていたこと、本件標識のすぐ前(交差点寄り)にはfの駐車禁止をも示すものと認められる道路標識があつて、本件標識はその背後に一部重なり合うようにして設置されていたことが明らかであるから、その設置場所、設置状況にてらし、本件標識か、eの東から西への一方通行を明らかに指示するものとはとうてい認められず、むしろfの北から南への一方通行を指示するもののように見られるのである。このような標識の設置方法は、道路交通法施行令の前記法条に違反するものであり、右標識によつては、fを南下して本件交差点を左折し、eを東行しょうとする車両等の運転者に対し、eの東行を禁止する旨の通行規制が、適法かつ有効になされているものということはできないといわなければならない。したがつて、被告人が、本件道路標識を見落して、eが東から西への一方通行と指定されていることに気付かず、右道路を東に向けて前記原動機付自転車を運転通行したとしても、なんら過失による車両等の通行禁止、制限違反の罪は成立しないものというべきである。それにもかかわらず、本件道路標識が、右eの東から西への一方通行のみを指示しているものであることは疑いを容れないところであるとし、その設置が違法でないことを前提として、右の罪が成立するものとした原判決および同判決の維持した第一審判決は、事実誤認、ないし法令の解釈を誤つて被告事件が罪とならないのにこれを有罪とした違法があり、判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、刑訴法411条1号、3号により、これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認める。
最高裁判所第二小法廷 昭和41年4月15日
道路交通法施行規則
第三条の二
2 令第二条第四項の規定による公安委員会の表示は、別記様式第一の二の二の標示を、当該信号機の信号に対面する歩行者及び自転車がその前方から見やすいように、信号機の灯器に接して設けて行うものとする。
車道を進行しながら横断歩道左側を注視する時点で「前方不注視」だし、見えにくいどころか「見えない」に等しい。
なので、仮に警察官が違反だと騒ぐようなら、「無効な標識により違法な取締り」だと言えばよい。
見えないものを守れというほうがおかしいのだから。
基本的に不合理
残念ながら道路交通法の規定は車道を通行する自転車にとって不合理なものがあるので、自転車横断については「守らない」ほうがオススメ。
当たり前ですが、誰でも理解できる信号や一時停止、左側通行は守る。
シンプルなところをしっかりやればそれで十分です。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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