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赤信号無視でも「公平」に過失相殺する。

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ちょっと前に書いた話で、民事の過失相殺は「平等」ではなく「公平」にすると書きましたが、

過失割合なんてそんなもん。「平等」ではなく「公平」が過失相殺。
先日のこれですが、 報道に出てきた弁護士さんは、基本過失割合が自転車30%のところ、イヤホンなどで修正して自転車過失40%としている。 これに対して、 という人はまあまあ多い。 これってある意味ではこの件にも通じるのかなと思ってまして、 こ...

民法722条2項の過失相殺の問題は、不法行為者に対し積極的に損害賠償責任を負わせる問題とは趣を異にし、不法行為者が責任を負うべき損害賠償の額を定めるにつき、公平の見地から、損害発生についての被害者の不注意をいかにしんしゃくするかの問題に過ぎない

最高裁判所大法廷 昭和39年6月24日

よくよく思い直したら、つい最近のこれですね。

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赤信号無視でも「公平に」

事故現場はここ。

これについて、対面信号がある以上、横断自転車は赤信号無視になってしまいます。

記事で書いたように、管轄署としても信号無視として処理せざるを得ないけど、普段は注意指導もしていないと。
要は「信号規制をしたくてしている」のではなく「たまたま信号規制があると解釈せざるを得ない」だけ。
反対向きに信号がないことは、この横断自転車に信号規制がないことにはできません。

 

で。
「赤信号無視」って道路交通法違反の中では重大。
単に違反を挙げるならこうなる。

加害自転車 被害自転車
左折時徐行、前方不注視 信号無視

違反だけを並べたら横断自転車のほうが悪いことになるけど、実態からすると警察も注意指導してないし、おそらく100%に近い人が信号があるとは思っていない。

 

そこで登場するのが、民事は「平等に」ではなく「公平に」過失相殺するわけよ。
警察的にどうでもいい信号無視だし、ほとんどの人が信号規制すら気付いてない信号無視を過大に捉えることは公平ではないので、過失相殺する際には大して加味されないはず。

 

違反割合じゃなく過失割合なので、単に違反を挙げることが必ずしも公平ではないわけね。
けど警察が捜査して調書を作成する際には、平等に捉えないといけない。
捜査段階では平等に捉えるけど、過失相殺する際には公平に責任を分配することで調整するのよ。

道路交通法通りに捉えることが公平とは限らない

Xを自転車とした場合、道路交通法上は「横断」になります。
歩道から車道を横切り歩道に上がることは横断ですが、クルマBとの関係でいうならクルマBは広路車妨害禁止、横断歩行者妨害禁止の義務があります。
広路車妨害は道路交通法上、車道の話になるので自転車Xに対するものではないけど、民事の過失割合を考える上ではベースがこうなる。

クルマB 自転車X
道路交通法上 横断(劣)
民事 狭路車(劣) 広路車(優)

民事責任を考える上では、クルマBを狭路車、自転車Xを広路車と見なして過失相殺する。
道路交通法の義務とは真逆にすらなりますが、雰囲気的にどっちが優先すべきかと言われたら自転車になるわけなので、「公平に」過失相殺する際にはそうなる。

 

必ずしも道路交通法通りに捉えるようにはなってないのが民事ですが、特殊なケースでは赤信号無視でも大して過失扱いされない。
そうやって「公平に」見るのが民事です。

 

ちなみに冒頭の件の信号無視を、わざわざ非難する人もいないでしょう。
道路交通法上、信号規制から除外する根拠がないから信号無視と捉えるしかないだけで、信号で規制したくてしているわけではないのだから。
けど、どこでどんな不利益を被るかわからないので、これが信号無視になることを理解しておくことも必要。

 

「信号無視」ってパワーワードみたいになるけど、この手のバグはたまにあります。
仮に事故に遭ったときに「信号無視ではない」と主張しても無意味なので、「実態からして重過失として捉えるのは相当ではない」と主張して、実態を示したほうがマシかもね。

コメント

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