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過失割合なんてそんなもん。「平等」ではなく「公平」が過失相殺。

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先日のこれですが、

自転車はノールックで横断してはならない。
先日もちょっと触れましたが これ。 自転車はイヤホンをつけてノールック横断した様子。 ところで前回記事でも書きましたが、この件は両者の過失が競合しているのは明らか。 クルマは減速接近義務(38条1項前段)と徐行義務(42条1号)、自転車は横...

報道に出てきた弁護士さんは、基本過失割合が自転車30%のところ、イヤホンなどで修正して自転車過失40%としている。
これに対して、

いろんな人
いろんな人
チャリのほうが過失が大きくなるべき!

という人はまあまあ多い。

 

これってある意味ではこの件にも通じるのかなと思ってまして、

イッヌは無事??
こちらの件ですが、 そもそも犬はケガしなかったのか?と思う人がいる様子。 一審判決によると、「犬の治療費」として原告(歩行者)が請求し、被告(ロードバイク)は犬の治療費について争わずに認められてます。 なのでイッヌはケガしたものと思われます...

この件はこのような報道があり、過失割合が「自転車過失80%」と報道されたため報道だけを見た人からすれば、チャリカスが暴走した事故だと思うでしょう。

散歩中の犬のリード(引き綱)に絡まって転倒した自転車に腕を引っ張られてけがをしたとして、飼い主の女性が、自転車を運転していた男性に約6900万円の損害賠償を求めていた訴訟は1日までに、大阪高裁で和解が成立した。一審の神戸地裁は自転車側に約1570万円の支払いを命じたが、高裁は過失を重く捉え、自転車の男性が解決金2500万円を支払うことで合意した。

(中略)

一審判決は原告、被告の双方に過失を認めたものの、「慎重な運転が求められる場所だった」と自転車側の安全配慮義務違反を大きく捉え、過失割合を原告3、被告7としていた。原告代理人によると、高裁は割合を2対8とする和解案を提示し、双方が受諾した。

一審判決によると、事故は2015年4月、宝塚市の武庫川河川敷遊歩道で発生。犬を連れた女性の近くを男性のロードバイクが通過した際、リードとロードバイクのチェーンが絡まって男性が転倒した。リードを持っていた女性も右腕を引っ張られて、まひが残った。

【独自】犬のリードに絡まり転倒事故、飼い主と自転車の過失割合は2対8 自転車の男性2500万円支払いで和解(神戸新聞NEXT) - Yahoo!ニュース
散歩中の犬のリード(引き綱)に絡まって転倒した自転車に腕を引っ張られてけがをしたとして、飼い主の女性が、自転車を運転していた男性に約6900万円の損害賠償を求めていた訴訟は1日までに、大阪高裁で和

けど一審判決文を見ると、だいぶイメージが変わる。

本件遊歩道は、公園敷地内の、歩車道の区分がなく、自転車・歩行者の通行区分もない見通しが良好な道路で、交通規制もない。本件遊歩道の路面は平坦なアスファルト舗装で、本件当時は乾燥していた。本件遊歩道は、本件現場の先で、左にカーブしており、カーブ部分の南側には、扇状の階段(以下「本件階段」という。)がある。
本件事故当日、原告は、父母とともに、本件現場付近に車で訪れ、(中略)。各人が一匹ずつリードでつないだ犬を連れていたが、原告が連れていた本件犬が自力で階段を下りなかったため、原告は、本件犬を抱えて本件階段を下りた。原告が、本件階段下の草地で本件犬を下ろしたところ、本件犬は本件階段付近の草を探っていた。本件リードは、リール付きでリードの出し入れをして伸縮できるものであった。なお、原告の父Bは、先に階段を下り、遊歩道を渡って北側の草むらで、自身が連れてきた犬を遊ばせていた。
被告は、ロードバイクである被告車を運転して、本件遊歩道のやや左側を、西から東に向かって、時速約20キロで走行していた。被告は、別紙図面3の①地点で、進行方向の(ア)地点に原告が佇立していること、被告からみて原告の左側の草むらに人(B)と同人が連れた犬がいることを認識したが、この時、原告がリードを把持して本件犬を連れていることは認識していなかった。被告は原告の右側のスペースが広く空いているように見えたため、原告の右側を通過しようと考え、また、進行先で遊歩道が左にカーブしていることから、被告車のペダルを漕ぐのをやめて速度を落として進行し、原告の右側を走行しようとした。被告が、②地点を通過しようとした時、原告が把持していた本件リードと、被告車のチェーン部分等が接触して絡まり、被告車はその場において停止する力を受けた一方、被告の身体は、慣性によって被告車から離れて、前方に進んで芝生の上に倒れ込み、被告車も倒れた。他方、原告は、右腕が引っ張られる形で転倒した。

(中略)

実況見分が行われ、本件現場において、自転車走行時及び停止時の本件リードの視認可能性を確認するために、被告車と同等の大きさの自転車を時速20キロないし25キロの速度で走行させて本件リードの視認状況が確認された。
警察官は、本件リードの存在を認識しない前提で、3度にわたり、通常の状態で前方を注視しながら自転車を走行させる実験を実施したが、本件リードを張った状態及び緩ませた状態のいずれにおいても、本件リードを発見することは困難であった。一方、警察官が、本件リードの存在に注意しながら時速約20キロで自転車を走行させた時には、本件リードを約9m手前で視認可能であった。

図面がないのであくまでもイメージですが(被害者が佇立していた位置に争いあり。文章からは裁判所の認定がわからないので便宜的に真ん中にしました。)

 

こんなイメージから、

こんな感じなんじゃないかと(正確性は保証しません。あくまでもイメージ)。

で。
これをみたら、「自転車の過失が大きいのはおかしい」と思う人がいてもおかしくはない。
警察官が行った実験でもほぼ視認できないわけですし。

 

そこで大事なのは、過失相殺って「平等に」ではなく「公平に」なんですよね。

民法722条2項の過失相殺の問題は、不法行為者に対し積極的に損害賠償責任を負わせる問題とは趣を異にし、不法行為者が責任を負うべき損害賠償の額を定めるにつき、公平の見地から、損害発生についての被害者の不注意をいかにしんしゃくするかの問題に過ぎない

最高裁判所大法廷 昭和39年6月24日

税金を「平等に」徴収したら成り立たないので、「公平に」所得が大きい人からはたくさん取る。
似たようなもんで、強者対弱者の関係において過失相殺(民法722)するときは「公平に」なので、そういうもんだと捉えたほうがいいのかもしれません。

 

義務を果たすことについては平等性が必要ですが、起きた結果の損害賠償は「公平性」なんですよね。

 

それこそ、こんな判例もあります。

 

歩車道の区別がある道路で、車線幅が3.5m、車道外側線から歩道の縁石までは1m。

自転車が先行し、四輪車が時速50~60キロ(指定最高速度40キロ)で接近。

自転車が突如右折横断したため、急ブレーキが間に合わずに衝突した事故です。

過失割合はこちら。

自転車 四輪車
30 70

被告には、原告車が本件道路の南端を走行していることを認識しており、本件道路の北側には大型スーパーが存在するのであるから、原告車が本件道路を横断する可能性を考慮した上、原告車と十分に距離をとってから追い越す、あるいは警音器を鳴らすなど注意喚起をして安全を確保してから追い越すべき義務があったにもかかわらすこれを怠った過失があり、また、制限速度を時速10から20キロ程度超過して被告車を進行させた過失が認められる。

 

名古屋地裁 平成22年12月7日

道路右側に大型スーパーがあるのだから、自転車がノールック横断することが予見可能だしクラクション鳴らすべきだったとしてますが、民事判例ってこういうのが多いのよ。
なかなか凄まじいレベルで「予見可能」を認定し、予見可能な以上は注意義務があるという形になりますが、この判例を真に受けたら大型スーパーと自転車がいたらクラクション鳴らしまくることになってしまいムリがある。

 

けど民事は被害者保護の目的で「公平に」過失相殺するので、ファッ!?と思うような説示に繋がる。
だから保険に入ってないと、話にならないのよ。
ちょっと前にコメントしてきた方にしても、

サイクリングロードでの対歩行者事故。「自転車は回避不可能」は真実か?
こちらの記事について、コメントを頂いたのですが、 あくまでもコメントに頂いた内容なので解説しますが、ちょっと気になる点が。 状況はサイクリングロードで起きました。私と歩行者の進行方向は同じで私が10M程度手前から歩行者を認識しており、ベルを...

この事故態様で歩行者過失が大きい可能性は皆無。
確かにノールックサイドアタックされて「回避不可能」と思う気持ちはわからなくはないけど、民事は「平等に」ではなく「公平に」過失相殺するのだから仕方がないし、注意するしかないのよね。
「平等に」扱われると思わないほうがよい。

 

けど、こういう仕組みなので当たり屋さんが暗躍するのも事実。
15年間で21回の交通事故に遭った人とか判例では出てきますが、「当たり屋じゃねーか!」とツッコミが入るのは当然です。
それこそノートパソコンを買い換えたいために、ノートパソコンを持って自転車に乗り事故に遭って「パソコンが壊れた」として請求するような手口すらありますが、当たり屋とバレたために「請求棄却」になった判例とかもあるのですが…

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