まあまあどうでもいい話になります。
ちょっと前にこんな件がありましたよね。
今日目の前で事故が起きそうだった。
マジで危ない。 pic.twitter.com/dd6XUPUO4K— ぷるぷるプリン (@mogmogtime8) April 8, 2024
これの解説はこちらに書いているので割愛しますが、

以前読者様から聞いたのですが、恐ろしい道路交通法の解釈をする人がいたりする。
左側端が空いているならすり抜け「しなければならない」
何が恐ろしい解釈なのかというと、こんな斬新な主張をする人がいるらしいのよ。

おいおい大丈夫か…と心配になりますが、その主張の根拠はこう。

つまりすり抜けするのは義務(マスト)です!
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び一般原動機付自転車(原動機付自転車のうち第二条第一項第十号イに該当するものをいう。以下同じ。)にあつては道路の左側に寄つて、特定小型原動機付自転車及び軽車両(以下「特定小型原動機付自転車等」という。)にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。
左側端に通行できる余地があるなら、止まったら18条1項に反するという斬新すぎる主張をする人もいるんだって。
もちろん「通行」には「危険を防止するための一時停止」も含まれるので、なんて馬鹿馬鹿しい話なのかと呆れますが、この理論を信じる人からすればすり抜けしない自転車を見て

左側端を通行「しなければならない」なのになぜすり抜けしないんだ!
と憤慨したり、「左側端を通行しなければならない」と主張して危険なすり抜けをするわけでして。。。
テロでも起こしたいのだろうか?
36条4項に交差点安全進行義務がありますよね。
第三十六条
4 車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
噂によると、上記主張をする人は36条4項に「進行しなければならない」とあることから、交差点内で止まったら違反なんだと考えるらしいのよ。
交差点内に歩行者が倒れていたり、前方に障害物があったとしても、「進行しなければならない」と主張して停止することが違反なんだと…
それのどこが「できる限り安全な速度と方法」なのか疑いますが、ワケわからないところを切り抜いて安全とは程遠い解釈をする人もいるので…
もちろん、その解釈は間違いです。
理由を挙げるなら「通行するときは」、「当該交差点の状況に応じ」、「できる限り安全な速度と方法」などをフル無視しているので話にならないレベル。
他人に期待しないほうが
すり抜けせずに後方待機しているときにこういう人に絡まれたら悲惨ですが、以前から書いているように他人が道路交通法を理解している…とは限らないわけで、他人に期待したところでろくなことにならないのです。
なお、この主張をする人は免許をお持ちのようですが、免許制度の敗北なのか、免許制度以前の問題なのかはわかりません。
道路交通では何を言っているのかわからない人が「交差点内は進行しなければならないと書いてあるだろ!」と発狂して危険な運転をしたり、横断歩行者がいても「進行しなければならない」と主張して停止しないことを容認するわけで…
危険性帯有者(道路交通法103条1項8号)なんじゃないかと疑われるので読者様には「公安委員会に通報して免許停止or取消処分を検討してもらったほうがいいのではないか?」とお伝えしましたが、道路上にはこういうレベルの人がウヨウヨしているので、他人に期待しないほうがいいのよ。
なお、すり抜け「しなかった」から違反になることはありませんし、交差点内で危険を防止するために一時停止することも違反にはなりません。
そのように書いてありますし…
第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
停車とはこのような概念になります。
停車
車両等が(A)貨物の積卸しのため五分をこえない時間停止すること(車両等の運転者がその車両を離れていないか、または離れていても直ちに運転できる状態でする場合に限る)、(B)人の乗降のため停止すること(車両等の運転者がその車両を離れていないか、または離れていても直ちに運転できる状態でする場合に限る)、(C)法令の規定により一時停止すること、(D)警察官の命令により一時停止すること、(E)危険防止のため一時停止すること、である。
交通法令研究会、逐条道路交通法、警察時報社
しかし交差点内の停車から「法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合」が除外されているので、危険を防止するために一時停止することは交差点付近でも可能。
けど「進行しなければならない(36条4項)だから停止しちゃダメだ!」とか「通行しなければならないと書いてあるからすり抜けすることは義務だ!」主張する人もいるわけで、道路交通は地獄ですよね。
そのうち70条のおかしなところを切り抜きして
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
「運転しなければならないだから、車両から降りちゃダメだろ!」と言い出すのではないかと心配になる。
他人に期待するとろくなことにならない…

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
以前「すり抜けしなければならない」派の人と議論したことがあります。
彼の意見の本質は「不要な停車は違反になる。すり抜けしないことは不要な停車にあたる」という点でした。
「停車してはいけない場所」というのは限定されている、また危険を感じたら停車するのは当然のことで、危険を感じるか否かは主観的なところなので、客観的に「すり抜けしなければならない」というのは無理があるのではないか、と主張したところで「そらそうだ」とお開きに。
こういった議論を横で聞いていた人が中途半端な主張をしているのかも知れませんね。
コメントありがとうございます。
この件はいろんな方から報告を頂くYouTuberの話になるのですが、「自転車の上に歩行者が乗っているだけだから歩行者扱いになる」などと支離滅裂な話ばかりする有名人らしく…