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これって何の違反?交通事故統計をみてもあまり意味がない理由。

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いきなりですが、質問です。

青車両が緑車両を追い越すために第二車線に進路変更したところ、第二車線を通行していた赤車両と衝突しました。

 

青車両の運転者は、「赤車両に気がつかなかった」と供述していますが、これは道路交通法何条の違反として処理されるのでしょうか?

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進路変更禁止違反?

普通に考えると、進路変更禁止違反(26条の2第2項)として処理される…と思うじゃないですか。

(進路の変更の禁止)
第二十六条の二
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない

ところが、26条の2第2項として処理される可能性はない。

管理人
管理人
安全運転義務違反(70条過失)または追い越し方法違反(28条4項)として処理されます。

なぜでしょう?
まずは確認から。

故意 過失
26条の2第2項(進路変更禁止) 5万円以下の罰金
28条4項(追い越し方法違反) 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
70条(安全運転義務違反) 3月以下の懲役又は5万円以下の罰金 10万円以下の罰金

28条4項はこのようになってます。

(追越しの方法)
第二十八条
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない

追い越し時に進路変更して後車と衝突したので、進路変更禁止(26条の2第2項)と追い越し方法違反(28条4項)がどちらも当てはまることになりますが、観念的競合から罰則が重い追い越し方法違反(28条4項)を適用する。

 

ところがこれらは過失によって違反した場合には処罰規定がない。
なので後車の接近に全く気がつかずに進路変更して衝突したなら、過失の処罰規定がある安全運転義務違反(70条)として処理されます。

 

要は、やったプレイの内容は進路変更禁止違反だけど、26条の2第2項や28条4項に過失の処罰規定がないため、70条で処理される。

 

こういうのの積み重ねで統計データになるので、そりゃ安全運転義務違反ばかりになるよね。

統計にやたら安全運転義務違反が並ぶ理由

交通事故統計をみると、ほとんどが安全運転義務違反になっています。
なぜこうなるかというと、過失の処罰規定がないルールに「過失によって」違反して事故を起こした場合、70条過失として処理するしかないから。

 

「横断等の禁止」(25条の2第1項)も過失の処罰規定がないため、過失によって正常な交通を妨害するおそれがあるのに横断等をして事故を起こした場合には70条過失が適用される。

25条の2第1項違反の過失犯が処罰されていないことから、その過失犯たる内容をもつ行為のうち道路交通法70条後段の安全運転義務違反の過失犯の構成要件を充たすものについて、同法70条後段違反の過失犯として処罰できないとはいえないのである。

(中略)

他の各条の義務違反の罪のうち過失犯処罰の規定を欠く罪の過失犯たる内容を有する行為についても、同法70条の安全運転義務違反の過失犯の構成要件を充たすかぎり、その処罰規定(同法119条2項、1項9号)が適用されるものと解するのが相当である。

最高裁判所第一小法廷  昭和48年4月19日

なので事故統計から「◯✕違反は少ない」みたいな読み方をしても、観念的競合から他の違反として処理されている場合や、過失の処罰規定がないことから安全運転義務違反として処理されているだけのこともある。

 

以前も書いたように、警察的にはやたらと安全運転義務違反として処理する傾向があり、しかも裁判所が「それは安全運転義務違反じゃないでしょ」と指摘した判例もありますが、

なぜ?自転車の「対歩行者事故」の大半が安全運転義務違反になる理由。
ちょっと前に読者様から質問を頂いていたのですが、詳しい内情はわからないので「たぶん」として回答します。 安全運転義務違反を適用する理由 まず、 これはその通り。 安全運転義務違反は、あくまでも他の具体的規定ではまかないきれない部分を補完する...

事故のほとんどは不注意。
事故統計に安全運転義務違反ばかりが並ぶのは、そういう理由。

 

やったプレイは進路変更禁止違反だけど、事故処理上は安全運転義務違反になるわけで。
統計データをみて「◯✕違反は少ない、だから事故の原因にはあまりなっていない」みたいな読み方をしても的外れになる。

 

それこそ、イヤホンを使って大音量で音楽を聴いて注意散漫で事故を起こした場合、公安委員会遵守事項違反(71条6号)として処理されるわけではなくて安全運転義務違反等で処理されるわけ。
事故統計データに「イヤホン使用」が反映されるわけもない。

 

飲酒運転で見通しが悪い交差点の徐行義務を怠り事故を起こしたなら、

事故原因は徐行違反(42条)なので、統計データ上も徐行違反にカウントされますが、飲酒運転が徐行違反に関係する可能性もあるし、そもそも飲酒運転が許されるわけもない。
しかし統計データ上は飲酒運転とはならない。

そのような場合にイヤホン使用が事故に全く関係してなかったか?というとそういうわけではないけど、どのみち統計データには載らない。
統計データ上で公安委員会遵守事項違反が少ないから「イヤホンは事故に関係ない」とも言えないわけで、統計データ上の数字をみて大小の話をしてもあまり意味がないのよ。

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