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交差点内は駐停車禁止だから、クラクション鳴らして横断歩行者を蹴散らせ!

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この人ってマジで語っているのか、ネタなのかわからないけど

要約すると、「交差点内は駐停車禁止だから止まることができず、クラクション鳴らして蹴散らせ!」という恐ろしい主張をしてますが…

管理人
管理人
大丈夫…??

交差点内は「法令の規定」(38条1項)や「危険を防止するため」(70条等)により一時停止することは禁止されてない

(停車及び駐車を禁止する場所)
第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル

法令の規定(38条1項)により一時停止する場合は交差点内に停まることは可能ですし、50条(交差点等進入禁止)についても、「その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、交差点に入つた場合においては当該交差点内で停止することとなり」に該当しないので問題ない。

(交差点等への進入禁止)
第五十条 交通整理の行なわれている交差点に入ろうとする車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、交差点(交差点内に道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線をこえた部分。以下この項において同じ。)に入つた場合においては当該交差点内で停止することとなり、よつて交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入つてはならない。

進行する進路の前方が詰まっていて交差点内に停まるわけじゃないですしね。

青信号で横断する/しようとする歩行者がいるときは、「横断歩道の直前」で一時停止&通行妨害禁止。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条
車両等は、横断歩道に接近する場合には、当該横断歩道を通過する際に当該横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない

横断歩道が青信号に変わることが予見されるので減速接近義務を免れず青信号に変わった以上は横断歩道の直前で一時停止&通行妨害禁止義務を負うのに、クラクション鳴らして蹴散らす??
青信号で横断する/しようとする歩行者にクラクション鳴らしちゃまずいし、事故現場の横断歩道もしくは斜めになっている横断歩道の直前で一時停止して歩行者が途切れるのを待つしかない事案ですが…(それ以前に黄色灯火で止まるべきなのは言うまでもないけど、判断を間違って進入した以上は38条1項の問題)。

 

バスなので車体の長さを考えれば、奥の横断歩道の直前で一時停止すると斜めになっている横断歩道の一部を塞ぐ可能性がありますが、事故になるよりかははるかにマシ。

 

要はバスが交差点を直進するにあたり、三本の横断歩道を通過する。

停止線を越えたときに赤信号じゃなければ必ずしも信号無視とまでは言えないけど、交差点に進入後、横断歩道が青信号になった以上、斜めになっている横断歩道の直前で一時停止するか、

奥の横断歩道①の直前で一時停止する。
ここで停止したら②の横断歩道を一部塞いでしまいますが、事故を起こすよりはるかにマシなのは言うまでもない。

もちろんこのようにややこしい事態にならないために、黄色灯火で停止しておくのがベター。
しかし判断をミスって交差点に進入した以上、法令(38条1項)に基づいて一時停止すれば済むわけで…
クラクション鳴らして蹴散らすのは当然アウト。

 

つまり、ダブルでミスしている。

①黄色灯火で停止すべきだった
②黄色灯火で停止線を越えた後、横断歩道が青になるのは予見可能なのだから「横断歩道の直前で停止できる速度」(38条1項前段)を怠り、横断する(しようとする)歩行者に対し一時停止しなかった(38条1項後段)。
こちらでも書いたけど、

黄色灯火バスと青信号横断歩行者がスクランブル交差点で衝突!悪いのは誰か?
ちょっと前にこんな動画が上がってましたが これが何の違反になるのかというと、横断歩行者妨害です。 (横断歩道等における歩行者等の優先) 第三十八条 車両等は、横断歩道に接近する場合には、当該横断歩道を通過する際に当該横断歩道によりその進路の...

事案としては似ている判例が普通にあり、横断歩道が青になれば横断歩行者が横断することが予見可能なのだから、停止できる速度に徐行する業務上の注意義務違反を認定している。

青の信号で交差点に進入した自動車運転者が、前方の横断歩道上左端付近に左から右に横断しようとして佇立している歩行者を認め、さらに右交差点の中央付近まできたときに前方の信号が黄色に変わったのを認めた場合には、直ちに横断歩道直前で停止すべき業務上の注意義務はないけども、間もなく歩行者に対する信号が青に変わり、歩行者が当該横断歩道を左から右に横断を開始することが必至であるから、自動車運転者としては、右歩行者の通行を妨げないよう配慮するとともに減速徐行し、状況に応じいつでも急停止し得るような態勢で横断歩道またはその付近における歩行者の動静を絶えず留意して進行するなど、その安全をはかる業務上の注意義務がある。

東京高裁 昭和41年10月19日

38条1項前段に減速接近義務が規定される前の判例ですが、昭和46年に減速接近義務を新設した理由は、業務上過失致死傷判例(東京高裁 昭和42年2月10日など)で示されてきた「減速して接近すべき注意義務」のみで検挙可能にするためです。

 

青信号で横断する歩行者にクラクション鳴らして歩行者を足止めしたら38条1項後段の違反になるわけで、「危険を防止するためやむを得ない」に該当するわけもなく、危険を防止するために横断歩道の直前で一時停止しなければならないのですが、この人ってネタなのかマジなのか謎。

 

どうでもいい話になりますが、一応は道路交通法上の横断歩道は「道路標示で示した部分」。

この画像の「左下⇔右上」は斜め横断できますが、「左上⇔右下」は横断歩道外になる。
もちろん、スクランブル化しているから実態として「左上⇔右下」に横断しても注意指導する必要もないけど、両斜めに横断歩道を設置してない理由って、今回のように交差点内停止する可能性を考慮しているのではないか?と思ってしまう。

 

そもそも、駐停車禁止(44条)についても「法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合を除外」と書いてありますが、これを置かないと

危険を防止するために一時停止すると違反という意味不明なことが起きる。
停車に一時停止が含まれるのは定義上明らかですし。

停車

車両等が(A)貨物の積卸しのため五分をこえない時間停止すること(車両等の運転者がその車両を離れていないか、または離れていても直ちに運転できる状態でする場合に限る)、(B)人の乗降のため停止すること(車両等の運転者がその車両を離れていないか、または離れていても直ちに運転できる状態でする場合に限る)、(C)法令の規定により一時停止すること、(D)警察官の命令により一時停止すること、(E)危険防止のため一時停止すること、である。

 

交通法令研究会、逐条道路交通法、警察時報社

これはどの解説書でも同じかと。

 

ちなみにこの事故のように、歩行者の僅かな注意で事故を防げるタイプについては、民事では歩行者に過失がつくことがあります(せいぜい10%ですが)。
ただまあ、バスは横断歩行者妨害(38条1項後段)の違反が成立し、下手すりゃ過失運転致傷罪に問われるわけだし、自分の免許と仕事を守るためには「横断歩道の直前で一時停止」すべきだったし、交差点内で停止することが予見可能な場合には黄色灯火で停止しておくのが吉。

 

けどあれよね。
明らかに横断歩行者妨害が成立する場面なのに、クラクション鳴らして蹴散らすのは合法と思っている人がいるわけで…
私がよく乗るバス路線にはスクランブル交差点がありますが、たまに運転者が判断をミスった結果、交差点内に停止して横断歩道が青になることが普通にあります。
黄色灯火で交差点に進入し、横断歩道の直前で一時停止しているので何ら違反にはなりませんが、

違和感はハンパナイ。

 

この事故については信号サイクルの問題ではなく、「交差点内は停車禁止」とか「速やかに交差点から退出」という誤った考え方が根底にあるんじゃないですかね。

 

以前「交差点即時退出義務」と称して信号無視が許されるという謎理論を掲げている人がいましたが、

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道路交通法は生活に密着しているわりには共通理解がない。
この動画の説明を聞いていると頭がクラクラしてきますが、分かりやすく改正する必要に迫られているのだろうか。
法令(38条)や危険を防止するために交差点内に停止することは禁止されておらず、むしろ必要があるときには停止することを法が求めてますが、「交差点内は停止禁止!」とか「交差点即時退出義務!」みたいな誤った考えが根底にある事故なのかもしれません。

 

なお、法令とは別に、ながらスマホで側面衝突する歩行者に同情しません。
それは法令とは無関係な話になります。


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