改正道路交通法18条3項は、自転車や特定小型原付の側方を通過する際に十分な間隔がないときには安全な速度で追い抜きすることを定めてますが、
一応、警察庁が国会で答弁した内容だと、目安になるのはこれ。
54分あたりから。
特定小型原動機付自転車等の右側を通過する場合において十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付 自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない、という規定を創設することに今回なっております。十分な間隔、そして間隔に応じた安全な速度とは具体的にどのようなものを想定しているのか分かりやすく教えてください。
・早川交通局長
ご指摘の規定は車道における自動車と自転車の接触事故を防止するため、自動車が自転車の側方を通過する際のそれぞれの通行方法を整備する規定でございます。本規定に定める自動車と自転車との間隔や安全な速度につきましては、自動車と自転車の具体的な走行状況に加えまして、道路状況や交通状況により異なることから、具体的な数値は規定していないところでございます。その上であえて申し上げれば、例えばでありますが都市部の一般的な幹線道路においては十分な間隔として1m程度が1つの目安となるものと考えているところでございます。また、このような十分な間隔を確保できない狭隘な道路におきましては、自転車の実勢速度というものがいろいろありますが20キロメートル毎時程度であるということを踏まえますと、例えばこうした場合には間隔に応じた安全な速度としては20キロから30キロ程度、これくらいの速度が1つの目安になるのではないかと考えているところであります。いずれにしましてもこの規定の趣旨は自転車の安全を確保しつつ、自動車と自転車の双方が車道上を円滑に通行することを確保することにありまして、自転車に危害を加えるような態様でなければ、本規定の趣旨に反するものではないと考えているところであります。
これは現行犯のみ?ドラレコでも大丈夫?という疑問。
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青切符は現行犯のみ?
よく言われる「青切符は現行犯のみ」説。
青切符は刑事事件ではなく行政事件だから、否認したりしない限りは刑事事件として扱えない(道路交通法125条以下)ことを根拠に挙げる人は多い。
以前から「青切符は現行犯のみ」については疑問視してまして、例えば警察庁の通達。
交通反則切符の様式等並びに告知及び交通反則告知書等の作成の要領について
警察官及び交通巡視員(以下「警察官等」という。)が、道路交通法(昭和35年法律第105号)第126条に規定する反則者を認めたときの告知、交通反則切符の作成等については、「交通反則切符の様式等並びに告知及び交通反則告知書等の作成の要領について」(平成26年8月11日付け警察庁丙交指発第48号、丙交企発97号。以下「旧通達」という。)により、その要領等を定めているところであるが、道路交通法の一部を改正する法律(平成27年法律第40号)が平成29年3月12日から施行されることに伴い、別添のとおり「交通反則切符の様式等並びに告知及び交通反則告知書等の作成の要領」を定め、同日から適用することとしたので、部下職員に対する教養の徹底を図り、その運用に遺憾のないようにされたい。なお、この通達については、最高裁判所事務総局及び法務省と協議済みである。
また、旧通達については、この通達の実施に伴い廃止する。
警察庁交通局長から各都道府県の警察本部に宛てたもの。
一応、こうなっているわけよ。
第2 告知要領
6 非現認事件
反則行為を現認によらずに、捜査又は告訴、告発等によって認知し、反則者と認定した場合は、事件処理に必要な調書等の捜査書類の作成を行った後、告知書を交付すること。
現認ではなく非現認(捜査又は告訴、告発等)で反則行為を認知したときは、調書等の作成後に反則告知書を渡すとしてます。
理屈の上では現行犯じゃなくても青切符(反則告知)は可能だと思われます。
ただし。
反則行為のほとんどはクルマに対して違反認定するのではなく、運転者に対して行います。
誰が運転していたかを特定できないと、結局は反則告知が不可能に陥る。
ちなみに現場レベルだと「現行犯しかムリ」と言われると思う。
理由の1つは運転者の特定に問題が出るから。
理由の2つ目は、現行犯よりも手間がかかり面倒だからなのかと。
オービスは運転者が誰なのか撮影されますが、要は運転者が誰なのかわからないと切符は切れません。
若干疑問なのは
若干疑問なのは、あまりにも抽象的で具体性がないので、結局取締りは困難になるのでは?という疑問。
3 車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)は、当該車両と同一の方向に進行している特定小型原動機付自転車等(歩道又は自転車道を通行しているものを除く。)の右側を通過する場合(当該特定小型原動機付自転車等を追い越す場合を除く。)において、当該車両と当該特定小型原動機付自転車等との間に十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない。
これについてですが、28条4項は「できる限り」とついているのに、改正18条3項には「できる限り」がついていない。
第二十八条
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。
18条3項 | 28条4項 |
間隔に応じた安全な速度で進行しなければならない | 前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない |
「できる限り」が厄介で、道路交通法における「できる限り」って意味合い的には「可能な範囲で」に近い。
改正18条3項に「できる限り」をつけなかったのは、有無を言わせず安全な速度ではないなら違反にしたい現れなんじゃないかと。
要は
①非現認でも青切符は可能
②しかし運転者が特定出来なければ切符は切れない
③改正18条3項に明確性がない
これらを考えると、ドラレコを提出したから必ず反則告知するとは言えないですが、理屈の上では現行犯じゃなくても青切符は可能なはず。
ちなみに、①側方間隔が何センチか?、②速度は何キロか?、③それらの計算根拠は何か?を明確にして警察に持ち込めば、切符になる可能性はあります。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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