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「右側はみ出し追い越し禁止違反」は、言い訳が通用しない。

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イエローのセンターラインは「右側はみ出し追い越し禁止」の道路標示ですが、これに違反したことについて公判請求され裁判になった事例はいくつかあります。

 

いろいろ言い訳をすることになりますが、言い訳が通用した事例を見たことがない。

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可罰的違法性がないだろ!

右側はみ出し追い越し事案については「可罰的違法性がない!」という主張がなされることが多い。
要は危険がなかったのだから刑罰を課す問題じゃないだろ!という主張。

被告人ははみ出し禁止の規制区域で右側通行追越した事実は認めるが、該区域は現在はみ出し禁止区域に指定する必要が全くない区域で、行政当局も目下その解除を検討中の処であり、従つて可罰的違法性がないから本件は無罪である旨主張する。

しかしながら前掲証拠によれば、該区域は当時も現在も山梨県公安委員会が道路標識によつて追越しのための右側部分はみ出し通行禁止の場所として指定している区域であることが明らかであり、たとえその必要性の有無が検討されたことがあつたにせよ現実にはなお必要としてはみ出し禁止区域と指定されている以上、被告人の判示所為が可罰的違法性を欠くに至るものとは判断しえない。

豊島簡裁 昭和58年6月2日

この判例でも可罰的違法性を理由に無罪の主張がなされてますが、裁判所は一蹴。
ただし罰金9000円の有罪判決ですが、裁判所は情状酌量にて執行猶予を付けている。

先行車の大型ダンプカーが積荷を満載して、平地では40キロメートル、坂道では30キロメートル、時には20キロメートル毎時でいわばのろのろ運転をし、それが15分位もつづき、しかもダンプカーの出す黒煙がひどく、被告人は以前結核を患つて20年許り療養をしていたことがあるため、その黒煙が非常に体にこたえ、しかも多数の農家を訪れる予定であり急いでいたこともあつて、止むを得ず右ダンプカーを追いぬくため見通しのよい本件違反場所において、本件違反行為に出たことが、被告人の当公判廷における供述、被告人撮影の写真等によつてこれを認めることができるが、右諸般の事情を考慮して執行猶予を付することとした。

先行車がノロノロ運転していて、しかも結核を患っていた被告人にすれば先行車の黒煙がつらかった。
それらを理由に執行猶予付き判決ですが、検察官が発狂。

検察官
検察官
執行猶予なんて許さん!控訴する!

東京高裁は執行猶予を取り消しにしています。

本件道路は、相当先方までほぼ直線で見通しは良いものの、反対車線の幅員は、路側帯を除くと3.2m、路側帯を含めても4.25mと比較的狭く、しかも、被告人は、約420m先方の反対車線には警察官が運転する交通取締用自動二輪車が対向して進行してきていたのに、自車を完全に反対車線に進入させて先行車を追い越したのであるから、本件犯行は危険な行為でなかつたとはいえない。
そして、被告人は、昭和55年3月から同56年4月までの間5回にわたり速度違反等の反則行為をしたほか、同年12月から昭和57年9月までの間4回にわたりいずれも速度違反の罪で罰金刑に処せられていて、速度違反等の交通違反の常習者であることが窺われ、以上のような本件犯行の罪質、態様、被告人の交通違反歴にかんがみると、本件の犯情は軽くないことが明らかである。

ところで、被告人の原審及び当審公判における各供述によれば、本件において被告人が追い越した先行車は、積荷を満載したダンプカーであつて、時速約40キロメートルの速度で黒煙を吐きながら進行し、坂道では速度を落とし黒煙を多量に吐いて進行していたこと、被告人は、本件道路がはみ出し禁止の規制がされている道路であつたことから、右ダンプカーの後ろについて15分前後自車を運転したが、仕事上急いでいたこと、黒煙が健康に悪いこと、はみ出し禁止の規制区域が更に続くことから、見通しの良い本件場所で右ダンプカーを追い越すために本件犯行に及んだというのであつて、本件犯行の動機についてはある程度斟酌すべき事情がないではない。
しかし、本件道路は、最高速度が時速50キロメートルと指定されていた道路であつて、被告人が供述するところによつても、右ダンプカーは極端に低速度で進行していたものではないうえ、被告人には右ダンプカーを追い越さなくてはならない緊急の用事があつたものでもないこと、また、黒煙による被害については、車間距離を置くことによつて避けることができたことに徴すると、右の事情を被告人に有利な情状として過大に斟酌することはできない。また、被告人は、本件道路は交通量が少なく、長区間にわたりはみ出し禁止の規制をする必要のない道路である旨強調するけれども、山梨県公安委員会は、本件道路において交通事故が多発するためその防止の必要上右規制をしているのであつて、本件当時、本件道路の交通量は、高速道路の開通により従前より減少していたとはいえ、極端に減少していたものではなく、また、従前の例から、高速道路の開通により減少した交通量は暫くすると相当程度回復することがあるため、同公安委員会は、なお規制の必要があると考えていたのであるから、右規制が、本件当時同公安委員会に委ねられた裁量権を逸脱した不当な規制であつたということはできない。

東京高裁 昭和58年9月29日

黒煙がつらいならお前が車間距離を空ければ済むじゃないか!として一蹴。

実際のところ

あーだこーだと言い訳し出したらいくらでも屁理屈も含めて出来ますが、裁判所にはあんまり通用しないのよね。
強いてポイントに挙げるならば、対向車が420m先であっても右側はみ出し追い越ししたのは「危険な行為でなかつたとはいえない」としている点でしょうか。

 

コメント

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