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2人乗り電動キックボード事故、共同不法行為責任を認め約1110万の賠償命令に。

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共同不法行為責任について書こうと思っていたところにタイムリーな報道が。

2人乗りの電動キックボードと衝突し重傷を負ったとして、大阪市の女性が、キックボードに同乗していた女性に治療費などの損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁(高橋憲太裁判官)であった。地裁は、同乗者も共同不法行為にあたるとし、約1110万円の支払いを命じた。

電動キックボードは、前後に車輪がある板の上に立ち、ハンドルで操作する乗り物。モーター付きで、最高時速20キロ程度まで加速でき、道路交通法では原付きバイクと同じ扱い。

判決によると、事故は同市中央区の歩道で2021年5月に発生し、女性は首を骨折する重傷を負った。判決は、同乗者の帽子が、後ろに乗った男性運転者の視界を遮ったとし、共同不法行為を認めた。キックボードの2人乗りは禁止されている。

運転していた男性は同月、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)などの疑いで大阪府警に逮捕され、大阪簡裁が罰金50万円の略式命令を出した。女性は男性にも損害賠償を求めた訴訟を起こし、地裁は約1110万円の支払いを命じた。

2人乗りキックボードの衝突事故、同乗者にも1100万円の賠償命令(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
2人乗りの電動キックボードと衝突し重傷を負ったとして、大阪市の女性が、キックボードに同乗していた女性に治療費などの損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、大阪地裁(高橋憲太裁判官)であった。地裁は、同

事故発生が2021年5月なので、まだ特定小型原付がスタートする前。
なので当時の法律では、電動キックボードは原付扱いです。

 

報道がやや誤解を招きそうな表現になってますが、被害者が提訴したのは「運転者の男性」と「同乗者の女性」。
共同不法行為責任を認定し、「運転者の男性」と「同乗者の女性」が連帯して約1110万の賠償命令という判決のようです。

共同不法行為の場合、「運転者の男性」と「同乗者の女性」が連帯して約1110万を被害者に支払うため、「運転者の男性」or「同乗者の賠償」のどちらが約1110万を支払ってもいいし、両者で折半して約555万ずつ払ってもよい。
もちろん、男性が800万、女性が310万という形でも構わないけど、結果的に被害者に対し約1110万支払う必要があります。

 

ところで、事故は「歩道で」とあるので、一般的には過失割合は加害者100%で動きません。
原付が禁じられた歩道通行をしたのだから、当然かと。

 

加害者たる「運転者の男性」に請求すれば話が早いのに、あえて同乗者の女性も含めて提訴した理由を推測すると、直接的な加害者になる「運転者の男性」に賠償能力があるか疑わしく(無保険の可能性大)、「運転者の男性」に請求したところで回収の目処が乏しいからではないでしょうか?

 

被害者目線でみた共同不法行為責任のいいところは、共同不法行為責任が認められたならどちらでもいいから全額払えと請求できる点。
「運転者の男性」に賠償能力がない場合でも、「同乗者の女性」から回収可能になります。
いくら判決として「○千万払え」という判決がでても、加害者に賠償能力がなければ回収不能に陥ります。
2人に対する請求権を確保するのが共同不法行為責任。
2人の支払い者がいれば、回収できる可能性が広がりますから…

 

ただまあ、若干疑問なのはこれ、一応は加害者無保険でも原付である以上は政府保障事業により自賠責保険相当の給付を受けることができるはず。
政府保障事業は、加害者が無保険の場合でも自賠責保険相当額は国が支払い、被害者に支払った分は国が加害者から回収する仕組みです。

 

政府保障事業でも足りなかった分が、今回の約1110万という意味なのだろうか。
もしかしたら既に加害者から一部支払いを受けていて、残額が約1110万という意味の可能性もあるため、本当の損害額はもっと上なのかもしれません。

 

加害者から回収できる見込みが薄いときには、共同不法行為責任を追及するのも一つの方法です。

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