こういう痛ましい事故については思うところがありますが、
「工事をしてなければ事故にならなかっただろ!」とか、「抗議活動をしてなければ事故にならなかっただろ!」みたいな主義主張はこの場にふさわしいのですかね。
人が死んだのですよ…
市民活動家の方については理解し難いことが多々ありますが、抗議活動自体は得意の「憲法で認められた権利だ!」が発動するだけ。
けどさ、
死亡した警備員は事故の直前、今回けがをした女性とは別の女性抗議者を制止していたが、今回けがをした女性がすり抜け、ダンプトラックの前に飛び出そうとしたため急いで制止に入り、一緒に巻き込まれた。
【続報・ダンプ事故】辺野古埋め立てに抗議する女性が飛び出し 警備員は巻き込まれたか | TBS NEWS DIG (2ページ)警察によると、きょう午前10時すぎ、沖縄県名護市の安和港の出口付近で、ダンプカーが2人と接触し、40代の男性警備員が死亡した。普天間基地の辺野古移設工事では、本島北部で石材を採取しダンプカーで搬送してい… (2ページ)
トラックの前に飛び出そうとすることまで憲法が認めているわけじゃあるまいし、これが事故の原因。
抗議活動するにしてもやり方くらい考えろという話でしかない。
ただまあ、死傷事故が起きた以上、運転者は過失運転致死傷罪に、誘導者は業務上過失致死傷罪の嫌疑がかかる。
警察関係者によるとダンプトラックは、現場にいた別の人物から、出発してもよいという合図をもらってから発進したとみられるという。
【続報・ダンプ事故】辺野古埋め立てに抗議する女性が飛び出し 警備員は巻き込まれたか | TBS NEWS DIG (3ページ)警察によると、きょう午前10時すぎ、沖縄県名護市の安和港の出口付近で、ダンプカーが2人と接触し、40代の男性警備員が死亡した。普天間基地の辺野古移設工事では、本島北部で石材を採取しダンプカーで搬送してい… (3ページ)
理屈の上では、お亡くなりになった警備員さんについては運転者、誘導者、飛び出した活動家の共同不法行為にもなりうる。
ところで、私人の交通規制、私人の交通誘導に従って進行して起こした事故について、信頼の原則を適用して無罪(業務上過失致死傷)にした判例がいくつかあります。
最高裁判所第一小法廷 昭和48年3月22日は、見通しが悪い交差点において私人が赤旗を出して交差道路にとまれと合図していた。
その赤旗を見て徐行せずに進行したところ、交差道路から赤旗を無視して突っ込んできた車両と衝突。
原審は徐行義務を怠った過失として有罪にしましたが、最高裁は信頼の原則を適用して無罪に。
しかしながら、右Bによる交通規制が、道路交通法42条にいう交通整理にあたらないことは、原判決の判示するとおりであるが、右Bが北方から本件交差点に進入する車輛に対し赤旗により停止の合図をしていたものである以上、東方から同交差点に進入する車輛の運転者としては、北方から進行してくる車輛の運転者が右Bの停止の合図に従うことを信頼してよいのであつて、北方から進行してくる車輛の運転者が右Bの停止の合図を無視し同交差点に進入してくることまでを予想して徐行しなければならない業務上の注意義務はないものと解するのが相当である。
本件記録によると、被告人は本件事故当日大型貨物自動車を運転してたびたび東西道路を往復し、本件交差点の西北角で右Bらが北方から同交差点に進入してくる車輛に対し赤旗と白旗で交通規制をしているのを知つていたものであるが、本件事故の際、被告人は東西道路の東方から前記自動車を運転して時速約50キロメートルで進行し、同交差点の約15m手前の地点(南方道路の入口を規準とする。Cの進行してきた北方道路の入口からは20m以上手前であると認められる。)において、同交差点の西北角でBが赤旗を上げ北方からの車輛を停止させようとしているのを認め、北方からの車輛は右Bの停止の合図に従つて同交差点の手前で停止するものと考え、アクセルペダルから足を離しただけでそのまま進行したところ、同交差点の手前約4.7mの地点において、北方道路からCの運転する大型貨物自動車が、右Bの停止の合図を無視し時速約25キロメートルで同交差点に進入してくるのを約19.3mの距離に発見し、急停車の措置をとるとともにハンドルを左に切つたが間に合わず、同車の前部に自車の右前部を衝突させたものであることが認められる。
そうすると、被告人が、北方から進行してくる車輛の運転者が右Bの停止の合図に従い本件交差点の手前で停止するであろうと信頼したことは相当であつて、同交差点で徐行しなかつたことを被告人の過失とすることはできないものというべきである。
最高裁判所第一小法廷 昭和48年3月22日
私人による交通規制に他の車両が従うことを信頼して進行してもよい、という判例です。
なお似たような事例では、大阪高裁 昭和62年5月1日判決。
私人による交通規制が行われている場合に、自動車運転者が右規制に従つていさえすれば必ず過失が否定されるということにならないのは当然である。しかし、私人による交通規制であつても、これを信頼して進行したため過失が否定される場合があることは、最高裁判所の判例(昭和48年3月22日第一小法廷判決・刑集27巻2号240頁)も認めるところであつて、結局、当該私人による交通規制の趣旨・目的、同人に課せられた任務・役割、同人が現実に行つていた規制の方法及びこれを前提とした当該場所における現実の交通状況等にかんがみ、これが自動車運転者にとつて信頼に値するものであると認められるときは、右規制に従つて進行する自動車運転者にとつて、本来同人に課せられている注意義務が軽減又は免除されることがあると解すべき
大阪高裁 昭和62年5月1日
一歩踏み込んで、私人の交通規制が信頼に値するかどうかの観点から検討し無罪。
この判例は左折する際に横断歩道を通行した自転車を巻き込んだ事故ですが、警備員が左折可能だと合図したことから信頼の原則を適用。
警備員の誘導が強引だったみたいな報道も出てますが、
死亡した警備員は事故の直前、今回けがをした女性とは別の女性抗議者を制止していたが、今回けがをした女性がすり抜け、ダンプトラックの前に飛び出そうとしたため急いで制止に入り、一緒に巻き込まれた。
【続報・ダンプ事故】辺野古埋め立てに抗議する女性が飛び出し 警備員は巻き込まれたか | TBS NEWS DIG (2ページ)警察によると、きょう午前10時すぎ、沖縄県名護市の安和港の出口付近で、ダンプカーが2人と接触し、40代の男性警備員が死亡した。普天間基地の辺野古移設工事では、本島北部で石材を採取しダンプカーで搬送してい… (2ページ)
すり抜けてトラックの前に飛び出そうとした人が悪いようにしか見えませんけどね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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