ちょっとややこしい事例を紹介します。
事故があったのは、旭川市川端町7条10丁目の交差点です。
11日午後2時半ごろ、右折しようとした乗用車と反対車線から来た乗用車が衝突しました。
この事故で右折しようとした車が横転し、運転していた男性がけがをして病院へ運ばれました。
搬送時、男性は意識があり会話が可能だったということです。
もう一方の車に乗っていた人に、けがはありません。
現場は、片側2車線と1車線の道路が交わる信号機のないT字路交差点で、けがをした男性によりますと、2車線から1車線の道路へ右折しようとした際、対向する2車線の車がそれぞれ停止して道を譲ったため右折を始めると、路肩側を直進してきた乗用車と衝突したということです。
交差点で右折しようとした車と路肩側を直進してきた車が衝突 1台が横転、男性1人が負傷 北海道旭川市(HBCニュース北海道) - Yahoo!ニュース11日午後、北海道旭川市内の交差点で、乗用車どうしが衝突し1台が横転しました。この事故で片方の男性運転手1人がけがをし、病院で手当てを受けています。 事故があったのは、旭川市川端町7条10丁目の交
単純な右直サンキュー事故として片付けるのは簡単ですが、この交差点を通行する車両はどのような「義務」を負っていたか?を考えるとなかなかややこしい事例です。
Contents
この交差点は「徐行義務」の対象か?
交差点右直事故なので、右折車が「直進車優先」(37条)によりきちんと確認していたかが問題になりますが、直進車視点にしてみます。
事故現場はこちら(直進車視点)。
左に凸のT字路で、左方道路の見通しは悪いとは言えない。
おそらく事故の態様はこう。
交差点内はセンターラインが途切れていて、直進車の進行方向車線は車線境界線も途切れている。
しかし対向車線の車線境界線(車両通行帯境界線?)は交差点内に連続している。
これは「優先道路」としての定義を満たしているか、かなり謎なのよね…
車線境界線なんてほとんどが車両通行帯ではない問題は置いといたとしても、自車進行方向車線の車線境界線は交差点内になく、対向車線の車線境界線は交差点内に連続している。
その話は保留にしますが、左右の見通しがきかない交差点(42条1号)とは、駐停車車両などにより見通しが遮られた場合も含む。
本来は見とおしのきく場所であるが、たまたま、なんらかの障害物、たとえば駐車中の自動車等があって見とおしがさえぎられているような一時的な場合をも含むと解する。
木宮高彦ら、「詳解道路交通法」、有斐閣ブックス、1977
左方道路の見通しは良好としても、右折車に譲った車両の存在により交差点右方の見通しが不良に陥る。
その結果、直進車は徐行義務(42条1号)を負うのではないかという疑問が。
仮に対向車線の車線境界線が「交差点内」に連続していることから優先道路と解釈するにしても、A/Bの停止車両により対向車線の車線境界線(車両通行帯境界線)が交差点内に連続しているか見えなくなる可能性もあり、違反が成立するかはさておき直進車は徐行義務を負うのでは?という疑問。
右折車の注意義務
このような場面で右折する車両は、37条により直進車妨害禁止。
いくつかの判例で示されてますが、
このようにわずかに頭を出した位置で一時停止し、微発進と停止を繰り返しながら死角を解消し右折する注意義務があります。
いわゆるサンキュー事故って、右折車の注意義務である「死角消除しながら確認して右折する」が疎かになりがちですが、あえていうならこの交差点で直進する車両は徐行義務を負うのかすこぶる怪しい。
わりと大事なのよね。
交差点での徐行義務は対歩行者に向けた側面があることは最判S43.7.16などでも示されてますが、たまたま対右折車だっただけで対歩行者事故なら…
結果論の話をしてもしょうがないし、あらゆる事故を回避するためにどうプレイすべきか?に向かわないと意味がありませんが、この状況で直進車は徐行義務(42条)を負うような気がしないでもない。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント