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第一当事者・第二当事者は実質的に加害者/被害者。

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だいぶ前に書いた記事にご意見を頂いたのですが、交通事故統計にある第一当事者・第二当事者の話。

クソワロタ笑。データなんて意味ないじゃん。
警察庁や政府などが毎年、交通事故の統計データを公表しているじゃないですか。 あれ、前から疑問に思っていたことがありまして、某警察本部数ヶ所に聞いてみました。 第一当事者、第二当事者 交通事故の統計データを見ると、第一当事者、第二当事者という...

第一当事者の定義はこうなります。

「第1当事者」とは、最初に交通事故に関与した車両等(列車を含む。)の運転者又は歩行者のうち、当該交通事故における過失が重い者をいい、また過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者をいう。

これについて、様々な県警本部に確認したところ、強者/弱者間の事故については定義通りに分類されてなくて、実質的にはケガをした側(被害者)を第二当事者にしている。
なので統計データをみて、「どっちが第一当事者が多い(少ない)」→「過失が重い側が第一当事者なんだから、どっちが悪い(悪くない)」という論理は破綻してますよ、と。

 

これについて以下の意見を頂いたのですが、

読者様
読者様
定義通りに運用されてます。
都合よくデタラメを語るのはやめて。

なにせ警察庁が私が書いた通りに解説してましてね。

第213回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 令和6年4月12日

○山岸委員 立憲民主党の山岸一生です。よろしくお願いをいたします。
さて、本法案の問題意識として、自転車が加害者になるケースが増えている、これを防いでいこう、こういうことだと思います。私もその問題意識、前提認識を共有しているんですけれども、同時に思うのが、自転車側が被害者になるケース、当然、こうしたことも防いでいかなければいけないし、自転車利用者を守っていかなければいけない、こういう課題もあるわけなんです。その観点から幾つかまずお伺いしたいと思うんです。
そもそもなんですけれども、今、自転車が関係する事故全体の中で、自転車が加害者になるケースと被害者になるケースというのはそれぞれどれぐらいの割合になっているのか。この関係を教えてもらえますか

○早川政府参考人 お答えいたします。
令和五年におきまして、自転車関連事故は七万二千三百三十九件発生しております。うち、自転車が第一当事者となる事故は一万七千六百七件、自転車が第二当事者となる事故は五万四千七百三十二件ございます。
お尋ねの、自転車が被害者となる事故につきましては、第二当事者となる事故ということになりますが、その割合は七五・七%となっております。

被害者=第二当事者だと警察庁(早川政府参考人)が回答しているわけだし、様々な県警本部に確認したときも、実質的にはケガした方が第二当事者だとしてましてね。

 

定義と運用には明らかに差がある。

 

例えばですが、自転車が一時停止を無視して交差点に進入し、優先道路を通行する4輪車と衝突した。

交通法規上、自転車には一時停止&交差道路の進行妨害禁止義務があり(43条)、優先道路を通行する4輪車には徐行義務はなく前方注視など一般的注意義務しかない。
けど、ケガするのは通常自転車ですよね。

 

この場合も定義上は「過失が重い」とされる第一当事者になるのは優先道路を通行する4輪車。
交差道路の進行妨害をした自転車を第二当事者にする。

 

以前某県警本部の人が言ってましたが、どっちが第一当事者/第二当事者になろうとそれ自体は何ら法律上の意味があるわけではない。
第一当事者だから有罪になるわけじゃないし、有罪/無罪と第一当事者/第二当事者は何ら関係しない。
ましてや民事の過失割合も、どっちが第一当事者/第二当事者だろうと無関係に過失割合を決めるわけで、第一当事者/第二当事者とは単に呼び名に過ぎないと。

 

警察庁も「自転車が被害者となる事故につきましては、第二当事者となる事故ということになりますが」と回答しているように、強者/弱者間の事故についてはケガした方が第二当事者なのよね。
もちろん、全てがそうとは言い切れないにしても、定義上の話と運用は別なのよ。

 

なので、「第二当事者は○✕が多い」→「第二当事者は過失が小さい」→「○✕は悪くない」みたいな論理は破綻している。
警察本部に確認したときも、この話をしたらわりと爆笑されて否定されました。

 

思うに「どっちが悪いか?」なんて話をしても所詮は結果論。
結果論として相手の過失と比較するよりも、自分は自分、他人は他人なのよ。
他人をコントロールすることなんてできないのだから、自分がやるべきことをするしかない。

 

どっちが悪いか?なんて結果論に着目すると、いくらでも矛盾が生じると思いますよ。

 

例えばですが、これ。

よくあるサンキュー事故になりますが、過失が重いのは25条の2第1項に違反して漠然右折したクルマになる。

 

ところが対歩行者だったなら、過失が重いのは自転車になる。

死角で見えないのだから、対右折車なのか、対歩行者なのかは結果論に過ぎませんが、

すり抜けする際にいかなる注意義務があったかが問題になるべきですよね。
加害者にも被害者にもなりうるけど、対歩行者事故だった場合に「予見して減速徐行する義務があった」となり、対4輪車事故のときに「自転車には減速する義務はなかった」と判断されたとしても、それらは結果論から逆算した話でしかない。

 

どっちが悪いか?なんて所詮は結果論だし、そこに着目したところで何も変わらないのよね。
過失の軽重ではなく、自分に課された義務/注意義務をやりなよとしか言えない。

 

とはいえ、第一当事者/第二当事者を持ち出して「どっちが悪いか?」なんて話をしても、そもそも定義と運用には明らかな差があるのだから的外れなのよ。
建前の話ではなく、本質的な話をした方がいいと思いますが。

コメント

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