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時速118キロ直進白バイ事故、右折車が有罪に。

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何度も取り上げた「時速118キロ直進白バイ」と「おかしな右折をした被告人車」の事故。
元々は過失運転致死罪が不起訴になっていたところ、検察審査会の不起訴不当を受け捜査再開し起訴された事案ですが、なんとビックリの有罪判決らしい。

2021年9月、北海道苫小牧市の交差点で、白バイと衝突し、警察官を死亡させた罪に問われている大型トラックの運転手の裁判…札幌地裁は29日午後、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。無罪を主張の運転手側は、控訴する意向です。

起訴状などによりますと、砂川市の無職、谷口訓(さとし)被告56歳は、2021年9月13日、苫小牧市柏原の道道の信号機のない丁字路交差点で、運転していた大型トラックで右折しようとした際、反対車線を直進してきた白バイと衝突…白バイに乗っていた男性警察官(当時32歳)を死亡させた過失運転致死の罪に問われています。

この事故をめぐり、検察は、おととし3月、谷口被告を不起訴処分としましたが、検察審査会への申し立てを受けて再捜査した結果、去年5月8日付けで在宅起訴していました。

これまでの公判で、被告側は「結果は重大だが、時速120キロという高速バイクの接近を予見し、回避することは不可能。サイレンは鳴ってないし、赤色灯もドラレコでははっきりと確認できない。右折の仕方には問題あったが、交通法規違反にとどまり、道交法違反の刑事罰は無関係。被告に過失はない」として、無罪を主張。

これに対し検察は「当時、白バイは警ら中で、赤色灯を点灯させながら118キロで走行していたが、トラックを見つけて88キロまで減速した。サイレンを鳴らさず、118キロ出していたのは、違反車両に存在を察知させないためとも言えて、違法性はなく、責められることもない。被告の『見えた』という表現は信用できず、右折先の反対車線に停止していた車両の“内側”を進行しようとして安全確認を怠り、事故が起きた。刑事責任は重い」として、禁錮1年2か月を求刑。

一方、公判では、北海道警察が事故防止に向けて、白バイに「最高速度を100キロ」とするよう通達していたことも判明しましたが、検察は、通達を18キロも超える速度で走行するほどの緊急性が白バイにあったのかなどは、説明していませんでした。

こうして迎えた29日午後の判決公判で、札幌地裁の吉戒純一裁判長は、下記のように指摘した上で「白バイが高速度だったことが重大な結果に及んだことも否定できないが、被告の刑事責任は軽くない」などとして、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

■判決理由

右折の開始時、車両の有無と車両間の距離を確認すべきで、予見は可能だったし、予見義務もあり
・白バイが高速度で来ていたとしても、直ちに予見可能性から否定されるまでもない
・事故後と公判供述の変遷なとから「跨線橋のところに“影”が見えた」は信憑性が高くない
右折の確認は6秒も前で、意識的に確認していたとは言い難く、注意義務を果たしたとは言い難い

白バイは高速度で走行していたが、警官の職務に従事中で、さしたる過失はない
・被害結果は重大で、家族の喪失感も深く、処罰感情が重いのも理解できる
白バイが高速度だったことが重大な結果に及んだことも否定できないが、被告の刑事責任は軽くない

時速120キロの白バイ警官死亡、右折のトラック運転手に猶予付き有罪判決…札幌地裁「白バイの高速度が重大な結果に及んだことも否定できないが、職務に従事中で、さしたる過失はない。予見は可能だった」⇒無罪主張の運転手側は控訴する意向(HBCニュース北海道) - Yahoo!ニュース
2021年9月、北海道苫小牧市の交差点で、白バイと衝突し、警察官を死亡させた罪に問われている大型トラックの運転手の裁判…札幌地裁は29日午後、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。無罪

この事故、白バイの速度が法定最高速度を越えた118キロ(88キロまで減速)していたことがまず問題ですが、被告人がおかしな右折をしたことから右折前確認が不十分だったのではないか?という疑いもあった。

報道によると、事実認定として被告人が右折前に安全確認したのが右折の6秒前とのことで、安全確認を尽くさずに接近していた白バイを見落としたとの判断なのでしょうか?

 

要は白バイが高速度であったとしても、接近していたならどのみち右折を開始するわけにはいかないわけで。
ただし被告人は控訴する意向らしいので、一審判決のどこに不服があると考えているかも気になります。
認定された事実がおかしいと考えているのか、解釈として信頼の原則が適用されるべきと考えているのか…

 

若干気になるとしたらここ。

白バイは高速度で走行していたが、警官の職務に従事中で、さしたる過失はない

これは減速後の88キロについての話なのか、減速前の118キロの話なのかはわかりませんが、そもそも速度超過車を追いかけていた(?)みたいな話なんですかね?
検察官の主張は「サイレンを鳴らさず、118キロ出していたのは、違反車両に存在を察知させないためとも言えて、違法性はなく、責められることもない」とありますが、現に違反車両の追尾中なら話が不可解になるような。
速度超過車を追尾中くらいしか、赤色灯のみで速度超過してもいい法的根拠はない(北海道道路交通法施行細則を根拠に、「警ら中」なら速度超過が問題ないと主張する人もいたけど解釈誤り)。

「お前は何様か!」…白バイが速度超過していい根拠はありません…
こちらについて。 下記記事について「検察の主張は誤り」と書きましたが、これを書くと抗議してくる方が。 検察は、白バイの速度118キロについて、警ら中であり、法律上は問題ないとしているものの、通達を20キロも超える速度で走行するほどの緊急性が...

要はこれ、被告人が右折を開始する直前に白バイがどこまで接近していたか?が問題になりますが、わりとおかしな右折をしたことは間違いない。

事故現場に乗用車で居合わせた男性の証言

・白バイの赤色灯は点いていたが、サイレンの音は聞いていない
・ドライブレコーダーでは、トラックがウィンカーを点けてたようだが(自分は)見えなかった
トラックは、真っ直ぐ行くだろうと思った
・太陽がトラックの背にあり、白バイを照らしていた
・衝突の瞬間は見ておらず「バチャーン」という音で気づいた
トラック運転手は事故直後「白バイを全く確認できていなかった」と自分に話した

■谷口被告への被告人質問

<弁護人とのやりとり>
直進の車両を2~3回、確認する中で、遠くに自転車やバイクのような“影”が見えただけ
・あの距離なら曲がれると思って、右折した
・(白バイと認識は?)ありません
・(赤色灯は?)見えません
・(サイレンは?)聞こえません

事故直後、気が動転していて、警察に「白バイに気づいてなかった」と話した
・帰宅して落ち着いたら、遠くに見えていたことを思い出したので、証言を変えた

・検察からは「見えなかったんだろ?見えた、見えないは、どうでもいい」などとまくし立てられたが「最初は見えた」と話した
・事故直後の状況は、はっきりとは覚えていない

・あの日は仕事で、苫小牧市から雨竜町に向かっていた
・週に1回ほど通る道、時速60キロほどで走行し、右折時は40キロほど
右折先の乗用車が停止線から出ていて、曲がり切れなさそうだと思い、やむなく内回りしたが、不適切だった

<検察とのやりとり>

(影を確認してから、どれくらい?)4~5秒あった
(影を見てから、ずっと影を見続けた?)ずっと見ていたわけではない
・(影が見えた場所は?)橋があって、カーブがあったところの先
・(対向車の速度は?)わからない
・(対向車との距離は?)わからない

・(実況見分で、白バイが2回見えた旨の説明した?)覚えていない
・(先に曲がろうとしたのは、なぜ?)影が見えて、あの距離なら曲がれるだろうと思った

<裁判長とのやりとり>

・(影のようなものは、どのように確認?)パッと見ではなく、正面を見て
・(ハンドル切る直前の確認は?)記憶がないです…

時速120キロの白バイ警官死亡、右折のトラック運転手に猶予付き有罪判決…札幌地裁「白バイの高速度が重大な結果に及んだことも否定できないが、職務に従事中で、さしたる過失はない。予見は可能だった」⇒無罪主張の運転手側は控訴する意向(HBCニュース北海道) - Yahoo!ニュース
2021年9月、北海道苫小牧市の交差点で、白バイと衝突し、警察官を死亡させた罪に問われている大型トラックの運転手の裁判…札幌地裁は29日午後、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。無罪

詳しい内容は判決文を見ないとわかりませんが、被告人が右折を開始するにあたり安全確認を尽くさずに右折をしたところを過失とし、状況からみて予見可能だったと判断したのですかね。
この裁判、そもそも勘違いしている人もいますが、「どっちが悪いか」を決めるものではない。
過失運転致死の場合、過失と致死に因果関係があれば有罪なので、少しでも過失があれば有罪ですから…

 

白バイの速度に問題があったとしても、直ちに被告人の過失が否定されるわけではないにせよ、判決公判の報道をみるとどこか釈然としない気がする。
あくまでも報道レベルからの情報ですが、仮に被告人が右折前の安全確認を尽くしていた場合にも回避可能だったのかはやや疑問なのよね。
右折する際の安全確認が不十分だったとしても、安全確認を尽くしていたなら回避可能だったのかは別問題ですから。
しかも白バイは被告人車の「左後部」に突っ込んでいることも気になるし、右折時の速度が40キロというのもおかしな話ですが、報道レベルだとどこまで事実認定されたのかわからんよね。

コメント

  1. upmoon より:

    職務に従事中でさしたる過失はないという認定をしたということは速度違反車両がいたって事なんですかね?
    事実認定が気になりますね

    それにしても民事ならともかく刑事事件で有罪ということは相手が120km/h弱であっても予見可能で回避義務があったことが確たる事実だったてことになるんですよね

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      検察官は速度超過していた理由を立証したわけではないと思われるので、たぶんそこまで踏み込んでないような気がします。
      120キロを予見可能なのか、88キロベースで予見可能なのかはだいぶ違う気がしますが、どっちなのかはわかりません。

  2. 元MTB乗り より:

    信号のある交差点なので、状況は違いますが、似たようなルートを辿った右折車にぶつかりそうになったことはありますね。
    交差点に侵入した後で信号が黄色に変わってしまい、右折待ちが数台いたので早めに通り抜けたのですが、三台目の自動車が待ちきれずに前の自動車と並走するような形で、通常の右折コースより内側を通るコースて曲がられました。通常の右折コースとの交差地点を通り過ぎてホッとした所に横から車が接近してきて危ない所でした。
    白バイの速度超過が大概な所もあるので予見できない所はあるかと思いますが、早く進む為に適正でないコースを通るドライバは本人が意識してない中で慌ててる所があるんじゃないかな、と思う所はありますね(その中で見落としがあったんじゃないかな)。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      白バイのスピードは問題ですが、内側から右折した件は被告人が安全確認してなかったことを裏付ける一つになりうるんですよね。
      とはいえ、この事件の事実認定がさっぱりわからない以上は具体的な部分がわかりません。

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