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「お前は何様か!」…白バイが速度超過していい根拠はありません…

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こちらについて。

苫小牧の白バイ事故、さらに被告人質問が延長に。
昨年、何度か取り上げた「時速118キロ直進オートバイ」と右折車の事故の件。見えてきた事故態様はこのようなイメージみたいですが、過失運転致死罪に問われた被告人の公判は、被告人質問が延長戦に突入したそうな。被告人に過失はあるか?道路交通法では、...

下記記事について「検察の主張は誤り」と書きましたが、これを書くと抗議してくる方が。

検察は、白バイの速度118キロについて、警ら中であり、法律上は問題ないとしているものの、通達を20キロも超える速度で走行するほどの緊急性が白バイにあったのかなどは、説明していません。

白バイ警官死亡事故、初の被告人質問は異例の“延長”へ…120キロで直進と右折で衝突、トラック運転手「遠くに自転車やバイクのような“影”が見えただけ。あの距離なら曲がれると思った」(HBCニュース北海道) - Yahoo!ニュース
2021年9月、北海道苫小牧市の交差点で、白バイと衝突し、警察官を死亡させた罪に問われている大型トラックの運転手の裁判…6日午後、初めての被告人質問が行われ、この日で終了の見通しでしたが、不明な点
読者様
読者様
あなたは検察の主張が間違っているというが、何様ですか?
○○さんが白バイの速度が合法な理由として、北海道道路交通法施行細則に書いてあると説明しています。
検察が主張していて、○○さんも合法だと説明しているのにあなたは何様なのでしょうか。
管理人
管理人
…えーと、、、

条文をきちんと読めば明らかなのでちょっと落ち着いて確認しましょう。

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北海道道路交通法施行細則

北海道道路交通法施行細則はこれですよね。

第3条の2 法第4条第2項の規定により交通規制の対象から除く車両は、道路標識等により表示するもののほか、次の各号に掲げるとおりとする。
最高速度の規制の対象から除く車両
専ら交通の取締りに従事する自動車(高速自動車国道の本線車道にあっては100キロメートル毎時、その他の道路にあっては60キロメートル毎時を超える最高速度の規制を除く。)

法4条2項はこちら。

(公安委員会の交通規制)
第四条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者若しくは遠隔操作型小型車(遠隔操作により道路を通行しているものに限る。)(次条から第十三条の二までにおいて「歩行者等」という。)又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。(略)
2 前項の規定による交通の規制は、区域、道路の区間又は場所を定めて行なう。この場合において、その規制は、対象を限定し、又は適用される日若しくは時間を限定して行なうことができる。

先に結論からいうとこの規定は、「専ら…従事する自動車」が、標識最高速度に従う義務から除外されるというだけのもの。
「専ら…従事する自動車」にとっては「速度標識がない道路」になるため、法定最高速度(一般道なら60キロ)に従ってくださいとするものです。
なので白バイが118キロで通行しても問題ないという根拠にはなり得ません。
以下が理由。

 

法4条2項は「前項の規定による交通規制」。
1項は都道府県公安委員会が「標識・標示・信号」を設置して行う交通規制だと書いてある。

 

4条2項をまとめるとこうなる。

公安委員会は標識・標示・信号を設置して交通規制できるが(1項)、その標識・標示・信号の規制対象を限定できる

北海道道路交通法施行細則3条の2は、「各都道府県公安委員会が設置した標識・標示・信号による交通規制」から除外するケースを定めただけ

 

もう一度北海道道路交通法施行細則に戻ります。

第3条の2 法第4条第2項の規定により交通規制の対象から除く車両は道路標識等により表示するもののほか、次の各号に掲げるとおりとする。
①法第4条第2項の規定により交通規制の対象から除く車両

法4条2項は1項の交通規制から除外する話。
1項は「都道府県公安委員会」が「標識・標示・信号を設置」して「交通規制」する。
つまり施行細則3条の2は、「標識・標示・信号」に従わなくていい条件を定めるもの。

 

②道路標識等により表示するもののほか

例えば標識により表示するというのはこれ。

「自転車を除く」として、標識による交通規制から除外することを「道路標識等により表示」してます。
このような標識による除外「以外」のものを細則3条の2で定めるのだと記してます。

第3条の2 法第4条第2項の規定により交通規制の対象から除く車両は、道路標識等により表示するもののほか、次の各号に掲げるとおりとする。
最高速度の規制の対象から除く車両
専ら交通の取締りに従事する自動車(高速自動車国道の本線車道にあっては100キロメートル毎時、その他の道路にあっては60キロメートル毎時を超える最高速度の規制を除く。)

 

③最高速度の規制

細則3条の2本文が「標識・標示・信号による公安委員会の規制」だとしているので、「最高速度の規制」とは「標識による最高速度の規制」を意味します。

 

ここまででご理解頂けるとありがたいのですが、これらを総合すると細則3条の2はこうなります。

「専ら交通の取締りに従事する自動車」は、公安委員会が設置した速度標識に従う義務から除外する。

つまり「専ら交通の取締りに従事する自動車」には細則3条の2(2)イの規定により、「速度標識がない道路」になりますが、速度標識がない道路では法定最高速度(令11条、一般道なら60キロ)に従う義務がある。
なので細則3条の2をまとめるとこうなる。

・「専ら交通の取締りに従事する自動車」は

・「速度標識がある道路」において

・「速度標識に従う義務から除外」し

・「法定最高速度まで出してよい」とする規定

条文から見て明らかかと…

「40キロ」の標識がある道路にて「専ら…従事する自動車」はこの速度標識に従う義務がない。
なので法定最高速度(60キロ)まではサイレンも赤色灯もなく出して構わない(もちろん安全運転義務まで免除するものではない)。

 

要は細則の内容は、本来であれば速度標識に補助標識として「専ら交通の取締りに従事する自動車を除く」とつけるべきところ、但し書きにある例外を除けば全て除外されると細則で定めているから補助標識で示してないのだと考えたほうが分かりやすいかも。
例えばこの標識に補助標識をつけなくても「自転車を除く」という意味になるように法令で定めたら、わざわざ補助標識をつけなくてもよい。

細則3条の2は、速度標識について

「専ら交通の取締りに従事する自動車を除く」という補助標識をつけなくても補助標識をつけたのと同じ効果を出す。
なので「専ら交通の取締りに従事する自動車」にとっては速度標識がない道路なので、法定最高速度に従う。

 

単にそれだけです。

 

そしてカッコ書きがなぜ必要になるか?

第3条の2
法第4条第2項の規定により交通規制の対象から除く車両は、道路標識等により表示するもののほか、次の各号に掲げるとおりとする。
⑵ 最高速度の規制の対象から除く車両
イ 専ら交通の取締りに従事する自動車(高速自動車国道の本線車道にあっては100キロメートル毎時、その他の道路にあっては60キロメートル毎時を超える最高速度の規制を除く。

例えば一般道で指定最高速度が「70キロ」の標識がありました。
上で書いた解釈によると「専ら…従事する自動車」は標識速度に従う義務から除外し、法定最高速度(60キロ)に従うことになる。

 

「専ら…従事する自動車」にとっては「70キロ」の標識がない道路になってしまいます。
一般車両が標識に従って70キロまで出せるのに、「専ら…従事する自動車」は法定最高速度60キロまでしか出せないという珍事が発生してしまう。

 

そのバグを解消するために、カッコ書きで除外しているわけです。

高速自動車国道の本線車道にあっては100キロメートル毎時、その他の道路にあっては60キロメートル毎時を超える最高速度の規制を除く

ここまででご理解頂きたいのですが、他県にも同じ規定があり、法令解釈通達が出ているので確認しましょう。

他県の法令解釈通達

他県にも北海道道路交通法施行細則3条の2に相当するものがありますが、上で説明した内容のまんまの通達になっています。

○石川県警

2 最高速度の規制対象から除く車両

警察用車両の最高速度については、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「法」という。)では、専ら交通の取締りに従事する自動車(以下「交通取締車」という。)であっても、最高速度の違反の車両等を取締中の緊急自動車を除いては、最高速度の規定(法第22条)の適用を除外する規定がない。したがって、交通取締車であっても、公安委員会の最高速度の規制(以下「指定最高速度」という。)に従わなければならないので、これらの車両をあらかじめ指定最高速度の対象から除外し、道路交通法施行令(昭和35年政令第270号。以下「令」という。)第11条に定める60キロメートル毎時を最高速度とするただし、指定最高速度が60キロメートル毎時を超えているときは、指定最高速度を交通取締車にも適用するものである。
なお、交通取締車が指定最高速度の規制の対象から除かれたのは、指定最高速度の規制区間内において、速度違反の車両等を追尾する場合の適応性を担保するためのものである。

 

https://www2.police.pref.ishikawa.lg.jp/information/upload/kisei20150731-3_1.pdf

○島根県警

⑵ 最高速度の規制から除く車両
法は、緊急自動車及び専ら交通の取締りに従事する自動車について、最高速度の規定(法第22条)の適用を除外する特例を設けていないため、公安委員会が最高速度の規制をした場合には、標識標示主義によりこれに従わなければならないこととなる
そこで、これらの車両については、あらかじめ公安委員会が行う最高速度の規制の対象から除外し、緊急自動車については、令で定める80キロメートル毎時(高速自動車国道においては100キロメートル毎時)まで、専ら交通の取締りに従事する自動車については、令で定める普通自動車又は自動2輪車の最高速度(60キロメートル毎時。高速自動車国道においては100キロメートル毎時)まで出せることとされたのである。ただし、専ら交通の取締りに従事する自動車については、公安委員会の最高速度の規制が60キロメートル毎時(高速自動車国道においては100キロメートル毎時)を超えている場合には、この規定を適用せず、公安委員会の規制した最高速度まで出せるように規定されている。
(第2号イかっこ書き)
なお、専ら交通の取締りに従事する自動車が最高速度の規制から除かれているのは、速度違反車等を追尾する場合の適法性を担保するためのもので、これによって従来の取締方法が変更されるものではない。
従って、速度違反車の追尾等で赤色燈を点燈し、サイレンを吹鳴しても支障のないものについては、すみやかに緊急自動車に切り替える等してこの規定を乱用しいよう留意すること。

 

https://www.pref.shimane.lg.jp/police/06_information_disclosure/kunrei_tsuutatsu/koutsuu/koutsuu.data/3kaisyaku.pdf

○鹿児島県警

第2 規制の対象から除く車両
2 専ら交通取締りに従事する自動車
(1) 法的根拠
細則第6条第1項第2号
(2) 適用される車両の解釈
「専ら交通取締りに従事する自動車」とは,規則第6条で「都道府県警察において使用する自動車のうち,その車体の全部を白色に塗った大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車又はその車体の全部若しくは上半分を白色に塗った普通自動車」としている。
具体的には白バイ,交通パトカーがこれに当たるが,自動車そのものの属性をいうのではなく,これらの自動車で交通取締りに従事している状態を指している。したがって,修理工場に回送中の白バイ等,交通取締りに従事していない場合は含まれないが,反面,警ら用パトカー又は捜査用車であっても,運用に基づいて交通取締りに従事する場合は,これに該当するものと解される。
(3) 除外される規制の種類
最高速度の規制から除外する。
ア 高速自動車国道の本線車道においては,100キロメートル毎時以下の範囲で走行することができる。ただし,県公安委員会において100キロメートル毎時を超える最高速度を指定している場合は,その指定速度以下。
その他の道路においては,60キロメートル毎時以下の範囲で走行することができる。ただし,県公安委員会において60キロメートル毎時を超える最高速度を指定している場合は,その指定速度以下。

 

http://www.pref.kagoshima.jp/ja07/police/joho/ichiran/documents/13620_20220929204424-1.pdf

 

○愛知県警

2 交通規制の対象から除外する車両の指定(第1条の2関係)

交通規制の対象から除外する車両は、第1条の2に統合し、交通規制の種別ごとに除外する車両は「号」で区分し、それぞれの解釈は次のとおりであるが、愛知県道路交通法施行細則(以下「細則」という。)にいう交通規制の対象の除外は、道路交通法(以下「法」という。)第4条第1項の規定により公安委員会が道路標識又は道路標示(以下「道路標識等」という。)によつて行う交通規制(細則第1条の3に規定する警察署長の交通規制を含む。)について、その適用を除外するものであり、法において直接に禁止又は制限している法定規制まで効果が及ぶものではない。また、「当該用務のため使用しているものに限る」とは、それぞれの業務目的に応じて現に使用中のものをいう。

ウ 最高速度規制から除外する車両

第1項第4号の「令第13条第1項第1号の7に規定する警察用自動車のうち、交通の取締りのため使用するもの(指定されている最高速度が、高速自動車国道の本線車道にあっては令第27条、その他の道路にあっては令第11条に定める速度以下の場合に限る。)」とは、パトカー、白バイ等や緊急自動車として運転している以外で、交通取締りを目的としての警ら活動などに従事している場合が該当する。ただし、この場合においても法の定める最高速度を超えることはできない

 

愛知県道路交通法施行細則の制定

○和歌山県警

専ら交通の取締りに従事する自動車

法第41条第3項及び規則第6条に規定する自動車(都道府県警察において使用する自動車のうち、その車体の全部を白色に塗った自動二輪車又はその車体の
全部若しくは上半分を白色に塗った普通自動車)並びに車体色にかかわらず専ら交通の取締りに従事するいわゆる覆面パトカーをいい赤色燈及びサイレンを備え付け、緊急自動車としての指定を受けているもので専ら交通取締りの目的のため使用中のものをいう。

1 緊急自動車の速度については、法第41条第2項の規定により速度違反を取り締まる場合には、公安委員会の規制区間を含めて最高速度の制限はないが、その他の緊急自動車については、法第22条第1項前段に規定するとおり、公安委員会の速度規制の対象となるので、これを除外し、公安委員会の規制区間でも令第12条第3項及び第27条の2第2項に規定する最高速度(高速自動車国道の本線車道100キロメートル毎時、その他の道路80キロメートル毎時)で走行できることとした。

交通取締車について速度違反等の車両を追尾する場合の適応性を担保するとともに、これの効果的な運用を図るため公安委員会の最高速度規制から除外し令第11条及び令第27条の2に規定する最高(法定)速度で走行できることとした専ら交通の取締りに従事するとは、主として交通の取締りに従事している場合をいい、単なる警らや一般走行の場合は該当せず、公安委員会の規制に従うこととなる。

3 公安委員会の規制が、高速自動車国道の本線車道において100キロメートル毎時その他の道路において60キロメートル毎時を超える場合は、この規定を適用せず、当該標識標示主義の建前からその指定速度で走行することができる。

https://www.police.pref.wakayama.lg.jp/05_kenkei/kunrei/1/401kouki/kouki01.pdf

これら他県警の通達が全て間違っているという主張をするのはさすがに無理筋ですし、条文上も「標識・標示・信号による交通規制から除外」する効力しかない。
単に「速度標識がある道路でも、専ら…従事する自動車は法定最高速度に従ってよい」とする規定。

この規定を適用した場合には例えば「40キロ」の標識がある道路でも、「専ら…従事する自動車」であれば赤色灯やサイレン無しで法定最高速度(60キロ)まで出してよい。

速度標識が無効な場合の判例

たぶん、速度標識に従う義務から除外された場合に法定最高速度に従う義務があるという点でつまづいているのかなと思うのですが、以下の判例があります。

指定最高速度が40キロの道路にて、被告人は67キロで通行し検挙されました。
被告人は「速度標識を見落とした過失により27キロ超過の指定最高速度超過罪」で起訴される。

 

まず裁判所は「速度標識が見えないから無効」とし、指定最高速度超過罪(過失犯)が成立しないとする。

本件現場において被告人に対し最高速度を規制すべき道路標識としては本件道路標識が存していたのであるが、本件道路標識は次に述べる理由により被告人のように市道から本件交差点に進入して左折し府道を東行しようとする車両の運転者に対する関係では適法有効なものであるとはいえない。すなわち、道路標識を設置して交通の規制をするときには、車両がその前方から見やすいように設置しなければ適法有効なものであるとはいえないところ(道路交通法4条1項、同法施行令1条の2第1項)、本件道路標識については、車両の運転者が市道から本件交差点に進入して左折するに際し、本件道路標識の方を注視しているかぎり、北東すみ切りの半ば付近に至れば左約45度斜め前方約10数メートルの距離にこれを見ることができ、さらにその後約10メートル進行する間も左前方にこれを見ることができるのであるが、前記認定の道路状況のもとにおいては、運転者は進路前方の交通の安全確認だけでなく府道を直進東行してくる車両に対する安全確認をもしなければならず、そのためには左折体勢に入りながら右後方を注視しなければならないことにかんがみると、左折にあたつての徐行義務を尽していても、左折しているときには本件道路標識を容易に認識することができないというべきであり、そして左折を終つて直進の体勢になつたときにはすでに本件道路標識は左前方の上方にあつてこれを見ることができないのであるから、結局本件道路標識は左折進行の運転者に対する関係では見やすいように設置されているものということができないのである(本来、交差点における左折車両に対する道路標識は、左折が終了して直進状態になつたときにおいて見やすいように設置すべきものであろう)。してみると、被告人は本件道路標識により最高速度の規制を受けるに由なかつたものであり、これを見落して本件現場において40キロメートル毎時をこえる速度で自動車を運転しても、なんら過失による指定最高速度遵守義務違反の罪責を負うことはないというべきである(なお、検察官は当審において、大阪府内においては、その全域につき普通自動車等の最高速度を40キロメートル毎時とする原則的規制がなされ、この規制が道路標識によるなされていることは公知の事実であるから、本件道路標識の無効は本件現場の指定最高速度が40キロメートル毎時に規制されていることに消長を来たさないとして最高裁昭和48年2月12日第二小法廷決定・刑集27巻1号8頁を引用するが、右判例は区域を指定してする速度規制の効力に関するものであるところ、本件は右判例と事案を異にし、道路の区間を指定して速度規制が行われている場合であるから、本件道路標識が無効であるかぎり、被告人に対してはその規制の効力が及ばないというほかないものである)。

 

大阪高裁 昭和50年5月30日

じゃあ無罪放免かという話ではなく、指定最高速度超過罪は成立しないけど法定最高速度超過罪が成立するとして7キロ超過としています。

被告人に対しては道路標識による最高速度の規制の効力が及ばず、過失による指定最高速度遵守義務違反の罪は成立しないのであるが、関係各証拠によれば、被告人は右公訴事実の日時、場所において67キロメートル毎時の速度で普通乗用自動車を運転したことが認められるので、被告人の右所為は故意に法定最高速度遵守義務に違反したものとして道路交通法118条1項2号の罪にあたるというべきである。そして、被告人の右行為は同法125条1項別表により同法9章にいう反則行為に該当し、かつ、記録によれば、被告人は同法125条2項各号に掲げる例外事由がないと認められるから、同章にいう反則者に該当するものであるところ、記録によれば同法130条各号の場合でないのに同条所定の反則金納付の通告手続が行われていないことが明らかであるから、本件公訴提起はその手続が規定に違反した無効なものといわなければならない。

 

大阪高裁 昭和50年5月30日

7キロ超過は青切符なので、まず青切符で反則金の支払いを求める手続きを踏まないと違法になる。
なので裁判は打ち切りになる。

速度標識が無効となれば「速度標識がない道路」になり、この被告人は法定最高速度(60キロ)に従う義務があるのだから当然の結果。
「被告人は本件道路標識により最高速度の規制を受けるに由なかつた」とありますが、被告人にとっては速度標識がないとみなされる。
「専ら…従事する自動車」は速度標識に従う義務から除外されているのだから(細則3条の2)、「速度標識がない道路」になり、法定最高速度に従う義務がある。
全く同じ原理です。

 

細則の内容はこれ。

・「専ら交通の取締りに従事する自動車」は

・「速度標識がある道路」において

・「速度標識に従う義務から除外」し

・「法定最高速度まで出してよい」とする規定

白バイが無制限にスピード出していいルールではありません。
むしろそんな危険なルールが存在すると思うほうが不思議です。

そうすると検察官の主張は何なのか?

じゃあ検察官の主張は何なのか?という話。

検察は、白バイの速度118キロについて、警ら中であり、法律上は問題ないとしているものの、通達を20キロも超える速度で走行するほどの緊急性が白バイにあったのかなどは、説明していません。

白バイ警官死亡事故、初の被告人質問は異例の“延長”へ…120キロで直進と右折で衝突、トラック運転手「遠くに自転車やバイクのような“影”が見えただけ。あの距離なら曲がれると思った」(HBCニュース北海道) - Yahoo!ニュース
2021年9月、北海道苫小牧市の交差点で、白バイと衝突し、警察官を死亡させた罪に問われている大型トラックの運転手の裁判…6日午後、初めての被告人質問が行われ、この日で終了の見通しでしたが、不明な点

速度超過車の追尾中だったならともかく、それ以外なら違法です。

検察官が勘違いしているのか、間違いに気がつきながら間違った主張をしているのかは読み取れません。
ただし勘違いする人が多いのですが、右折ドライバーの過失責任を問う裁判なので(どっちが悪いかを決める裁判ではない)、白バイの速度が合法か違法かについては右折ドライバーの過失とは関係がありません。
白バイの速度(118キロ)については検察側と被告人で争いがないので、118キロの対向直進車を予見する注意義務があったのか?が争点。

 

なので裁判所としても、「白バイの速度が合法か違法か?」については判断をする必要もないですが、少なくとも北海道道路交通法施行細則は検察官の主張を裏付ける根拠にはなりえません。

 

白バイの速度が何キロだったかを争った高知白バイ事件とは全く意味が違います。

苫小牧事件 高知白バイ事件
白バイの速度が118キロだったことに争いはなく、118キロの対向直進車を予見すべき注意義務があったのか?が争点 白バイの速度が何キロだったか?が争点

高知白バイ事件とは全く意味が違います。
単に被害者が「白バイ」という点しか共通点がない。

 

そもそも、細則とは条例です。
条例が法の規定を超えることはできません。

 

わざわざ細則が「法4条2項により」とつけているのは、各都道府県公安委員会が設置した標識等について、各都道府県の裁量で除外規定を作れるとした「法4条2項」に基づくからです。

 

で。
○○さんという方を信じる前に、きちんと条文や他県の通達から検討すればわかる話ですし、頭ごなしに「お前が間違っている」と言われましてもまあまあ困惑します。
その方が間違っているのは明らかですから、教えてあげたらいかがでしょうか?

 

間違うことは誰でもありますが、間違いを訂正しないのがダメなんですから。

 

他県の通達(複数)まで出しているのに「お前が間違っている」と言われましてもツラいですよね…
条文からも読み取れるし、他県の法令解釈通達が複数あるし、同様に解釈する判例があることを示しているのに、「間違っているだろ!」と言われるとちょっと厳しいのです。

 

一応は独りよがりな解釈にならないように、客観的な資料を複数提示しているわけなので。


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