先日のカンパ12速化とシマノの予想の記事について質問を頂きました。
http://roadbike-navi.xyz/archives/5274
これからロードバイクを買おうと思っている者です。
先日の記事で12速化の予想がありましたが、フレーム規格が変わってしまうくらいなら3×8=24速ではダメなのでしょうか?
2×12=24でどっちも同じですよね?
回答いたします。
【3×8】と【2×12】は全くの別物
3×8も2×12も、数学的に見たら全く同じ24になります。
数学というより算数の問題ですね。
ところが自転車については、【3×8】と【2×12】は全くの別物です。
近くもありませんし、圧倒的に【2×12】のほうが優位です。
これについては、正直なところロードバイクやクロスバイクに乗っている人にとって、ものすごく当たり前のことだと思います。
ただ、これからロードバイクを買おうと思っている人にとっては、何が違うのかわかりづらいかもしれませんので解説します。
フロント変速とリア変速の意味
ロードバイクのほとんどは、フロントギアは2枚です。
昔は三枚(トリプル)もありましたが、最近は見かけないですね。
ここで注目してみて欲しいのは、フロントギアの場合、アウターギアとインナーギアでは直径がかなり違います。
多くの場合、アウター50T、インナー34Tです。
50Tというのは、一枚のギア板に50個の歯があるという意味です。
なのでアウターギアとインナーギアの差は16Tもあります。
次にリアを見てみましょう。
リアの場合、ギアの部分はスプロケットと呼びます。
このスプロケには11枚のギアがありますが、隣同士のギアでは直径の差がそれほどありません。
私が使っているスプロケはこういう構成です。
11・12・13・14・15・17・19・21・23・25・28T
隣同士のギアの差を見ていくと、小さいところは1T差、最大でも3T差となっています。
ここから何がわかるかというと、フロントをシフトチェンジ(ギアを変える)する場合、一気に軽くなる、一気に重くなるという【大きな変化】を起こします。
一方、リアをシフトチェンジした場合、わずかに軽くなる、わずかに重くなるという【小さな変化】を起こします。
フロントギアとリアのギアでは、使い方が違うわけです。
一気に軽くしたい場合というのは、急激な登り坂ですが、こういう場合はフロントギアを操作して一気に軽くします。
リアの変速というのはわずかな変化をもたらしたいときに使うわけです。
なのでリアの枚数が多いということは、ちょっとした路面の変化などに対応できるのですが、リアの枚数が少ないとそれができません。
例えばリア8速のスプロケを見ていきましょう。
同じ11-28Tでも、8速になるとこうなります。
11・13・15・17・19・21・24・28T
隣とは小さくても2T差、最大で4T差となります。
ちょっと飛び飛び感が出てきてしまい、【13と15の間だと脚にちょうどいいんだけどなぁ・・・】といった不満が出てくるわけです。
さらに言うと、フロントギアは16T差など大きな変化をもたらす都合上、リア変速よりもワンテンポ遅れるイメージになります。
リア変速では、STI操作で一瞬で切り替わりますが、フロント変速はリア変速よりも力を使いますし、STI操作して切り替わるまでもリアより遅くなります。
なのでフロント変速をこまめにやるというのは現実的ではなく、疲れるし遅くなる原因ともなります。
こういった理由から、【3×8】と【2×12】では全く意味が異なりますし、どっちが使い勝手がいいかは一目瞭然なわけです。
フロントギアは事実上増やせない
リアが12速化してフレーム規格が変わるくらいなら、例えばフロントを4枚とか5枚とか増やせばいいんじゃね?と考える初心者の方もいるかもしれません。
これは事実上不可能です。
フロントギアの先にはペダルが付いているわけですが、フロントが4枚とか5枚になった場合、当然ですがペダル位置がどんどん外側に押しのけられていきますよね。
そうなるとどんどん股が広がっていってしまいますので、超乗りづらいです。
なのでフロントはマックスでも3枚でしょうし、ロードバイクでは原則として2枚です。
最近はマウンテンバイクでもフロントシングルのコンポもあります。
ぶっちゃけて言うと、フロント変速って面倒なんですよね。
横着してフロント変速はほぼ使わないという人もいるくらいです。
あと、デュラエースを【11速コンポ】と言いますよね。
決して【22速コンポ】とは言わないと思います。
要はリアが何枚あるかが使い勝手に直結するので、こういう呼び方なんです。
アルタスなんかは3×8コンポですが、決して【24速コンポ】とは言いません。
リア8速コンポとは呼びますよね。
リア12速化は期待できる?
カンパニョーロの12速化はスーパーレコードとレコードだけですが、この辺は一般人がなかなか買いにくい価格帯なので使う人自体が少ないでしょう。
問題はシマノがどう出てくるかです。
リアの変速段数が増すにつれて、どんどんチェーンは細くなっていっています。
チェーンが細くなるにつれて、チェーンの耐久性も落ちて言っているのが現状です。
個人的には12速が出ても、チェーンの耐久性には不安が残るので大丈夫なのか??という心配はあります。
チェーンの耐久性という面で見ると、8速チェーンなんて最強ですし。
とりあえずシマノからは何も発表がないですし、今年は105がモデルチェンジしてR7000になります。
シマノが12速化するとしたら早くても2020年だと予想していますが、どういう規格で出してくるのかは興味津々です。
その規格次第で、ユーザーがどうするかが変わるでしょう。
前の記事でも書きましたが、もしリアエンド幅を広げる方向で新型デュラエースを出してきた場合、フレーム買い替えしないと使えないので、そこまで普及しない気がします。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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