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自転車の「ながらスマホ」に新たに罰則が設けられたかのような報道は不正確。

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自転車の「ながらスマホ」に新たに罰則が設けられたかのような報道になっている。

携帯電話を使用しながら自転車を運転する、いわゆる「ながら運転」について、ことし11月1日から法律で禁止され罰則が科されることになりました

携帯電話を使用しながら自転車を運転する、いわゆる「ながら運転」が後を絶たないことから、ことし5月に成立した改正道路交通法では、「ながら運転」を禁止し、新たに罰則が設けられました

これについて30日の閣議で施行日が決まり、ことし11月1日から、
▽携帯電話を使用しながら自転車に乗って、事故を起こすなど危険を生じさせた場合、1年以下の懲役または30万円以下の罰金
▽画面を注視するなどした場合についても、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が
科されることになりました。

自転車“ながら運転” 11月から法律で禁止 罰則科されることに | NHK
【NHK】携帯電話を使用しながら自転車を運転する、いわゆる「ながら運転」について、ことし11月1日から法律で禁止され罰則が科される…

これはやや不正確な内容で、今も道路交通法上は違反で罰則もある。
ただし規定しているのが71条6号により各都道府県の公安委員会遵守事項なので、罰則が軽かった。

 

東京都の事例

(運転者の遵守事項)
第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(4) 自転車を運転するときは携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと

各都道府県の公安委員会遵守事項から、道路交通法の本文に格上げされる。
なので罰則がなかったわけじゃなく、罰則の引き上げ。

今まで 改正法施行後
規定 71条6号(公安委員会遵守事項) 71条5号の5
罰則規定 120条1項10号 118条1項4号/(交通危険)117条の4第1項2号
罰則 5万以下の罰金 6月以下の懲役又は10万以下の罰金/(交通危険)1年以下の懲役又は30万以下の罰金

今までは自転車の「ながらスマホ」は交通の危険を生じさせた場合でもそうでなくても71条6号(公安委員会遵守事項違反)にしかならなかったけど、道路交通法本文に格上げされ71条5号の5に「自転車」が含まれるようになり、交通危険を生じさせた場合の加重規定が適用されることになる。

第百十七条の四 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
二 第七十一条(運転者の遵守事項)第五号の五の規定に違反し、よつて道路における交通の危険を生じさせた者

ただまあ、交通危険を生じさせた場合のうち相手がケガをした場合には重過失致死傷罪(5年以下の懲役又は100万以下の罰金)で処理してきたわけで、71条5号の5を適用する場合がどんだけあるのかは疑問ですが、今までも普通に罰則があり禁止されているのにそれすら知られていなかったことに問題があるような気がする。

 

そしてもう一つ。
各都道府県警察間で、自転車のながらスマホに対する温度差が激しい。

 

自転車乗車中の携帯電話使用について興味深い報道がありまして、兵庫県がダントツ多いけど34県では検挙事例がない。

警察庁は、携帯電話を使用しながら自転車を運転する行為の罰則を強化し、反則金納付で刑事罰を免れる「交通反則通告制度(青切符)」の対象に入れることを検討している。携帯電話使用に起因する自転車事故は増えているが、摘発件数は地域によって偏りがある。兵庫県警が6割を占め群を抜いて多い一方、34県警では摘発がない。

携帯使用の自転車、罰則強化へ=事故増加で、摘発に地域差―兵庫6割、34県はゼロ・警察庁
警察庁は、携帯電話を使用しながら自転車を運転する行為の罰則を強化し、反則金納付で刑事罰を免れる「交通反則通告制度(青切符)」の対象に入れることを検討している。携帯電話使用に起因する自転車事故は増えているが、摘発件数は地域によって偏りがある。...

都道府県警察本部ごとに運用や考え方の差が激しい。
現状でも自転車のながらスマホは71条6号を適用し検挙可能ですが、兵庫県はビシバシ摘発しているけど34県警は摘発事例がない。

 

もちろん34都道府県ではながらスマホ自転車が全くいないわけもなく、「どうせ赤切符で面倒だし」とか「チャリだからなあ」みたいな運用なんだろうけど、法律が改正されても都道府県警察本部の考え方が同じなら結局何も変わらないのよね。
青切符対象になるからビシバシ摘発する…ということは警察庁/国家公安委員会が否定している。

国家公安委員会委員長記者会見要旨
令和5年12月26日(火)11:02~11:09

 

問   自転車運転の青切符を盛り込んだ報告書が国家公安委員にも報告されたと思います。そこでお伺いしたいのは今後の教育の問題です。特定小型原付でも具体的な教育があまりなされている様子がなくて、今後、警察庁だけではなくて文科省とか総務省とも連携しなければならないと思います。閣僚としてどのように働きかけるおつもりかお願いします。

答  まずご指摘の自転車につきましては、近年、対歩行者との事故が増加傾向にあるとこういうふうにまず認識をしております。そのことを踏まえまして、警察庁においては、本年の8月以降、有識者検討会を開催してきたところでございます。お尋ねのとおり、このたび、有識者検討会においては、安全教育、違反の処理、交通規制の3点に関して、今後の取組の方向性について提言をする中間報告書が取りまとめられ、提言いただいたところでございます。
このうち、交通安全教育につきましては、官民の知見により、それぞれの年齢層、ライフステージに応じた安全教育に係るガイドラインの策定をいたしまして、安全教育の質の担保をすることが提案されているところでございます。これを実現するためには、教育現場や自治体との連携が非常に重要であるため、関係省庁に対して必要な働き掛けを行っていくよう、警察庁を指導してまいりたいと考えております。
そのようにしっかりと連携をいたしまして、やってまいりたいと思っておりますが、違反の処理につきましては、自転車利用者による交通違反を交通反則通告制度の対象とすることが提言をされておりますが、制度の運用に当たっては、指導警告をまず原則といたしますこれに従わないなどの特に悪質、あるいは危険な違反に限っては青切符による取締りを行うことにより、目的である違反者の行動改善を促すこと、こういった取組をしっかりとやってまいりたいと考えております。

問   取締りについては、まず切符を切るということではないということですね。

答  申し上げたとおり、まずはやはり指導警告これを原則といたしておりますので、報道等では即青切符というイメージが残っておりますが、やはり交通ルールを守っていただき、結果的に事故が起こらないことが私どもの目的でございますから、その点については、申し上げたとおりでございます。

国家公安委員会委員長記者会見要旨

青切符制度が導入されても、基本は注意指導です。

ながらスマホ自転車に対し罰則強化はいいとして、運用が今まで通り&警察庁の指針からすると、基本は得意の「注意指導」。
罰則強化とやらが本当に効果的なのかは怪しいけど、今までは罰則がなかったかのような認識の人もそれなりにいるのかもしれません。

コメント

  1. てふてふ より:

    11月の改正で広島県では「ペットボトルを持ちながら」が禁止されます
    →県警のメルマガには五万円以下の罰金と書いてあります

    https://plus.sugumail.com/usr/hiroshima-police/doc/667660

    サイクルボトルの扱いが気になって広島県警交通企画課に確認したのですが
    サイクルボトルでも水分補給しながら走るのは駄目だそうです

    ・片手運転は不安定な状況を作り出すので停止して水分補給してください
    ・元々交通量の多い道路では禁止しておりましたがこの度全ての道路に規制を拡大します
    ・見つけ次第即刻罰金には成らないと思いますが声を掛けさせて頂くとは思います
    ・本行為で事故を起こした場合は検挙する可能性はあります
    ・レース等で交通整理されている場合はこの限りではありません
    とのことでした。

    しまなみ海道を走られる方はご注意下さい

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      気になって改正前後の条文を確認したのですが、同様の条文を持つ他県警では自転車走行中にドリンクを飲む行為が必ずしも「安定を失うおそれがある方法」とは言い切れず、その条文で規制することは困難とみているようです。
      あくまでも「物を持つ」とは「等」がついていることから「安定を失うおそれがある方法」の例示に過ぎず、物を持つ行為全てを「安定を失うおそれがある方法」とはみなせず検挙に妥当性がない。
      ただし、回答を受けたように検挙するかしないかの問題と、検挙ではなく注意指導するかしないかの問題は別なので、広島県警が条文の適用範囲を越えて注意指導することには問題がないかと。

  2. てふてふ より:

    ご確認ありがとうございます

    ながらスマホ→行為自体が違法
    ながらペットボトル→例示であり違法とまでは言えない
    と言う認識で合っていますでしょうか?

    私のような素人が報道や警察のチラシを見ると、
    どちらも「禁止されている=違法」と読めてしまうのですが
    違法行為と例示を見分けるコツ的なものがあればご教示下さい

    よろしくお願いします

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      傘を差す、物を持つ「等」とついてますが、あくまでも「視野を妨げ又は安定を失うおそれがある方法」の一例として「傘を差す」「物を持つ」「等」と例示列挙していることになります(「等」がつくのは例示列挙です)。
      ややこしい話になりますが、物を持つ行為全てを禁止にしているとまでは解釈できず、物を持つ行為であっても「安定を失うおそれがある方法」と言えなければ禁止とは言えないことになりますが、県警が「この場合はOK」「この場合はNG」と具体的に示すのは不合理です。
      要は仮に違反とまでは言えなくても、その行為は避けたほうが好ましいよねと言えるものは世の中にいくらでもあるわけで、県警的には分けてアナウンスするメリットがありません。

      停止して飲むほうが安全なのは言うまでもないし、県警がアナウンスする趣旨も理解しますが、サイクルボトルとペットボトルでは意味合いが違うので具体的事案はケースバイケースだと思われます。

      • てふてふ より:

        先ずは、「等」が見分けるポイントなんですね。

        お忙しい中、ご丁寧にご教示頂きありがとうございました

        • roadbikenavi roadbikenavi より:

          いえいえ。

          県警がそのように説明する理由は理解しますし、危険性がわずかにあるならすべきではないこともわかりますが、違反の成立というなら話は別かなと。

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