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JAFの横断歩道一時停止率調査が公開に。しかし…

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毎年JAFがやっている横断歩道の一時停止率調査結果が公開されまして、全国平均が53.0%、前年比で7.9ポイントアップだそうな。

 

この結果を受けて思うこと。

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事故数減少に役立つ調査なのか?

昨年も書いた内容から引用します。

JAFの横断歩道調査は、事故防止と関係するのか?
毎年のようにJAFが横断歩道での一時停止率を発表しています。長野県が毎回のように1位になりますが、じゃあ長野県は横断歩行者妨害による事故が少ないのか?という話になりますよね。それについて見ていきます。長野県と新潟県の比較比較的人口が近い、長...

比較的人口が近い、長野県と新潟県で比較してみます。
数字は昨年と一昨年。

長野県 新潟県
人口(R4年8月) 2,007,347 2,129,722
一時停止率(R5) 84.4% 23.2%
一時停止率(R4) 82.9% 25.7%

人口差は約10万人。
長野県は言わずと知れた一時停止率が高い県。

 

さて、今年の分を追加します。

長野県 新潟県
人口(R4年8月) 2,007,347 2,129,722
一時停止率(R6) 87.0% 49.0%
一時停止率(R5) 84.4% 23.2%
一時停止率(R4) 82.9% 25.7%

長野県は元々が高めなので微増、新潟県は倍以上になった。
さて、横断歩行者妨害の事故数をみてみましょう。

 

◯長野県

https://www.pref.nagano.lg.jp/police/toukei/koutsu/documents/r512-7ihan.pdf

横断歩行者妨害に関する事故数は291件(前年比45件増加)、負傷者は300人(前年比53人増加)、死者はゼロ(前年比2人減少)。

 

◯新潟県

https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/400558.pdf

歩行者妨害の項目をみると、事故数が253件(前年比49件増加)、死者が8人(前年比6人増加)。

長野県 新潟県
人口(R4年8月) 2,007,347 2,129,722
一時停止率(R6) 87.0% 49.0%
一時停止率(R5) 84.4% 23.2%
一時停止率(R4) 82.9% 25.7%
事故件数(R5) 291件 253件
事故件数(R4) 245件 204件

本当に一時停止率調査結果が事故減少に結びつくのかハゲしく疑問なんですが…
横断歩行者妨害に「横断歩道がない交差点の歩行者優先(38条の2)」を含む可能性があるので、必ずしも横断歩道の事故数ではない可能性もあります。

一喜一憂しても

横断歩道一時停止率が極めて高い長野県の事故数をみても、JAFの一時停止率調査と事故数には相関性がないことがうかがえるし、同程度の人口の新潟県との比較でも明らかかと。

 

なぜこうなるかは、調査方法にある。

調査場所
センターラインのある片側1車線道路で、原則として、調査場所の前後5m以内に十字路および丁字路交差点がない箇所で、道路幅員が片側2.75m~3.5m、交通量が3~8台/分(目安)とし、制限速度が時速40~60km程度の箇所

調査対象
横断歩行者側の車線を走行する自家用自動車、自家用トラック(白ナンバー)

 

信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2023年調査結果)
「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2023年調査結果)」についてご案内します。

見落としていたのは「10時~16時の間」と「小雨を含む雨天時以外に実施」。
つまり夜間や見通しが落ちる場合を含まず、交差点の付近ではないので見通しが悪いわけでもない。
さらに道路左側に限定しているため、

このように事実上最徐行が求められる場合も調査対象外。

 

要は見通し最高とも言える条件で調査したので、事故の発生リスクが低い条件とも言えるわけよ。
結局この調査は、一時停止率調査ではなく「減速接近率調査」に変えない限り、事故減少には繋がらないと思う。
減速してなかったから止まれず事故るパターンが多いのだから。

本件交通事故現場は前記のとおり交通整理の行われていない交差点で左右の見通しのきかないところであるから、道路交通法42条により徐行すべきことももとよりであるが、この点は公訴事実に鑑み論外とするも、この交差点の東側に接して横断歩道が設けられてある以上、歩行者がこの横断歩道によって被告人の進路前方を横切ることは当然予測すべき事柄に属し、更に対向自動車が連続して渋滞停車しその一部が横断歩道にもかかっていたという特殊な状況に加えて、それらの車両の間に完全に姿を没する程小柄な児童が、車両の間から小走りで突如現われたという状況のもとにおいても、一方において、道路交通法13条1項は歩行者に対し、車両等の直前又は直後で横断するという極めて危険発生の虞が多い横断方法すら、横断歩道による限りは容認しているのに対し、他方において、運転者には道路交通法71条3号により、右歩行者のために横断歩道の直前で一時停止しかつその通行を妨げないようにすべきことになっているのであるから、たとえ歩行者が渋滞車両の間から飛び出して来たとしても、そしてそれが実際に往々にしてあり得ることであろうと或は偶然稀有のことであろうと、運転者にはそのような歩行者の通行を妨げないように横断歩道の直前で直ちに一時停止できるような方法と速度で運転する注意義務が要請されるといわざるをえず、もとより右の如き渋滞車両の間隙から突然に飛び出すような歩行者の横断方法が不注意として咎められることのあるのはいうまでもないが、歩行者に責められるべき過失があることを故に、運転者に右注意義務が免ぜられるものでないことは勿論である。
しからば、被告人は本件横断歩道を通過する際に、右側に渋滞して停車していた自動車の間から横断歩道によって突然にでも被告人の進路前方に現われるやもはかり難い歩行者のありうることを思に致して前方左右を注視すると共に、かかる場合に備えて横断歩道の直前において一時停止することができる程度に減速徐行すべき注意義務があることは多言を要しないところであって、原判決がこのような最徐行を義務付けることは過当であるとしたのは、判決に影響を及ぼすこと明らかな根本的且つ重大な事実誤認であって、この点において既に論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。

 

東京高裁 昭和42年2月10日

道路交通法38条1項に規定する「横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。」との注意義務は、急制動等の非常措置をとつてでも横断歩道の手前で停止することさえできる速度であればよいというようなものではなく、不測の事故を惹起するおそれのあるような急制動を講ずるまでもなく安全に停止し得るようあらかじめ十分に減速徐行することをも要するとする趣旨のものであり、したがつて、時速25キロメートルでは11m以上手前で制動すれば横断歩道上の歩行者との衝突が回避し得るからといつて右の速度で進行したことをもつて右の注意義務を尽したことにはならない、と主張する。

(中略)

横断歩道直前で直ちに停止できるような速度に減速する義務は、いわゆる急制動で停止できる限度までの減速でよいという趣旨ではなくもつと安全・確実に停止できるような速度にまで減速すべき義務をいつていることは所論のとおりである。

 

大阪高裁 昭和56年11月24日

啓蒙のために一時停止率調査は必要かもしれないけど、それこそ夜間に実施して同じ数字になりますかね。
減速接近率調査に切り替えたほうがいいのよ。

コメント

  1. 元MTB乗り より:

    歩行者から見ると、完全に二極化している印象ですね。特に、軽トラとかワゴン等、そう言う職業の方はあまり停まってくれないです(ちょっと偏見入っているかもですが)。
    後、渡り始める前に通り過ぎればセーフ、と言わんばかりに減速接近しない方も多いですね。見通しが良い場合ならまだしも、見通しがきかなかったり、夜で見えない時に、自分が見えないから歩行者はいないと言う判断している気配もあります。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      ちょっと前に小学生の自由研究の報道があり、ババアは止まらないとありました(意訳)。
      凄い研究だなぁと衝撃を受けましたが、結局は減速してないから止まりようがないんですよね。

  2. jukka より:

    実際飛び出しは別として停止義務があるからと言っても相手の車が動いている時に横断歩道なんて渡れませんよね
    止まるのが終わってからでないと怖いです

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      実際はその通りなんですよね。
      轢かれるリスクがあるのに渡れない。

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