以前取り上げたことがありますが、花見川サイクリングロードにてロードバイクが溝に嵌まり落車した事故がありました。
千葉市が管理する花見川区のサイクリングコースを自転車で走行中、道路脇の溝で転倒して負傷したとして、コースの利用者が損害賠償を求めた訴訟で、千葉地裁は19日、市に約479万円の支払いを命じる判決を言い渡した。コースが安全性を欠いていたとの判断を示した。
この利用者は2021年3月、花見川区犢橋町のコースを走行中、対向車とすれ違うために左側に寄った際、道路脇の深さ約10センチの溝に前輪がはまって転倒。手のひらを骨折するなどした。判決では、「車輪の幅によっては、溝にはまって事故が発生することも想定される。通常有すべき安全性を欠く」とした。
サイクリングコース利用者が転倒し骨折、千葉市に479万円の賠償命令「通常の安全性を欠く」【読売新聞】 千葉市が管理する花見川区のサイクリングコースを自転車で走行中、道路脇の溝で転倒して負傷したとして、コースの利用者が損害賠償を求めた訴訟で、千葉地裁は19日、市に約479万円の支払いを命じる判決を言い渡した。コースが安全
ざっくり言いますと、判決文を要約すると上記報道の通りです。
とはいえ、サイクリスト的に気になるとしたら
・過失割合(過失相殺されるか?)
・破損したロードバイクは減価償却されるか?
ではなかろうか?
今回はナイショの話として判決文から確認します。
ナイショの話というのは、裏読みして「拡散希望という振り」ではない。
どうも裏読みしてしまう人が多いので、「拡散希望」と書けば「ナイショにしろという振り」と勘違いする人が出てくる。
本当に困った奴らだぜ…
で、事故の概要です。
事故現場は幅員3.2mのサイクリングコースで、舗装路と土溜め(幅0.7m)の間に出来た溝にロードバイクが嵌まり転倒。
溝の幅は少なくとも約2.9センチ、深さは少なくとも10センチ。
事故の態様ですが、左側を歩く歩行者を右から追い越した後に、対向自転車とすれ違うために左側に寄ったところ、ロードバイクの前輪が溝に嵌まり転倒。
道路管理者の主張は「8割の過失相殺をすべき」。
裁判所(千葉地裁 令和5年7月19日)は国賠法でいう道路の瑕疵を認め、ロードバイクに1割、道路管理者に9割の過失と認定しています。
ところで本題。
事故発生は令和3年3月末、ロードバイクを購入したのは令和2年2月、購入代金は約60万としている。
この件、自転車の修理代金が約100万となり購入代金を上回るため全損扱いになりますが、裁判所が認定した自転車の損害はいくらになるでしょうか?
購入から約1年、購入代金は60万。
さて裁判所が「自転車の損害」として認定したのは
被告(道路管理者)が提出した証拠や時間的経過を考慮して15マンとしてますが、被告が提出した証拠の中身はわかりませんが、もしかしたら同車種の中古価格を調べて提出したのかもしれません(時価が15万と判示している)。
このあたりの詳しい経緯は不明ですが、購入一年でこの認定は切ない。
なお、ヘルメットなどの損害については、購入代金を裏付ける証拠がないことや、経年の問題から損害として認定していない。
なかなか納得しにくいところですが、有事に備えレシートなどを保管しておいたほうがいいのかも。
まあ、レシートがあっても現存価値がゼロとされる可能性もあるのですが。
ちなみに過失割合はロードバイクが1割だと書きましたが、この事件で原告が請求したのは約3267万。
認容額は約479万なので、認められなかった請求が大きいことになりますが、認められてない大半は後遺障害や休業補償です。
裁判ってこんな感じですが、自転車の減価償却ってわりとビミョーなのよね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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