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交通事故と点数の関係。無免許酒気帯び運転による事故はどうなる?

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この人の解説は頻繁に不正確で驚きますが、

運転レベル向上委員会より引用

無免許+酒気帯び運転+ひき逃げ事故について反則点数の解説をしてますが、危険運転致死傷にしても過失運転致死傷にしても全部間違っている。

 

ほとんどの人はこんなヤバい事故を起こさないので何点になろうと関係ないですが、点数の出し方について解説しようと思う。

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点数計算の基礎

点数の計算方法は道路交通法施行令に規定されている。
ちょっと分かりにくいけど、施行令別表第二をしっかり読まないと間違いやすい。

 

別表第二
一 一般違反行為に付する基礎点数

一般違反行為の種別 点数
無免許運転酒気帯び運転(〇・二五以上)、過労運転等、妨害運転(交通の危険のおそれ)又は共同危険行為等禁止違反 25
酒気帯び(〇・二五未満)速度超過(五十以上)等 19
酒気帯び(〇・二五未満)速度超過(三十(高速四十)以上五十未満)等 16
酒気帯び(〇・二五未満)速度超過(二十五以上三十(高速四十)未満)等 15
酒気帯び(〇・二五未満)速度超過(二十五未満)等 14
酒気帯び運転(〇・二五未満) 13
以下略

13点未満の違反行為については割愛。
いわゆる安全運転義務違反(2点)なども「一 一般違反行為に付する基礎点数」に含まれ、無免許運転や酒気帯び運転も一般違反行為に含まれているが、「酒酔い運転」や「救護義務違反」は含まれていない。
とりあえず、「無免許運転」と「酒気帯び運転(のうち重い方)」はどちらも25点だと記憶しておけばよい。

 

次に同別表第二の二。

二 特定違反行為に付する基礎点数

特定違反行為の種別 点数
運転殺人等又は危険運転致死等 62
運転傷害等(治療期間三月以上又は後遺障害)又は危険運転致傷等(治療期間三月以上又は後遺障害) 55
運転傷害等(治療期間三十日以上)又は危険運転致傷等(治療期間三十日以上) 51
運転傷害等(治療期間十五日以上)又は危険運転致傷等(治療期間十五日以上) 48
運転傷害等(治療期間十五日未満又は建造物損壊)又は危険運転致傷等(治療期間十五日未満) 45
酒酔い運転、麻薬等運転、妨害運転(著しい交通の危険)又は救護義務違反 35

危険運転致死傷は被害者の死亡や治療期間によって点数に差をつけており、酒酔い運転や救護義務違反も「二 特定違反行為に付する基礎点数」としている。

 

次に同別表第二の三。

三 違反行為に付する付加点数(交通事故の場合)

交通事故の種別 専ら 以外
人の死亡に係る交通事故 20 13
人の傷害に係る交通事故が三月以上であるもの又は後遺障害 13 9
傷害事故のうち、治療期間が三十日以上三月未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。) 9 6
傷害事故のうち、治療期間が十五日以上三十日未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。) 6 4
傷害事故のうち治療期間が十五日未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。)又は建造物の損壊に係る交通事故 3 2

 

交通事故についての付加点数になるが、こちらについては「専ら運転者の不注意」と「それ以外」で分け、さらに死亡や治療期間によって点数を分けている。
なお「専ら運転者の不注意」の解釈はこちら。

「交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合」の解釈

施行令別表第2の3の表における「交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合」とは,当該違反行為をした者の不注意以外に交通事故の原因となるべき事由がないとき,又は他に交通事故の原因となるべき事由がある場合において,その原因が当該交通事故の未然防止及び被害の拡大に影響を与える程度のものでないときをいうものと解するのが相当である。

東京地裁 平成27年9月29日

ざっくり言えば、被害者に過失がないなら「専ら運転者の不注意」と捉えればよい。
なお民事の過失割合とは異なる概念なので混同しないよう。

 

とりあえず分かりにくいので、一般違反行為、特定違反行為、付加点数の三本柱と考えればよい。
巨人の三本柱といえば桑田、斎藤、槇原であることは言うまでもないが、施行令における桑田(一般違反行為)は数が多く(球種が多い)、斎藤(特定違反行為)は球種は少ないが威力がある。
槇原(付加点数)は先発が事故った際のストッパーと考えればよい。

 

喩えがビミョー過ぎて余計分かりにくいですね笑。

無免許+酒気帯び運転+ひき逃げの点数

さてそれらを踏まえて無免許+酒気帯び運転+ひき逃げの点数について考えてみる。

 

施行令別表第二にはまだ続きがある。

備考
一 違反行為に付する点数は、次に定めるところによる。
1 一の表又は二の表の上欄に掲げる違反行為の種別に応じ、これらの表の下欄に掲げる点数とする。この場合において、同時に二以上の種別の違反行為に当たるときは、これらの違反行為の点数のうち最も高い点数(同じ点数のときは、その点数)によるものとする。
2 当該違反行為をし、よつて交通事故を起こした場合(二の119から128までに規定する行為をした場合を除く。)には、次に定めるところによる。
(イ) 1による点数に、三の表の区分に応じ同表の中欄又は下欄に掲げる点数を加えた点数とする。ただし、当該交通事故が建造物以外の物の損壊のみに係るものであるときは、1による点数とする。

・「一の表」→一般違反行為
・「二の表」→特定違反行為
・「三の表」→付加点数

 

違反行為をして「よって」交通事故を起こした場合には付加点数を加えるとしている。
「よって」とは違反と交通事故発生に因果関係がある場合を指す。
しかし一方では「二の119から128までに規定する行為をした場合を除く」として除外していて、これらは「二の表」にある運転殺人等(119)や運転傷害等(121、123、125、127)、危険運転致死傷(120、122、124、126、128)のこと(詳しくは施行令参照)。
つまり危険運転致死傷については、付加点数を足さないと規定されている

運転レベル向上委員会より引用

なぜ危険運転致死傷に付加点数が加算されると説明するのかわからないけど、明らかな誤り。

 

次にこれの解釈。

備考
一 違反行為に付する点数は、次に定めるところによる。
1 一の表又は二の表の上欄に掲げる違反行為の種別に応じ、これらの表の下欄に掲げる点数とする。この場合において、同時に二以上の種別の違反行為に当たるときは、これらの違反行為の点数のうち最も高い点数(同じ点数のときは、その点数)によるものとする。

「同時に」というのは、一個の行為がたまたま2以上の違反になる場合には点数が高いほうのみをつけるとしている。
要は桑田や斎藤にカーブを要求したにもかかわらず、なぜかナックル回転の球がミットに収まったならば、より難易度が高いナックルと判定するという話だ(?)。
ナックルとカーブの両方として評価するわけではない。

 

そして「事故を起こす原因になった違反」と「事故後に逃げたこと」は別の行為なので、「同時に」には当たらない。
桑田がど真ん中にストレートを投じてバッターは右中間に三塁打を放ったが、ベースカバーに入った桑田のミスで本塁生還を許したとしよう。
この場合、「ど真ん中に投じ三塁打を許したミス」と「三塁打が成立した後に起こしたエラー」は別問題になる。
だからそれぞれを別問題として捉える。

 

従ってひき逃げ(救護義務違反)については、一般違反行為(一の表)や特定違反行為(二の表)とは別に点数が加算される。
救護義務違反は「事故後」の出来事なので、事故発生の原因にはなり得ない。

 

これらを踏まえて無免許+酒気帯び運転+ひき逃げについて点数を当てはめるとこうなる(治療期間30日未満と仮定)。

危険運転致傷と判断される場合 過失運転致傷と判断される場合(専ら運転者の不注意)
無免許(一の表) 25
酒気帯び運転(一の表)
付加点数(三の表) 6
特定違反行為(二の表) 48
救護義務違反(二の表) 35 35
83 66

まず、危険運転でも過失運転でも救護義務違反は必ずつく。
理由は「事故を起こした原因」と「事故後に取った行動」は別問題なので、別表第二にある「同時に」に当たらないから。

 

次に過失運転致傷として考えるときに、無免許運転+酒気帯び運転分は「同時に」に当てはまる。
従って点数が高いほうのみを選択し、付加点数は別につく。
しかしずいぶん安く見積ってんなあ…

運転レベル向上委員会より引用

この人は頻繁に点数計算を披露しているけど、頻繁に間違っているのでもう少し勉強したほうがいい。

 

この人の解説は間違いが頻発するけど、厄介なのは勉強することなく独自論になることや、間違いを改めない点。
判例の解説にしても認定事実を無視して違う事故態様にすり替えているケースが頻発してますが、事実を事実として扱わず軽視する姿勢がこのような間違いを頻発させているように見える。

 

なぜ間違いを連発しながらも自信満々に解説するのかわからないけど、点数計算(施行令)はわりと難しい。
わからないものはわかってから解説した方がいいけど、この人がやたら法律解釈を間違える理由がなんとなくわかるよね。
要はきちんと調べないまま解説するからこうなる。
かなりの頻度で点数計算を誤っているので、わからないなら解説しなきゃいいのに…

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