ちょっと前に書いた件。

「歩道通行したら青切符」という謎の誤解が広まってますが、法律上は「13歳未満と70歳以上」は標識の有無に関係なく歩道通行できる上に(63条の4第1項2号)、全年齢を対象にした「やむを得ないと認められるとき」(同3号)があるわけでして、多くの場合は「やむを得ないと認められるとき」に該当するだろうから「歩道通行=即違反」というわけでもない。
さらに国家公安委員長や警察庁は、「青切符は悪質な違反、注意指導に従わず違反を継続するとき限定で、基本は注意指導」とアナウンスしているわけで、
国家公安委員会委員長記者会見要旨
令和5年12月26日(火)11:02~11:09
問 自転車運転の青切符を盛り込んだ報告書が国家公安委員にも報告されたと思います。そこでお伺いしたいのは今後の教育の問題です。特定小型原付でも具体的な教育があまりなされている様子がなくて、今後、警察庁だけではなくて文科省とか総務省とも連携しなければならないと思います。閣僚としてどのように働きかけるおつもりかお願いします。
答 まずご指摘の自転車につきましては、近年、対歩行者との事故が増加傾向にあるとこういうふうにまず認識をしております。そのことを踏まえまして、警察庁においては、本年の8月以降、有識者検討会を開催してきたところでございます。お尋ねのとおり、このたび、有識者検討会においては、安全教育、違反の処理、交通規制の3点に関して、今後の取組の方向性について提言をする中間報告書が取りまとめられ、提言いただいたところでございます。
このうち、交通安全教育につきましては、官民の知見により、それぞれの年齢層、ライフステージに応じた安全教育に係るガイドラインの策定をいたしまして、安全教育の質の担保をすることが提案されているところでございます。これを実現するためには、教育現場や自治体との連携が非常に重要であるため、関係省庁に対して必要な働き掛けを行っていくよう、警察庁を指導してまいりたいと考えております。
そのようにしっかりと連携をいたしまして、やってまいりたいと思っておりますが、違反の処理につきましては、自転車利用者による交通違反を交通反則通告制度の対象とすることが提言をされておりますが、制度の運用に当たっては、指導警告をまず原則といたします。これに従わないなどの特に悪質、あるいは危険な違反に限っては青切符による取締りを行うことにより、目的である違反者の行動改善を促すこと、こういった取組をしっかりとやってまいりたいと考えております。問 取締りについては、まず切符を切るということではないということですね。
答 申し上げたとおり、まずはやはり指導警告これを原則といたしておりますので、報道等では即青切符というイメージが残っておりますが、やはり交通ルールを守っていただき、結果的に事故が起こらないことが私どもの目的でございますから、その点については、申し上げたとおりでございます。
国家公安委員会委員長記者会見要旨
実効性のある指導警告
運転に免許を必要としない自転車利用者に対して交通ルールを認識させる機会でもあることから、違反者自らの違反行為の危険性や交通ルールを遵守することの重要性について理解できるよう実効性のある指導警告を行う。
取り締まりの推進
警察官の警告に従わずに違反行為を継続したときや、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたときなどには、積極的に取締りを行う。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf
「歩道通行したら青切符」という説はほぼガセネタなんだと理解できる。
歩道の徐行義務違反や歩行者妨害があれば青切符の対象にはなるだろうけど、それらは「歩道を通行したこと自体」が問題なのではなく別の話。
こういうのを見ていて思うんだけど、
皆さんパブコメに意見下さい
さすがに歩道通行違反は歩道と車道から独立させた自転車専用道路を設けてからでないと話が通らない>警察庁は来月24日まで意見募集を行い、来年4月1日に施行する方針
「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集についてhttps://t.co/GtWsqgSsg0— 特攻野郎Q-TEAM®️@感染対策大明神 Re:Dive (@QBK_longride) April 24, 2025
「歩道通行アウトにすんなら」という前提が既にガセネタなわけで、法律上もそうだし、国家公安委員長/警察庁の見解からみても「歩道通行=青切符」とは読み取れない。
こういうのが単なる勉強不足の結果…というわけでもなくて、要は「歩道と車道から独立させた自転車専用道路を作れ」というムーブメントを加速させるためのダシに使っているだけなのよ。
歩道と車道から分離した構造(自転車道)は必要なんだけど、ざっくりいえばそれはそれ、これはこれ。
ガセネタでもムーブメントのダシにする精神は理解し難い。
で。
これの何がダメかというと、「歩道通行は即青切符」という誤解のままだと、自転車利用を控える人が出てきても何ら不思議ではない。
多くのママチャリは歩道通行しているわけで、「車道なんて危ない」と考える人がわりといるのは事実なんだから、「歩道通行したら青切符になるなら自転車に乗るのはやめよう」と考える人が出てきても何ら不思議じゃないよね。
自転車利用者が減れば、行政的には需要が少ない自転車に対して自転車道を作る意義がなくなるのだから、結局自転車道を作ろうとする動きは停滞に向かいかねないわけよ。
だから元ネタの「歩道通行アウトにすんなら」という誤解から解かないと、どこかで辻褄が合わなくなる。
だからきちんと前提を押さえた上で話を展開しないとダメ。
前提がおかしいまま話を展開するのって、例えばGOTAL横山氏も同じでして、

「アルカリでチェーンが割れたのはパイプクリーナーを使ったからだ!」とか「中国から仕入れた鋼材には安物のスクラップ材がある!つまりアルカリでチェーンが割れたのは安物のスクラップ材なんです!」などと語るんだけど、そもそも前提が間違っているのだから単なる妄想。
運転レベル向上委員会なんかも同じで、「悪い奴=逮捕」という誤った考えを前提にしているから、

現行犯逮捕されなかった理由を「中国人だから」とか「神奈川県警の忖度」などと陰謀論に走ることになる。
逮捕要件は「証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとき」なんだから、救急搬送された人を現行犯逮捕するわけがないだけなのよね。
事実誤認のまま主張を展開する人の心理は全く理解できないんだけど、冒頭の件にしても「そもそも前提が間違ってますね」でしかないし、さらにいえば「それはそれ、これはこれで別問題ですね」としか言いようがないのですが、
現状では「歩道通行したら即青切符」という誤った考えがインターネット上では主流になっている。
誤りを訂正しないなら「じゃあ自転車はやめよう」となりかねないことに気づいたほうがいいし、だから正しく理解することが大事なのよね。
しかしまあ、自転車ルールについては勘違いしている人が多い現状をみると、そりゃ事故になるわとしか言えない。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
車道怖いと言う割には、ノールックで飛び出すママチャリが多いのは矛盾に感じますね。
個人的にはシティサイクル乗りが一番信用できないので、怪しい自転車専用道路は作って欲しくない所ですね。
後、歩行者の立場で見ても危ないママチャリ乗り多いですので、乗るのを控えてもらうのは歓迎だったりするかな。
コメントありがとうございます。
結局、自分に都合よくしか考えてないから矛盾するんですよ。
世の中そういうものです。