PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

路外から無謀な進入をするクルマを回避可能か?

blog
スポンサーリンク

うわー、という感想しかないのですが、撮影車はお気の毒。

ところでこのような事故の場合に、撮影車は回避可能か?というところが議論になる。
これ、刑事・行政と民事では考え方が違います。

スポンサーリンク

路外から無謀な進入をするクルマを回避可能か?

話をみる限り物損事故のようですが、仮に路外合流車側がケガした場合(もしくは撮影車の同乗者がケガした場合)には、撮影車のドライバーは過失運転致傷罪の被疑者になります。

 

※あくまでも被疑者なので、過失運転致傷罪の確定者ではない。

 

要はこれ、刑事・行政における注意義務と、民事における注意義務の発生点に差があると考えられます。

 

刑事・行政では信頼の原則が確立しているので、「特別な事情がない限り、交通法規に反して無確認合流する車両があることを予見する注意義務はない(信頼の原則)」になる。
つまり回避可能性が問われるのは、路外合流車が実際に車道に進出したところになる。

この時点では制限速度を遵守していても回避可能性はない。
なので撮影車に過失運転致傷罪や安全運転義務違反が成立するには、「路外合流車が交通法規に反して無謀な進入をすることが予見する特別な事情」がない限りは成立しない。

 

ところが民事における注意義務の発生点はもっと前なのよ。

合流することが予見可能な様子が見える地点が民事における注意義務の発生点
一般的な過失割合を適用するとこうなる。

路外合流車 直進車
基本過失割合 80 20
幹線道路修正 +5 -5
85 15

幹線道路修正は片側二車線道路なら適用される。
撮影車からみて路外合流車が死角になっていたなら別ですが、民事では注意義務違反が認定される。

 

で。
わりと理不尽といえば理不尽な話にも思える。
要は民事でいう注意義務を履行するとしたら、

この時点かもうちょい前から徐行することになりますが、徐行したなら路外合流車は安心して無確認合流することになるともいえるわけで、本末転倒にも思えるわけです。

 

けど、民事の過失ってそういうものなんですよね…

 

強いていうなら、撮影車有利に主張したいなら

この時点で撮影車が徐行(時速10キロ程度)であったとしても、回避不可能だったことを計算して示すことが考えられる。
距離と制動距離を計算して「徐行であっても回避不可能」だと立証できれば、撮影車有利に修正される可能性はありますが、

 

示談交渉で相手が納得するかは別問題で、「そこまでいうなら裁判して」と言われるかもしれません。
裁判したら必ず主張が認められるわけではないし、裁判の手間を許容してワンチャンに期待するか、裁判なんか面倒だから一般的な過失割合を飲み込むかになる。

理不尽といえば理不尽

そもそもこの手の事故の主因は「無確認で無謀な合流をした路外合流車」にある。
そこを無視して撮影車を非難するのは違和感。

 

撮影車を非難している人が同じ事故に遭ったとしたら、撮影車と同じように主張すると思うのよね。
「回避不可能だろ!無過失だろ!」と…

 

他人事として見ているから「オレなら回避できた」みたいに言い出すような気がしますが、ワケわからんストレスを受けないためには自らが事故に遭わない努力をしたほうが賢明とも言えるのよね。

 

刑事・行政責任と民事責任は考え方がだいぶ違うので、刑事責任上は「予め徐行して警戒する注意義務はなく、実際に合流開始した地点で回避可能性があるか?」になり、民事責任上は「路外から合流しようとする様子が見える以上、減速して警戒すべきだった」になる。
刑事・行政責任と民事責任は目的が違うのだからこうなりますが、日本の道路交通が「かもしれない運転」を提唱するのはそういう理由でしょうね。

 

ところで昨年、赤信号無視した小学生の自転車と青信号通過しようとしたクルマの物損事故(被害者はクルマ)で、クルマが無過失になったと話題になりましたが、

自転車赤信号無視で「自転車過失100%」、認められたのは13万…
先日取り上げたこちら。赤信号無視の自転車(10歳)と青信号を徐行していたクルマが衝突し、ケガはなかったもののクルマの修理費を求め提訴した事件です。簡裁案件(140万以下)と徐行していたこと、小学生にケガがなかったことを考えると、クルマの修理...

これについて多くの人が見逃しているのは、「クルマは青信号にもかかわらず、見通しが悪いことから徐行していた」
無過失の理由はここにある。

 

民事は道路交通法の義務以上の注意義務を求めているとはいえ、徐行以上の注意義務となると「青信号でも一時停止」になり不合理。
なので青信号にもかかわらず徐行していたクルマに無過失認定するのは当たり前。
民事責任はそういうものですが、刑事責任を問われるようなものは論外として、民事無過失にしたいなら求められる注意はだいぶ違うのよね。

 

それらを知った上で、どう行動すべきかの考え方に差は出るだろうしそこは各自お考えください。

コメント

  1. 元MTB乗り より:

    当方は自転車ですが(車ほど速くないから間に合うと思うせいもありますが)、車は出てくるものとして備えますね。まあ、停まれるスピードにするせいで躊躇無く飛び出す車にもそこそこ遭遇しますが、事故起こすよりマシと考えるようにしています。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      それがベストでしょうね。
      どこを見てるのかわからない人はいますから…

タイトルとURLをコピーしました