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時速70キロのバック走行は「進行制御困難な高速度」に該当するか?

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時速70~74キロでバック走行し、歩道を歩いていた歩行者を電柱との間に挟み死亡させた事件。
危険運転致死罪(進行制御困難な高速度)に該当するかが争点になっている。

『時速70キロでのバック走行』は「危険運転」か「過失運転」か? 飲酒運転の車と信号機に挟まれ女性死亡 元ホストの男(24)の裁判始まる 熊本(RKK熊本放送) - Yahoo!ニュース
去年(2024年)6月、熊本市の県道で女性1人が死亡した事故で危険運転致死傷罪に問われている男の裁判員裁判が始まりました。男の運転が「危険運転」にあたるかどうかが、争点となります。■飲酒運転でバ
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行いよって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

「進行を制御することが困難な高速度」とは、法的評価を要する規範的構成要件要素であるから、運転者において、このような評価を基礎付ける事実、すなわち、道路の状況及び「進行を制御することが困難な高速度」に該当する速度で走行していることの認識があれば、進行を制御することが困難であるとの認識がなくても、同号の罪の故意犯としての非難が可能である(その評価を誤ったとしても、故意は阻却されないというべきである。)。また、「進行を制御することが困難な高速度」に該当する速度で走行している認識があるというために、その速度について具体的な数値の認識まで必要とするものではないことは当然であり、自車の走行状況を概括的に認識していることをもって足りる。

東京高裁 令和4年4月18日

注意が必要なのは、法2条2号の「進行制御」とは道路や車線に従って進行できるか、つまりコースから逸脱せずに通行出来るかの話であって、典型的には「スピード出しすぎていてカーブを曲がりきれない」ことを意味する(スピードが速すぎたために歩行者の飛び出しに対処できなかったようなもの、つまり対処困難性は対象外)。
ただし直線路であっても道路のわずかな凹凸や高速度による視野狭窄から、スピード出しすぎならコースを逸脱することになりうるのだから、直線路でも「進行制御困難な高速度」を認めた事例がある(大分地裁 令和6年11月28日)。

法2条2号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」とは、速度が速すぎるため、道路の状況に応じて進行することが困難な状態で自車を走行させることを意味し、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の状況や車両の構造・性能、貨物の積載の状況等の客観的事実に照らし、あるいは、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて事故を発生させる実質的危険性があると認められる速度で自車を走行させる行為をいい、この概念は、物理的に進路から逸脱することなく進行できない場合のみならず、操作ミスがなければ進路から逸脱することなく進行できる場合も含まれることを前提としていると解するのが相当である(東京高裁令和3年(う)第820号同4年4月18日判決参照)。なお、本罪が捉える進行制御困難性は、他の車両や歩行者との関係で安全に衝突を回避することが著しく困難となる、すなわち、道路や交通の状況に応じて、人の生命又は身体に対する危険を回避するための対処をすることが著しく困難となるという危険(対処困難性)とは質的に異なる危険性であることに留意する必要がある。

大分地裁 令和6年11月28日

で。
時速70キロでバックで進行しながらコースから逸脱せず制御することなんて普通はムリなので、危険運転致死罪が成立するでしょう。
進行制御困難な高速度の概念って絶対的なスピードの話ではなくて、その状況における高速度か否かの話。
例えばヘアピンカーブであれば時速50キロでも成立しうる。

 

大分地裁が「直線路の道路の轍」に対する制御困難性(高速度による視野狭窄も含めて)を認めたことや、現実に進路の逸脱がなくても制御困難性を認めたことから、検察もやっと勝負する雰囲気になってます。
以前は「直線路ならムリ」だとして争う以前に過失犯として起訴したものを、川口暴走事故にも危険運転致死を当てはめて起訴した。

 

時速70キロでバック走行して進路の逸脱なく進行できる人なんてまずいないので、今回の事例は普通に危険運転致死が認められると思いますが、

 

そもそも、バックで時速70キロも出るような構造は何ら必要がない。
特定小型原付は時速20キロまでのスピードリミッターがついてますが、バック走行についてもスピードリミッターがついているべきなのではなかろうか?

 

現実的に不必要な機能は危険防止のために排除する、という考え方もあるのよね。
仮に錯乱してアクセル全開で踏んだり、踏み間違えたとしても「バックは12キロまでしか出ません」みたいな構造であれば済むわけでして。

コメント

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