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不起訴理由の開示と、ビジネス系陰謀論者の暗躍。

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ちょっと前に金沢地検が「不起訴理由を原則公表する」みたいな報道があり注目していたのですが、最高検は社会的な関心が高い事件などでは理由の公表を積極的に検討するよう全国の検察に周知したそうな。

社会的関心が高い事件などでは「不起訴理由」の公表検討を 全国の地検に周知 最高検|FNNプライムオンライン
最高検察庁は、検察が社会的な関心が高い事件などを不起訴にした際には、積極的に理由の公表を検討するよう全国の検察に周知していたことが分かりました。不起訴の理由については、主に犯人ではないことが明らかな「嫌疑なし」、起訴するだけの証拠が足りない...

ところでここで問題になるのは、不起訴理由を公表することが名誉毀損等の問題になりうるという点。
不起訴には「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」がありますが、起訴猶予という処分は検察官が「被疑事実は明白」と判断したことを意味する。
つまり裁判で有罪が確定したわけでもないのに、「この人は犯罪者ですがいろいろあって今回は起訴を見送ります」というメッセージとも言えてしまう。

 

起訴猶予処分の公表については判例がある。

次席検事の本件回答は、「罪名 暴行」、「処分区分 不起訴(起訴猶予)」というもので、これは、担当検察官(E検察官)が、本件暴行被疑事件について、「被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないとき」(事件事務規定)に該当するとの判断をしたということを意味するものである。そうすると、不起訴処分の理由が、「起訴猶予」であるということが検察庁の外部に明らかにされることは、検察官が「被疑事実が明白」であると判断したことが明らかにされるということであり、これは被疑者の名誉、信用を毀損し、その名誉感情を大きく害するものである。
しかし、検察官によって公訴提起された事件であっても、無罪とされるものがあるように、検察官の「被疑事実が明白」という「起訴猶予」の判断が正しいとは限らないし、さらに、公訴提起(刑事訴訟法の定める厳格な手続の下で犯罪の証明を要することとなる。)をするか否かが慎重に判断されていることと比べると、公訴提起をしないことを前提とした「被疑事実が明白」との判断が誤っている場合も十分あり得るものといわざるを得ない。ところが、前記2及び3で原判決を引用するなどして説示したとおり、検察官の不起訴処分や不起訴処分の理由について、その当否を、被疑者が民事訴訟ないし行政訴訟を提起するなどして直接争う手段はない(本件においても、被控訴人は、これを前提として、控訴人の各請求を争っている。)。また、その他の訴訟において、間接事実として被疑事実が検察官によって「起訴猶予」とされたこと(すなわち、検察官が「被疑事実が明白」と判断したこと)が主張立証された場合などにも、その当否を判断するためには、検察官が上記判断の資料とした不起訴記録を検討することが最低限必要で、不可欠なものである(被疑者にとって不利なものであっても、有利なものであっても、捜査機関が入手できる資料と、私人が入手できる資料とでは雲泥の差がある。)が、私人である被疑者がこれを入手し、証拠として提出することは極めて困難である(刑事訴訟法47条)。そうすると、被疑者は、検察官が、被疑事実が明白であるとして起訴猶予とした判断が正当なものであったか否かを正当に争う手段は、事実上ないものといってよい(起訴された場合には、被告人として、これを争うことができる。)。なお、上級庁に対する不服申立ては可能であり、本件においても控訴人はこれを行っているが(前提事実⑶)、検察庁における内部的なものにすぎず、これに対する訴訟等は認められていないのであるから、これをもって正当に争う手段があるものとはいえない。
以上のとおり、「起訴猶予」という不起訴処分の理由は、検察官が「被疑事実が明白」であると判断したということであり、これが明らかにされることは、被疑者にとって重大な不利益が生じるもので、検察官の判断が誤っている可能性があるのに、被疑者にとってこれを争う手段がないものであるから、法律の規定(刑事訴訟法261条。なお、この規定は、検察官の不起訴処分に対し、告訴人、告発人又は請求人が検察審査会への審査の申立てや付審判の請求を行うための前提として、不起訴処分の理由を知らせる趣旨のものであると解される。)に基づくことなく、被疑者の承諾なしに、これを検察庁の外部に明らかにしてはならない性質のものというべきである。

名古屋高裁 令和6年5月30日

これを考えると、不起訴理由の公表可否は被疑者に一筆取るのだろうか。
ところで、「不起訴理由を明らかにしない」というのは、みんな大好き得意の陰謀論に繋がりやすい。
妄想力逞しい方々が真顔で解説しているのを見ると、噴き出してしまうことすらありますが、

 

では不起訴理由を開示すれば陰謀論が減るのかというと、あまり関係ない。
陰謀論者さんは、開示された不起訴理由にすら妄想逞しくあれこれ考えるだけなのでして。

 

「◯◯への忖度から、不起訴理由をねじ曲げて公表した可能性がある」

 

これが陰謀論者さんの思考回路。
陰謀論者さんは陰謀論を唱えて注目を浴び収益を得るビジネスモデルなので、いつでもどこでも陰謀論を唱える体制にあるのよね…
そして唱えた陰謀論がたまたま正解だったときには、「数々の不正解をなかったことにして」自らの考察力を持ち上げては信者を獲得するという、ある種の宗教性すらありますが、

 

そういうのが好きな人と「うち」は基本的に相容れないと思っていただいたほうがよいかと。

 

過去にもいたのよね。
根拠不明の陰謀論ばかりコメントしてきて、持論が受け入れられないとわかると発狂し、誹謗中傷に転じたので事実上の出禁扱いにした人が。
懲りずに別人を装い接触してきましたが、同一人物であることはバレているのでして。

 

不起訴理由の公表ですが、「嫌疑なし」の公表は被疑者の名誉回復にあたる。
「嫌疑不十分」の公表は、正直どちらにも解釈しうる。
「起訴猶予」は犯罪事実が明白だと捉えたことになるから、推定無罪の原則からしても本人の同意なしに公表するのは問題が大きい。

 

そもそも、「苫小牧時速118キロ白バイ事故」にしても、札幌地裁/札幌高裁の判決文が公開されているにもかかわらず、いまだ警察(または検察/裁判所)の陰謀だと思っている人がわりといる。
判決文を読めばわかるんだけど、

「苫小牧白バイ118キロ事故」について、札幌高裁が原判決を支持した理由。
いろいろ話題になった「時速118キロ白バイ」と「内小回り右折車」の事故。過失運転致死罪に問われた右折車ドライバーに対し、一審(札幌地裁  令和6年8月29日)は有罪判決、二審は原判決を支持し控訴棄却。そもそもこの判決の意味するところを報道が...

この裁判は基本的事実については検察官と弁護側で争いはなく、法的評価の問題。
この事実関係を前提にすると、有罪になるのは仕方ない(なぜならこの事故は「十分確認して右折したのに白バイが異常な高速度で突っ込んできた」のではなく、「右折前に確認しなかった結果、既に至近距離にいた対向白バイを見落とし、その白バイがたまたま時速118キロだっただけで仮に時速80キロだったとしても事故が起きていた」のだから)。

 

けど、この件を「高知白バイ事故」と結びつけて陰謀論を語る人が絶えない。
高知白バイ事故は、事実関係について検察官と弁護側に争いがある事例なので、苫小牧白バイ事故と一致するのは「被害者が白バイ」というだけなのよ。

 

けど、苫小牧白バイ事故のように、地裁高裁の判決文が公開されているのに陰謀論が絶えないわけで、そう考えると検察が不起訴理由を開示しようが開示しまいが、陰謀論者が手ぐすね引いて待ち構えているだけなのではなかろうか?
開示しないなら「開示しないのは検察官の陰謀」になり、開示したなら「不起訴理由を改竄したのではないか?真相は別のはずだ」と陰謀論を語る。
ビジネス系陰謀論者が増えすぎなのよね…

 

コメント

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