PVアクセスランキング にほんブログ村
スポンサーリンク

横断歩道で歩行者が譲ってきたら、パトカーは一時停止し確認後に通過。

blog
スポンサーリンク

以前から「歩行者が譲った場合に横断歩行者等妨害等違反(法38条1項)」が成立するかについては議論がありますが、

パトカーは「一時停止後」に歩行者が複数回譲ったのを確認し、普通に先に進んだと。

 

ここで法38条1項後段を確認しましょう。

(横断歩道等における歩行者の優先)
第三十八条 (前段省略)この場合において、横断歩道によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

分解します。

「一時停止」と「通行妨害禁止」の2つの義務を課しているのだから、一時停止せずに「歩行者が譲ったから」は論外。
一時停止後に歩行者が先に行こうとせず、しかも「先に行ってくれ」と促している状況で先に進んだことを「通行を妨げた(38条1項後段後部)」と言えるのか?となりますが、

 

普通に考えてそれを取り締まる理由なんてどこにもないし、通行を妨げたには該当しないのよね…

 

この話になると、「歩行者は肩を回しただけで先に行ってくれと促したわけではない」とか(無理筋)、「歩行者が譲った後、急に気が変わって横断しだしたら事故るだろ!」という当たり屋事案について語り出す人がいてビックリしますが、

 

歩行者が譲った事案とは異なりますが、以下刑事判例がある。

 

判例は東京地裁 昭和46年2月18日。
業務上過失傷害罪(現在の過失運転致傷罪)の事件です。

 

まずは事故の概要から。

・事故現場は車道幅20m(軌道敷含む)
・クルマは青信号に従い右折し、横断歩道手前で一時停止
・小学生3名のうち、2名が歩道に引き返した。
・1名(A)はそのまま横断歩道を左→右へ横断して被告人車の前を通過した(このとき2名は声を掛けた)。
・Aは軌道敷のレール部分でしゃがんで、手にした棒でレールをつつくようなことを始めた。
・Aは被告人車からみて、右前方5.6mの位置。
・被告人はAの様子を数秒間停止後して観察し、そのまま右へ横断すると考えた。
・被告人は現状、Aとの間に1.5mほどの側方間隔を置いて安全に通過できると考えた。
・被告人は時速5キロ程度でAを注視しながら進行したものの、突如Aが反転して左側歩道に戻る動きをしたため急停止したものの衝突

イメージはこんな感じなんじゃないかと(信号は割愛します)。

 

クルマが青信号に従って右折し、横断歩道の前で一時停止。

小学生のうち一名が被告人車の前を横断。
この際に、小学生は被告人をチラ見。

小学生は軌道敷のレール上にネズミの○骸を置く遊びを始め、被告人はしばらく観察していました。
被告人は小学生との側方間隔を1.5m空けて進行できると考え、小学生の様子を見ながら注意深く出発。

被告人は同人はそのまま右方に横断歩行していくものと考え、数秒間停止状態を続けたのち、同人の傍らを通過しても危険はないものと判断し、同人を注視しながら発進し、そろそろと約3.5m前進して車体が横断歩道上に半分位かかったときに、しゃがんでいた被害者が突如立ち上がって振り向きざま、やや斜め左後ろ方向に駆け出したので、危険を感じ急制動措置に出たが、1.85m位前進した被告人車両の右前部に被害者が衝突して転倒したものである。被告人としては、被害者が、被告人車両に事前に気付いていたのであるし、まさか、このような行動に出るであろうことは予想せず、しゃがんでいる同人の約1.5m位脇を無事通過できるものと考え、同人の動静を十分注視しながらゆっくり前進したものであって、運転者としての注意はつくしたつもりである、というのである。

これについて東京地裁は、運転者は注意義務を果たしていたとし無罪に。

検察官が主張するような注意義務があったかどうかを検討するほかはないが、被告人は被害者の動静注視は十分につくしていたと認められるし、また、本件当時のつぎのような状況、すなわち、本件現場が自動信号機によって交通整理の行われている大きな交差点の出口付近であり、都電の軌道敷を含めて車道幅員は計20mを越える大通りであって、学童等がしばしば不規則な行動をして遊びまわるようなことが予想されるようなところ(たとえば路地等の裏通りとか、広場付近、あるいは団地内の道路等)とはまったく異る場所であること、被害者らが当時9才の小学生で、しかも下校途中であったこと(幼児ではなく、また、交通規則等の遵守を期待できる通常の通行人と目し得る者であって、一見して交通秩序や危険にまったく無関心な路上遊戯者といえるような状態にある者とは認められない)を考えると、前記弁解事実のような状況下における通常の自動車運転者に、しゃがんでいる被害者が本件においてとったような突飛な行動に出るかもしれないことまでも事前に予想すべきであるとすることは難きを強いることになるというほかはなく、これを予見すべきであるとして構成されている検察官主張の注意義務はこれを認めることはできない、といわなければならない。なお、検察官の主張する警音器の吹鳴は、本来、本件のような状況下においてはそれ自体を業務上の注意義務として認めることはできない(なぜならば、ただ警笛を鳴らしてみても、相手がその警告を理解しないときは、他の注意、たとえば発進自体をさし控えるか、相手の近くで再び停止する等のことをつくさないかぎり結果回避は結局不可能であるからである)のみならず、かりに、そうでないにしても、被告人の弁解するように、もし、被害者が被告人車両の存在に気づいていたとすれば、そのような歩行者になお義務として警告を与えるべきであるとすることはいささか酷といわなければならない。そして、被告人は、被害者のしゃがんでいる姿をしばらく見届けたうえ、これを注視しながら、5キロ程度のきわめてゆるい速度で前進し、被害者の突然の動きを認めるとただちに急制動措置をとっているのであるから、この経過にも通常の自動車運転者としてとるべき態度に欠けるところはないと認められる。

 

東京地裁 昭和46年2月18日

「歩行者が急に気が変わった」ということがあり得ても、運転者が十分な注意を払っていたなら無罪になる。

 

ただしこの判例について補足するならば、事故の回避自体は可能だったと考える。
というのも、「窓を開けて小学生に声を掛けて両者で意志疎通してから発進していたなら」事故る可能性はほぼない。
その意味でも、「歩行者が譲った」とされる事案についても「窓を開けて歩行者の意思を確認してから発進」がベストと言えるのかと。

コメント

  1. 元MTB乗り より:

    あーだこーだ言う前に、減速接近と一時停止を守ってからにして欲しいですね。特に減速接近。停止する車両は確かに増えてはいますが、大体急制動かけてますし。そのあたりをしっかり守って、初めて譲られたから先に進むとなると思う。

    • roadbikenavi roadbikenavi より:

      コメントありがとうございます。

      減速接近で取り締まり強化したほうがいいんですが、警察庁が取り締まり指針を作らないと現場は動かないですよね。

タイトルとURLをコピーしました