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裁判の論点を見誤り、都市伝説を語るYouTuber…

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運転レベル向上委員会の危険運転致死傷罪への理解が乏しいことと、時速194キロ事故裁判の論点すらわかってないんだなとビックリしましたが、

立法時に説明された、「個々の歩行者であるとか通行車両があるということとは関係がない」という部分を最高裁がどう判断するかがポイントだとする。

 

この立法時の説明は、「制限速度であれば動的車両や歩行者との衝突を避けることができた」という、いわゆる対処困難性に関するもの。
立法時に対処困難性を含まないと説明されたわけですが、時速194キロ裁判においては一審時点から「対処困難性の話ではない」と確認され、対処困難性を判断するものではないことを明らかにしているのよね。
それについては検察も「対処困難性を含むべき」という主張はしておらず、最高裁がそこを判断することはないでしょう。

 

第3 検討
1 法2条2号の罪の成否
法2条2号の「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」とは、速度が速すぎるため、道路の状況に応じて進行することが困難な状態で自車を走行させることを意味し、具体的には、そのような速度での走行を続ければ、道路の状況や車両の構造・性能、貨物の積載の状況等の客観的事実に照らし、あるいは、ハンドルやブレーキの操作のわずかなミスによって自車を進路から逸脱させて事故を発生させる実質的危険性があると認められる速度で自車を走行させる行為をいい、この概念は、物理的に進路から逸脱することなく進行できない場合のみならず、操作ミスがなければ進路から逸脱することなく進行できる場合も含まれることを前提としていると解するのが相当である(東京高裁令和3年(う)第820号同4年4月18日判決参照)。なお、本罪が捉える進行制御困難性は、他の車両や歩行者との関係で安全に衝突を回避することが著しく困難となる、すなわち、道路や交通の状況に応じて、人の生命又は身体に対する危険を回避するための対処をすることが著しく困難となるという危険(対処困難性)とは質的に異なる危険性であることに留意する必要がある。

大分地裁 令和6年11月28日

対処困難性を含まないことはこの裁判の大前提なのだから、最高裁がそこを判断する必要もないし、全くあり得ない論点を創作しているのよね。。。

 

そして大分地裁判決が仮に確定したとしても、時速146キロの名古屋高裁判決を否定することにはならない。
なぜなら、名古屋高裁判決は対処困難性を含むかが論点であり、今回の裁判は対処困難性を含まない大前提において、道路の状況に対する制御困難高速度だったかを問題にしているのだから。

大分194キロ事故と、進行制御困難高速度危険運転。名古屋高裁判決と違う理由。
大分の194キロ直進車事故(被害者は右折車)について公判が始まってますが、この件は危険運転致死罪(進行制御困難高速度、通行妨害目的)を主位的訴因とし、予備的に過失運転致死罪で起訴。「通行妨害目的」の解釈は前回示しましたが、進行制御困難高速度...

今回の裁判の論点すらわかってなかったのか…

 

ところで最高裁が上告棄却するのが60%、破棄差し戻しが35%、破棄自判が5%という何の根拠もない数字を挙げてますが、

 

そもそも破棄差し戻しと破棄自判の違い。
最高裁は法律審と規定され、事実認定や証拠取り調べをしない。
そして下級審が適法に認定した事実に、最高裁は拘束される。

 

要するに、最高裁には出来ないお仕事(事実認定)があり、そこに疑義が生じたときには高裁に差し戻しするしかないわけ。
なので最高裁が出来ないお仕事が発生したなら破棄差し戻しするしかないし、最高裁がすべき法律解釈の話であれば破棄自判もしくは棄却する。
今回の裁判で一つ問題になっていると考えられるのは、一審で取り調べた証拠の価値。

 

一審でも証拠の価値は限定的にしか捉えていないですが、二審は証拠の価値を全否定したと思われる。

関係証拠によれば、捜査機関は、令和6年5月20日、捜査用車両を使用し、警察官2名に、本件道路において時速60kmで走行させた上、サーキット場において時速60km及び時速140ないし150kmで走行させて、車両の揺れ及びハンドルの操舵角を計測する実験を実施したところ、同じ速度(時速60km)で本件道路及びサーキット場を走行した場合、一定角度を超えるハンドル操作の回数は本件道路の方が多く、同じ場所(サーキット場)で走行した場合、速度が上がれば(時速60kmと時速140ないし150km)、車両の揺れが大きくなり、一定角度を超えるハンドル操作の時間当たりの回数が多くなるという結果が得られたことが認められる。

この点、弁護人が主張するとおり、本件道路における走行実験は、本件事故から3年以上経過した後に実施されたものであり、路面の状況が本件事故当時と同一であるとはいえないこと、使用車両が被告人車両と同種ではないことなどを考慮すると、前記の実験結果は、本件事故当時の被告人車両の揺れの有無・程度や被告人のハンドル操作状況を具体的に推認し得るものではないが、一般的に、自動車は、速度が速くなると、揺れが大きくなり、運転者のハンドル操作の回数が多くなる傾向があるという限度では、その証拠価値を肯定できる

大分地裁 令和6年11月28日

しかし経験則、論理則からみて証拠価値を全否定すべきなのかは疑問がある。
ここについて最高裁が証拠価値があると捉えたならば、差し戻しするまでもなく「原判決を破棄、本件控訴を棄却」で一審判決が確定する(控訴棄却すれば一審判決が確定するのは言うまでもない)。
しかし証拠価値についてさらなる審理が必要だと判断したなら差し戻しもあり得るでしょう。

 

そもそも、統計的にいえば「上告棄却は99%程度」になるのでして、ほとんどの上告は棄却なのよ。
差し戻しと破棄自判を含めても、1%あるかないか程度の話でしかなく、事案の概要を考慮したとしても棄却が9割以上でしょう。
今回の事案については、最高検察庁がどの判例を挙げて判例違反を主張するのかイマイチ見えてこない。
むしろ危険運転致死傷罪についての判例ではなくて、証拠価値に関する経験則、論理則の判例なんじゃないかとすら思える。

 

ただまあ、そもそもこの裁判は一審時点から「対処困難性を含まない」という大前提において審理されてきて、対処困難性を主張した形跡もない。
名古屋高裁判決とは根本的に論点が異なる裁判なのは明らかですが、そこすら理解してないとなると、この裁判をネタにしちゃダメなのよ。

 

なぜ運転レベル向上委員会がこのような明らかな間違いを語るかというと、この人が今まで力説してきた内容が全て崩壊するからでしょ。
右直事故だから右折車の方が過失割合が大きいと語る点も、残念ながらガセネタと言わざるを得ない。

著しい高速度の直進車と右直事故。過失割合の考え方について。
読者様から時速194キロ事故について質問を頂いたのですが、確かに直進車:右折車の基本過失割合は20:80ですが、一般的に著しい高速度の態様では基本過失割合は適用されません。現にこの事故について、当初被告人側の保険会社は「右折車80%程度」と...

著しい速度超過の場合には、基本過失割合が適用されないのは民事では常識的なことなのに基本過失割合に固執し、しかも大分地裁判決によると「損害全額」が支払われる見込みだとする。
つまり被害者無過失で過失割合については合意していると考えられるのに、なぜかそれを認めず持論を展開したがる。

 

勉強不足の人の成り果てなんだなとわかりますが、そもそも裁判の論点すら理解してないとなると、社会や被害者遺族に迷惑だからネタにしちゃダメなのよ。

 

ついでにいうと、名古屋高裁判決(津の146キロ事故)を最高裁に上告しなかった理由について運転レベル向上委員会は「前例ができるのを避けた」みたいな解説をしている。
これは明らかな誤りで、前例は名古屋高裁判決自体ができてしまったのであり、刑訴法でも最高裁判例がないときは高裁判例を判例違反として使えるとしているようにわりと重い。

 

津の事故で最高裁に上告しなかった理由は報道にもありますが、「適法な上告理由が見つからなかった」なのでして。

朗と共に生きる こんなんありえへんよなあ、おかん
三重:危険な運転、法改正訴え 息子亡くした母が初講演:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)交通事故で息子亡くした母親 法改正を訴える|NHK 三重県のニュース会員の大西まゆみさんが、三重県四日市市内で講演をされました。...

地裁から高裁に控訴するときと違い、最高裁に上告するには「高裁判決に憲法違反がある」か「高裁判決が判例に違反する」に事実上限られるのだから、憲法違反か判例違反を絡めた主張をしないと意味がない。

 

名古屋高裁判決は憲法違反、判例違反の要素を見いだせなかったから、上告しようがないのでして。

 

福岡高裁判決の判決文は公開されてませんが、一部メディアが掲載した判決要旨を見る限り、適法な上告理由は見つからずに断念する可能性が高いと思ってみてました。
しかし福岡高検は判例違反を主張するという。

 

その判例とはなんなのか、そして論点をどこに置くのかは不明ですが、少なくとも対処困難性を論点にすることはない。
なぜなら、一審時点から既に「対処困難性を含まない」という大前提において裁判をしてきたから(そこに検察も異論を述べていない)。

 

運転レベル向上委員会は都市伝説を語るチャンネルになってますが、原因は全て勉強不足なのよ。
都市伝説と陰謀論が好きなようですが…

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