あるところから頂いた内容ですが、SACRAのホームページおよび著書で、ワイヤーでもホイールが組める、という表現があるそうです。
実際にSACRAにその件を聞いてみたところ、ワイヤーで組んだホイールは見たことなく、自分でワイヤーで組んだこともないという話のようですが、実際にワイヤーで組めるのかという疑問は闇の中です。
たいして面白い話でもありませんが、そんな件について考えてみます。
ホイールを組めるという表現
Campagnolo – Zonda (ゾンダ) C17 ホイールセット
ワイヤーでホイールが組めるのかどうかですが、結論から言うと私にはよくわかりません。
わからない理由としては、ワイヤーで組んだことがないからというただ一点の理由です。
どういう結果になりそうかの予想はできても、結論はわかりません。
まず、ホイールを組むという表現を定義したいと思います。
ホイールは観賞用ではありませんので、あくまでも動的に動くものとして使えるレベルになるかどうかという話でしょう。
観賞用としてホイールの形になったとしても、実用上でありえないほど剛性が低くてブレてしまってまともに進まないとか、強度面で問題がありすぐに壊れるようなものであるならば、それは【ホイールとして組めます】とは言えないでしょう。
なので実用上使えるレベルになるかどうかが問題なわけです。
現行のパーツだけでは無理だと思う
一般的なスポークホイールというのは、スポークはハブとリムをつなぐ役割を持っています。
多くの場合、ハブ側ではスポークを引っ掛ける構造になっていて、リム側はニップルで固定したりテンションを変えることが可能な構造になっているわけです。
スポークホイールだとニップルとスポーク先端にはネジ山があるわけで、それにより固定できます。
ワイヤーにねじ切りするというのは現実的ではないと思いますので、何らかの形でテンションを変えることができる仕組みを作るしかありません。
一本の長いワイヤーを用意し、その長いワイヤーでハブ→ニップルホール→リム内部→ニップルホール→ハブ→みたいにやっていくことも想定できますが、そうすると振れ取りが不可能になります。
一本ずつ、スポークのように独立していることが大前提でしょう。
ニップルホールの中にワイヤーを引っ張ってテンションを変えることができるアジャスター的なものがないとテンションを維持できないと思いますが、このあたりは何かしら工夫すればとりあえず形としてはホイールを組めるかもしれません。
剛性と強度は確保できるのか?
ホイールとして組める、と言い切るのであれば、先ほども書いたようにあくまでも実走に耐えうるだけの剛性と強度を確保できるものを作れるという意味で間違いないと思います。
その上で書くと、スポークホイールでもそこそこの強いテンションでスポークを引っ張るわけですし、ワイヤーでそれをするのは難しいと思います。
ワイヤーで組めるという表現を使うときに、多くの人が想像するワイヤーというのは、スポークよりも細い糸のようなものを想像すると思います。
エレベーターを動かすため、工事現場のゴンドラを動かすためにかなり太いワイヤーがついていますが、そういう太いものを想定しているわけではないことは、ここでは明らかでしょう。
変速やブレーキのためにワイヤーがついていますが、ロード乗りなら当然知っているように、かなり伸びます。
よく新車を買ったあとにショップのほうから【1ヶ月経ったら初期伸びの調整するので持ってきて】などと言われますが、かなりワイヤーって伸びます。
ワイヤーの場合、かなり強く引っ張ると壊れますし、伸びてしまうと固定具としては使い物にならなくなるというのは皆さんが普通に経験してきたことだと思うので、私の考えではワイヤーでホイールを組むなんて無理なんじゃないの??と思ったりしますが、実際にやったことがあるわけではないので、正直わかりません。
組める、と言うなら証明したほうが
実際に組めるかどうかは私にはわかりませんが、著書やサイトで【ワイヤーでも組める】と言うのであれば、組んで乗って実践すべきではないでしょうか?
一般的な感覚ですと、ワイヤーでホイールを組むということは考えないと思います。
スポークと違って、テンションかかったときに伸びてしまって固定具としての役割は期待しづらいからです。
もちろん太いワイヤーを持ってくれば解決できるのかもしれませんが、そんなんでワイヤーでも組めると言われても、そんな太いワイヤーならスポークで組めばよくね?となっておしまいですし。
個人的にはSACRAさんが実際にワイヤーで組んで立証すべき問題だと思います。
組めると豪語するからには。
組んだこともないのに組めるというのはさすがにおかしいでしょう。
まあ、組んだことがない私が【組めない可能性】に言及することもおかしいんでしょうけどね。
組んでみて使い物にならないことを立証するべきなのかもしれませんが、組まなくてもだいたい結果は想像つきますからね・・・
細すぎるスポークにすると強度も剛性も落ちることはよく知られた事実だと思いますが、ワイヤーだとそういうスポークよりも強度も剛性もおちるでしょうし、本当に走れるホイールになるのかは疑問です。
もちろん、ワイヤーの数をかなり増やすとかも無しですよ。
SACRA KYLE5 IGNITE チューブレスレディ シマノ/スラム用 前後セット
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
毎日ブログの更新楽しみにしております。
名前はここではsugitaroとさせていただきます。
ワイヤーでホイールが組めるか?というお話ですが、過去に車のホイールでそのような話を聞いた覚えがあり、調べて(と言ってもネット検索しただけなのですが…)みたところ、車のワイヤースポークホイールなるものの説明がございましたので、リンクをお送りいたします。
https://car-moby.jp/245794#c1
ご参考までに…
コメントありがとうございます。
拝見させていただきましたが、確かにワイヤーと書いてありますが、自転車で言うところのスポークと同じようなものなのではないでしょうか?
一般的に言われるワイヤーとはちょっと違う気がしまして・・・
こんにちは
いつも興味深く拝見しております。
今回の話題のワイヤー組みのホイールですが、その昔確かにありました。金属ワイヤーではなくケブラーワイヤーでした。テンションディスクという名前です。MTB用で、クッション性が良く、乗り心地が良かったですよ。今と違ってリアサスなんてついてなかったですからね。
コメントありがとうございます。
ケブラーワイヤーのホイールもあるんですね。
スピナジーのザイロン繊維なら知っていましたが、ケブラー繊維の完組があることは知りませんでした。
スギノのテンションディスクみたいな感じにするつもりなんじゃないでしょうか。
あれはワイヤーじゃなくてケプラー繊維ですけど
コメントありがとうございます。
こちらですかね?
http://athletekato.fc2web.com/01-triathlon/01-06-goods-bike-wheel.html
確かにワイヤーで組んでいるのかもしれませんが、ここまでワイヤー数を多くするという条件なら組めるのかもしれませんが、ワイヤーで組めるという表現ならスポークと同等の性能をワイヤーで出せるという意味ではないかと思うので、これでワイヤーで組めるというのもなんか違う気がしてまして。
30年以上前になりますが、ブレーキワイヤーみたいな金属ワイヤーでできたスポークが市販されていたように思います。
ランドナーでロングツーリングするような人が予備スポークとして持ち運ぶのに便利、とか、そんな売り文句だったような。
通常のスポークが1本数十円のところ、ワイヤースポークは数百円したと思いますので、かなり高価ではありますが、どこかの物好きが全部ワイヤースポークだけでホイールを組んだ、なんていうウワサも聞いたように思います。
実は私も実物を見た記憶が無く、スポークの首やネジをどうやって接合していたのか、など、疑問だらけなのです。
コメントありがとうございます。
何で見たかは思い出せないですが、画像ではワイヤースポークのホイールを見たことがあります。
しかし、本数増やさないと強度も剛性も不足するのではないかと。