【フレーム生涯保証】に夢見すぎないこと。ジャイアントとトレックのケースについて。

ロードバイクのメーカーの中には、【フレーム生涯保証】を謳っているところがあります。
私が知る限り、ジャイアントやトレックですね。

よく、

フレーム生涯保証が付いているから安心

とか、




フレーム生涯保証が付いているメーカーを選んだほうがいいと言われた

という話を聞くのですが、個人的には全く関係ないと思ってまして。

フレーム生涯保証の中身

フレーム生涯保証というと、どうもフレームが壊れても新品に交換してもらえると勘違いしている人が多い気がします。
安心してください。
そんなケースはマレですよ。

具体的に、フレーム生涯保証を謳っているメーカーの規約を見てみましょう。

ジャイアントの場合

まずはジャイアント。

2. 保証期間
① フレーム(ダウンヒルを目的としたものは除く) お買い上げの日から生涯

https://www.giant.co.jp/news/information/417

これがフレーム生涯保証と言われるところですね。
これだけ見たら、一生涯、何があってもフレームが壊れたら新しくしてもらえると思っている人がいるようですが、当然ですがそんなわけはありません。

6. 保証できない事項
次に示すものに起因すると判定される故障は保証いたしません。
衝突、転倒、縁石への乗り上げ、溝等への落ち込み、その他使用上の不注意、間違い、事故等により生じたもの。
② 通常の使用において自然に生じた磨耗および劣化。
③ 当社が指定する定期点検を実施しなかった場合(初期点検2ヵ月以内、その後毎年の定期点検)。
④ 保守、整備の不備または間違いによる場合。
自転車の仕様が、購入時の状態から変更されている場合
ご自身で改造、修理、および不適当な調整をされた場合。(サドルの固定位置やシートポストの出しすぎなどの不適当な調整)
⑦ 火災、地震、水害、落雷、公害、塩害、その他天災地変による破損、故障。
⑧ 部品の通常の磨耗または疲労と認めたもの。弊社が消耗品と定めたもの。
⑨ 法令および弊社が示す使用の限度を超える使用。(最大積載量を超える積載および大人の二人乗りなど)(ジャイアント純正キャリアの最大積載量:そのキャリアの取扱説明書による重量まで)(ジャイアント純正以外のキャリアの最大積載量:前後合わせて15kgまで、但し前は5kgまで)
⑩ レースまたはそれに類する酷使、商用あるいは一般に自転車が走行しない場所での走行。自転車を通常使用とは異なる全ての状況での使用、すなわち取扱説明書に記載された使用方法に沿わない使用、商業的利用、自転車の競技に限らず全ての競技での使用、バイシクルモトクロスレース、スタント・ライディング、ランプなどのセクションを使ったジャンプやこれに準ずる走行、そしてこれらの乗り方を必要とするイベントや活動に向けた練習などでの使用。
⑪ 時の経過による変化で発生したもの(塗装面、メッキ面、プラスチック部の色の退色など)。
⑫ レンタルサイクル等の不特定多数によって使用される場合。
⑬ 一般に機能に影響のない感覚的現象(音や振動など)。
⑭ クギ、ビン、ガラス、切削クズ、鋭利な石などで生ずる外的理由によるパンク。
⑮ 一度でも使用されたあとで発見された傷や塗装の不具合など。
⑯ 本品質保証規定に記載されていない一切の事柄。ジャイアントはここで明記した、または明記していない保証以外の内容を、保証として行うことはありません。製品価値や特定の目的に対する適合性に関する事柄を含む、ここに明記されていない全ての保証は、ここに記載された保証の期間内にのみ適用されるものとなります。

これらの場合には保証しないと明記されています。
まず①を見てみましょう。

①衝突、転倒、縁石への乗り上げ、溝等への落ち込み、その他使用上の不注意、間違い、事故等により生じたもの。

つまり、落車や事故、ロードバイクを不意に倒してしまった、ボルトをオーバートルクで締めたなどでフレームが破損しても、保証しないと明記されています。
ショップで【フレーム生涯保証だから安心ですよ】とだけ説明を受けている人が結構いるようなのですが、そういう人ってなぜか落車などでフレームが割れても、新品に交換していると信じていたりします。

こういうのって、もしかしたらショップではきちんと説明しているのかもしれません。
ただ、お客さんの頭の中には【生涯保証】という言葉だけが独り歩きして、拡大解釈してしまっているだけなのかもしれませんが。

安心してください、落車は保証範囲外ですよ。

つまりこのフレーム生涯保証というのは、いわゆる初期不良だったり、リコール相当のことがない限りは保証の対象にはなりません。

もう1つ問題があって、

③ 当社が指定する定期点検を実施しなかった場合(初期点検2ヵ月以内、その後毎年の定期点検)。
⑤ 自転車の仕様が、購入時の状態から変更されている場合。
ご自身で改造、修理、および不適当な調整をされた場合。(サドルの固定位置やシートポストの出しすぎなどの不適当な調整)

ジャイアントが指定する定期点検をしていない場合は保証の対象外になることと、自分でパーツを取り付けなどした場合も保証の対象外になってしまいます。
つまり、パーツ交換は全てジャイアントの取扱店で行われないと、保証されないわけですね。
いや、購入時から変更されている場合もダメとありますが、これについてはどうなんでしょうかね?

トレックの場合

続いてはトレックの場合です。

生涯保証
フレームを最初にご購入された方が対象(例外は以下に記載)

https://www.trekbikes.com/jp/ja_JP/trek_bikes_warranty/

これだけ見ると、頼もしい限りですね。
フレーム壊れても新品に交換してもらえる・・・となぜか誤解している人が多いです。

この保証では、次の事項は対象となりません。
通常使用や保管による損耗
不適正な組み立て
不適正な購入後のメンテナンス
販売されたバイクへの互換性のないコンポーネント、パーツ、または付属品の取り付け
事故、誤用、濫用、または過失による損傷または故障
パーツ交換または変更に必要な工賃
レンタル、試乗、セキュリティー車両を含む商業的活動に用いられたバイク

単独落車によりフレームが割れた場合は、【過失による損傷】ですよね。
結構ややこしいのは、こちらの規定。

不適正な組み立て
不適正な購入後のメンテナンス
販売されたバイクへの互換性のないコンポーネント、パーツ、または付属品の取り付け

これがどこまでの範囲なのか、非常に曖昧になっています。

1つ言える事としては、ジャイアントもトレックも、フレームの保証というのは初期不良(製造上の欠陥)やリコールに該当するような状態の話だけということになります。

こういう話も一応あります。
https://bbs.kakaku.com/bbs/-/SortID=14719498/

生涯保証を謳うメーカーと、それ以外のメーカーの差

ジャイアントもトレックも、フレーム生涯保証というのは、フレームの製造上の欠陥(初期不良や設計ミスなど)のみが対象ということになります。
これは、どこのメーカーでも保証していることです。

生涯保証と謳ってなくても、どこのメーカーも初期不良であれば対応してくれますし、製造上の設計ミスなどがあれば大規模なリコールで対応します。
ビアンキもメリダもスペシャライズドも、フォークのリコール出してますよね。

スペシャライズドからリコールのお知らせ!Roubaix、 Ruby,、Diverge、Sirrusと広範囲の車種が対象に。

【リコール情報】スペシャライズドのALLEZ ELITEとALLEZ SPORTのフロントフォークに不具合が!

【重要】MERIDAからリコール情報が出ているぞ!!

【重要】ビアンキからリコール情報が出ているぞ!

ただしジャイアントやトレックで、他のメーカーとは唯一違う点があります。
それが【生涯】というところです。

一般的にですが、どんな製品でも、保証期間があります。
その保証期間を過ぎた場合、保証の対象外ということで有償修理になりますよね。
ジャイアントやトレックのいうのは【生涯】なので、保障期間を過ぎていても初期不良が見つければ保証されるという点です。

ただ1つ考えていただきたいのは、例えばあるメーカーのロードバイクの保証期間が5年だったとします。
6年目に、フレームの初期不良が見つかることって考えづらいですよね。
というより、もっと早く気づけよという話でもあるんですが、6年乗っていて今更初期不良が見つかるケース自体が、ロードバイクでは想定しづらいことです。

ビアンキ事故の件では、こういうことがありました。

詳しい経緯はこちらを見てもらえばわかるのですが、

https://matome.naver.jp/odai/2136469497589112901

この事故ですが、ビアンキのバックファイヤーという、フロントサスペンション付きのクロスバイクで走行中、フロントサスの左右のバネが折れた結果、走行中にフロントフォークが分離したという事故です。
当時はかなり報道されたもので、自転車乗りではない人でも、ビアンキは危険、と間違った意見を持つ人がいました。

この事故ですが、RST製のサスペンションフォークに、バネが破断してもサスペンションフォークが分離しない構造(アンカーボルト)がなかったことがひとつの原因とされています。
バネが折れても、アンカーボルトでサスが分離しないように設計していれば、フォークが分離することはなかったはずということです。

ちなみに今世間で出回っているサスペンションフォークは、アンカーボルトなどで分離しない構造になっているはずです。

このクロスバイク、実はイタリア本国のカタログには載ってないモデルでして、日本のアキボウという会社が設計・企画して、ビアンキの許可を得てビアンキのロゴを付けたクロスバイクでした。
さらにいうと、フロントフォークはRST製品であってビアンキ製品ではないので、責任の所在が分かりづらいものでした。

この事故の後、ビアンキから、このサスペンションフォークが搭載されている自転車について、点検をするようにと通達が出ています。

サイクルヨーロッパジャパン(株)は、Bianchi 2002年モデルのサスペンションフォーク搭載モデルで走行中のユーザーが転倒し、重傷を負う事故が発生したことから、該当モデルを使用している場合は速やかに自己点検及び購入店での点検を受けるよう注意を呼びかけている。事故当時、自転車のサスペンションフォーク内部のコイルが腐食のため破断し、フォークが上下に分離し得る状態であったとのことだが、事故発生の直接の原因についてははっきり分かっていない。なお、点検費用については、2002年モデルで保証期間を過ぎており経年メンテナンス費になるため、ユーザー負担となる。
また、2002年以降のBianchiモデルについては、事故が起きたのと同じサスペンションフォークが搭載されたモデル、ないし同様の構造を有するサスペンションフォークが搭載されたモデルはないことが判明しているが、安全に使用するため、3ヶ月~6ヶ月ごとの定期的な点検と、異常を感じた際の点検は欠かさないよう呼びかけている。

https://auctions.yahoo.co.jp/topic/other/recall/sports_recreation/post_2333/

要は保証期間を過ぎているため、フォークに問題があっても修理費用、交換費用は自腹ですよという通達です。
ジャイアントやトレックの場合、これが【生涯】ですよ・・・と言いたいところなのですが、この事故はフォークに問題があったわけで、ジャイアントやトレックは【フレームの生涯保証】です。

ジャイアントを見てみると

2. 保証期間
① フレーム(ダウンヒルを目的としたものは除く) お買い上げの日から生涯
② リジット前フォーク                お買い上げの日から10年
③ ダウンヒルを目的としたフレーム         お買い上げの日から3年
④ その他の部品(消耗品を除く)          お買い上げの日から1年

https://www.giant.co.jp/news/information/417

一般的なロードバイクはリジットフォークですのでフォークの保証は10年です。
サスペンションフォークは⑤に当たると思いますので、保証期間は1年ですね。

トレックもフォークについては2年~5年の保証となっている模様です。
(スイングアームという記載がサスペンションを指すかと)

フォーク、特にサスペンションフォークまでは生涯保証が付いていません。
なのロードバイクという面で見ると、生涯保証を謳っていようと、謳っていないだろうと、大きく変わることはないでしょう。

まあ、購入してから10年後に見つかった初期不良とかに関しては、生涯保証を謳ってないと保証されないでしょうけど、10年安全に乗れる初期不良ってなんなんだ?という問題もあります。
また購入して10年後に何か問題が起こった場合に、それが初期不良だと証明することは困難というか、まず無理です。

なので、フレーム生涯保証という言葉は、事実上はどこのメーカーでも変わらない内容とも言えます。
生涯保証と言っていても、言っていなくても、内容は変わらないということですね。

先ほど出したように、スペシャライズドもトレックもビアンキも、フォークの脆弱性があるということでリコールを出してます。
何か問題があれば、メーカーが事故が起きる前にリコールとして出す場合もあるわけです。
私が聞いている範囲では、スペシャライズド、メリダ、ビアンキともに、このリコール関係での事故は世界中で起こってないはずです。

ちなみにですが、確かトレックについては、事故や落車でフレームが割れた場合に、3割引などで新車を買えるプログラムはあったはずです。
3割引なのかについては、正確な数字はわかりませんが。

フレーム保証に夢見すぎないこと

この記事、勘違いしてほしくないのは、ジャイアントやトレックなどを否定しているわけではありません。
単に、【事実上】の問題として、フレーム生涯保証だろうと、そうでなかろうと、初期不良があればメーカーは対処してくれるはずですし、リコールがかかればどこのメーカーでも対処します。

どうもフレーム生涯保証という言葉だけが独り歩きして、

落車して壊しても、生涯保証だから安心

とか、

ネジ締めすぎてカーボンフレームが割れても、生涯保証だから安心

などと間違ったことを夢見ているドリーマーな方もいます。

安心してください、そういうのは自腹ですよ。

で、どうしても落車したり事故でフレームが割れたときのために、保証が欲しいという人もいます。
そういう人向けの保険は、実はあります。

ロードバイクの盗難に備えた保険、入ってますか?ZuttoRideの自転車盗難車両保険。

ZuttoRideの保険ですが、3つの特徴があります。

1、盗難全損特約

⇒万が一ロードバイクが盗難されてしまった場合に、備える補償。

2、事故全損特約

⇒事故でロードバイクが全損した場合の補償

3、事故分損特約

⇒事故で部分的な損傷を負った場合の補償

盗難 全損 分損
盗難に遭って発見できない場合、または、発見時の損害が酷く修理ができない全損の場合 修理ができない場合、または、修理費用が協定保険価額の80%以上となる場合 修理可能な状態で、修理費用の協定保険価額に対する割合が80%未満の場合

この3つの要素を組み合わせることで、月々の保険料も変わるようです。

プラン1 盗難+全損+分損ワイド 盗難の場合、または、全損の場合や修理費用が協定保険価額の20%を超えて80%未満(分損20%タイプ)の場合に保険金をお支払いします。
プラン2 盗難+全損+分損ミドル 盗難の場合、または、全損の場合や修理費用が協定保険価額の40%を超えて80%未満(分損40%タイプ)の場合に保険金をお支払いします。
プラン3 盗難+全損+分損スリム 盗難の場合、または、全損の場合や修理費用が協定保険価額の60%を超えて80%未満(分損60%タイプ)の場合に保険金をお支払いします。
プラン4 盗難+全損 盗難の場合、または、全損の場合に保険金をお支払いします。
プラン5 盗難 盗難の場合に保険金をお支払いします。

ただし保険ですので、当然ですがお金がかかります。
毎月シコシコとお金を払ってでも全損や分損に備えたいという人は加入したほうがいいでしょうし、毎月お金を払うのはバカバカしいから、自分で気をつけようと思う人もいるでしょうし。

間違っても

俺のロードバイクはフレーム生涯保証だから、こんな保険に入らなくても保証されている

などと考える人がいたら、大きな間違いです。
生涯保証の中身をよーく見てみればわかるのですが、保証の範囲は限りなく狭いです。
この規約だと、いわゆる初期不良しか保証の範囲外です。
しかも、自分でパーツ交換などで弄ったら、初期不良でも対象外ともあるので、むしろ他のメーカー、フレーム生涯保証と謳っていないメーカーよりも範囲は狭いかもしれません。

世の中、そんな甘い話はないんですよ。