ちょっと前に書いた話。
ご意見を頂きました。
前にも書いたように、自転車修理は請負契約(民法632条)なので、理論上はそうなります。
第632条
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
Contents
現実的な話ですが
前にも書いたのですが、請負契約は仕事の完成に対して報酬を支払う契約なので、修理を依頼して直ってないなら、直るまで報酬を支払う必要はない・・・と言えます。
ただこれ、前にも書いたように修理の内容次第です。
一番わかりやすい例は、シマノDi2(電動変速)。
電動変速がうんともすんとも言わない、つまり動かなくなったものに対して、何とかしてほしいと依頼したとします。
何とかしてほしいというのは、修理できるなら修理で解決、パーツが壊れているならパーツ交換という意味になると思うのですが、ショップに預けた結果、引き渡し時にやはり動かないままで返されたら、修理費用については支払う必要がありません。
ただし、検査費用については支払う必要があります。
プロショップの工賃って、検査工賃と修理工賃を明確にしてないこともあると思うので、そこが揉める原因になるのかなと思うのですが、そもそも動かない状態で預けて、動かないまま返される事例なんて相当なレアケースだと思うので。
まあ、実例をリンクでつけていますが・・・
普通、修理で直るのか、パーツ交換が必要かは診断してお客さんに知らせてから作業に着手すると思います。
何も知らせずにいきなりパーツ交換になると、高額になるので揉める原因にもなりますし。
あと分かりやすい事例でいうと、ママチャリのパンクですかね。
パンクしてタイヤがペチャンコの状態で自転車屋にお願いして、ペチャンコの状態のまま返された場合は、やはり修理費用は支払う義務はないです。
まあ、ペチャンコのタイヤをペチャンコのまま返すアホがいるとは思いませんが・・・
こういうのは、直っていない(仕事が完成していない)ことを理由に支払いを拒むか、直してもらうかのどちらかになります。
で、前の記事でも書いたように、仕事の完成の定義が難しいものっていくらでもあるんですよ。
例を挙げると、
・再現性が無い異音
ショップのメンテスタンド上で異音が再現されない場合、ショップも手探りで作業するしかないので直ったかどうかの検証が出来ない
・変速などの調整
どの程度のスムーズさが完成と定義できるのか難しいので、悪化しているなら別としてちょっとでも改善しているなら仕事の完成と言える
・振れ取り
どの程度まで振れが取れるかは技術者の腕でしょうけど、完成の定義が難しい
こういうのって、民法上の請負契約における仕事の完成って、【直る】ではなく【一連の作業】だと思うんですね。
修理工賃ではなく作業工賃になるのかと。
請負ってかなり幅広く成り立つ契約なので、難しい。
あと例えばですが、お客さんが変速がおかしいとお願いしたとする。
ショップは変速調整をしてみたけど、どうもおかしい・・・ということでチェーンの伸びを見たらかなり伸びている。
なので【チェーンの伸びが原因なのでチェーン交換が必要ですよ】とお客さんに言ったけど、お客さんは【じゃあいいや】となった場合。
これは当然、最初の変速調整分の工賃は支払う必要があります。
けどお客さんが【直ってないから支払いの義務はない】と言い出したとする。
こういうのってお客さんの勘違いの要素もあると思うのですが、お客さんは【変速を直して欲しい】とお願いしているけど、ショップは【変速調整の工賃】を請求しているわけで。
直す工賃の請求ではなく、調整作業の工賃なんですよね。
まあ、変速調整なんて1000円とかなんで、そんなもんをケチって拒むなよ・・・と思いますが、頭がおかしい客ならそうなりかねない。
修理工賃なのか?
作業工賃なのか?
点検工賃なのか?
これはお客さんも認識したほうがいいかと。
そもそもの信頼性
これも前に書いたことですが、そもそもショップとの間に信頼関係がないことがこういう問題の発端だと思うんですね。
私自身経験はないですが、信頼しているメカニックに何かをお願いして、帰りに乗ってみたらあんまり改善していなかったと仮定します。
次回行ったときに、あんまり変わってないか元は伝えますが、二回目の工賃はもちろん払います。
ゴネて、前回直ってないんだから、今回は無料だろとは絶対に言わない。
これはその人を信頼して今まで何度も助けてもらっていることが1つの理由。
もう一つ理由があるとしたら、他人をタダ働きさせることが好きになれないこと。
で、前に確か異音について相談したときも、ちょっと見てもらって作業してもらったことがあります。
その時、ショップのメンテスタンド上では異音の再現性が無かったので、こちらの話を元にショップの人も手探りで作業して、これでちょっと様子見てねという話だったのですが、
こう言われちゃったことも正直あります。
これは普段から買い物したりしているから・・・という事情もあるんでしょうけど、こちらとしては
このように伝えます。
実際、それでも【今回はいいよ】と言われちゃうので、こちらはありがとうございますと伝え、オイルとかチューブとかディグリーザーとかクリートとか、何か買って帰る。
工賃の代わり・・・みたいな感じですかね。
タダは良くない、という意思表示なんですが、一時期うちにディグリーザーとブレーキシューが溢れていたこともありましたw
タダだからラッキー・・・とは思わないです。
LOOK765を買ったときも、購入の契約をして届くまでの間に、乗っていたロードバイクのリアワイヤーが切れたことがあり。
その時も、
せっかく買ってもらったわけだし、ワイヤー代だけでいいよ。
工賃はおまけ。
こういうこともありました。
こういうときも、何か買って帰ります。
とりあえず言えることなんですが、信頼して任せられるショップを見つけることなんじゃないですかね。
直ってないから払わない!というのはトラブルなんでしょうけど、明らかなミスがある場合は別として、信頼関係が無いからそういうことが起こる。
このショップなら気持ちよく払いたいと思えるところに任せる。
ショップ難民の方もそこそこいるようで、買ったショップが信用できないという声はいくつも貰ってます。
なんでそんなにこじれるのだろう??と思うことも正直ありますし。
あと、いろいろ勘違いする人もいると思うのですが、自転車修理の工賃は作業がすべて完了しない限り確定しません。
これの理由ですが、お客さんが【〇×の修理っていくら?】みたいに聞けば目安は教えてもらえる。
けどメカニックが実際に作業してみたら、原因が全然違うケースもあるし、違う問題も見つかることがある。
だから、全作業が完了しない限り、工賃は確定しません。
最初に聞いた工賃と違う!みたいな話も聞くのですが、こういうのはショップの人の説明が悪い・・・んですかね??
けど、工賃は全作業が完了しない限り分からないという原則は知っておいたほうがいいのではないかと。
いろいろあると思いますが、明らかに壊されたとかではないなら、払うのが筋だと思います。
で、修理を頼んで直ってない状態で戻されたなら、とりあえずそのショップに改善されてないことを伝えてみてもらったほうがいいかと思うのですが、それでも直らないなら別のショップに行ったほうがいいのではないでしょうか?
請負契約は直ってないなら支払いの義務はない・・・と言えるのですが、請負における仕事の完成が何を意味するか次第。
実際のところは、支払いの義務が無いケースって、かなり限られる気はしますし、やり直しを命じることができる内容もかなり限られるはず。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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