先日書いたデイライトの記事について
ご意見を頂きました。
https://www.news24.jp/articles/2016/09/28/07342231.html
添付のサイトを見てください。
夜間でもハイビームにしたほうがお互いに認識しやすいと思いますし、実際ハイビームの方が事故を防げる確率が高いです。
眩しいと感じさせるくらいじゃないとこちらの存在には気づいて貰えないこともしばしばです。
たかが眩しいくらいです。失明させるわけでもないでしょう。
眩しくさせなければこちらが被害を被る、またはこちらに気付かずに飛び出してきた歩行者に加害させる可能性だってあるのですよ。
一度、交差点で危険な右折をしてきた車に聞いたことがあるのですが、彼は「見えていなかった。」と言っていました。やはりこちらが存在を示すしかないのだなと。それからデイライトを付けるようになりましたし、ハイビームにすることにしました。
それからはこういったヒヤリハットは少なくなった気がします。
というお話です。
さらに追加でメールも頂いてますが、車の話で【原則はハイビーム、対向車などがいるときにロービームにするのが法律の定め】というお話も頂いてます。
ちょっとだけ気になる点がありまして。
<長くなるので先にまとめ>
・夜間に原則ハイビームという規定は、自転車には必ずしも当てはまらない
・都道府県によっては、自転車の夜間ハイビームを禁止しているところがある
現実問題として
添付していただいたURLが夜間のライトについての話ですが、コメントいただいた内容だとデイライトになっているので、どっちの話をしているのか不明なのですが、デイライトについてはハイビームでも眩しいということはほぼ無いと思います。
なのでデイライトではなく夜間のライトの話として進めます。
というよりもデイライトについては法的な規制もありませんし、眩しいと感じさせる恐れも少ないので、ハイビームだろうと問題ないかと思われます。
ひとまず法律的な側面を除いて書きますが、このようにハイビームが原因での事故も起きています。
気になったのは、
この書き方だと、失明させなければOKとも捉えられかねないといいますか。
世の中にはいろんな人がいて、目の疾患によりライトが異常に眩しく感じる人もいます。
そんな奴が夜間に車なんか乗るなよ・・・というのももっともの話なんですが、現実的にそういう人もいるわけですし、ハイビームの眩しさで対向車が正常なコースから外れて突っ込んできたら、避けようがありません。
眩しさで不快感やモノの見えづらさを起こすことを【グレア】と呼びます。
グレア(glare、眩輝『げんき』、眩惑『げんわく』)とは、不快感や物の見えづらさを生じさせるような「まぶしさ」のことをいう。ある光の状態がグレアとなりうるか否かは、周辺の総合的な環境と個々人の生理的状態で決まる。光源とその周辺との明るさのバランスや、直接光・間接光の別、視線の方向と光源のなす角度などにも依存する。また、同じ光環境、同じ位置であっても、観察者の特性によってグレアとして受け取られるか否かは異なる。特に高齢者はグレアを感じ易く、また不快感から回復するのに要する時間も長い傾向にある。
グレアは、程度によっては単なる不快感にとどまらず、眼の障害や、状況把握能力の急な低下による事故などにもつながるため、照明器具の設計や照明計画などにおいては、グレアを防ぐことが必須となる。国・地域によっては、道路交通や照明設計に関して、グレア防止のための法規が整備されている。たとえばヨーロッパでは「輝度制限法」によって照明器具の輝度が制限されている。
グレア - Wikipedia
グレアについては人によってどう感じるか、どうなるかが違うため、眩しいという感覚から事故に至るケースもあります。
失明させなきゃOKみたいな書き方は、あまり賛同できません。
ハイビームと法律
まず、灯火についてですが、道路交通法により定めがあります。
第五十二条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
本来ですが、通常はハイビームを使用し、対向車がいるときはローに落とすというのが法律の定め。
対向車だけでなく、他の車両の後を走るときもハイビームではなく落とすようにとなっています。
【他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは】とありますが、あくまでも【おそれがあるとき】なので、夜間に対向車とすれ違うとき、他の車両の後ろを通行する場合は基本的に当てはまると考えていいです。【他の車両等の交通を妨げるときは】ではないのでご注意を。
これについては警察庁も公式アナウンスとして出しています。
夜間、街灯が少ない暗い道などを走行する時は、前照灯を上向き(ハイビーム)にすることで歩行者などを遠くから発見することができ、早期の事故回避措置が可能となります。
ただし、ハイビームは他の車両等を眩惑させるおそれがありますので、対向車と行き違うときや、ほかの車の直後を通行しているときは、前照灯を減光するか下向き(ロービーム)に切り替えてください。
交通量の多い市街地の道路などを通行するときもロービームに切り替えましょう。
ハイビームの上手な活用で夜間の歩行者事故防止|警察庁Webサイト
で、原則はハイビームで、対向車とすれ違うときなどは減光ないしロービームにするようにというのが道路交通法の定めです。
で、この規定について、車だけなのか、ロードバイク(自転車、軽車両)も当てはまるのか?という話です。
結論から言いますと、自転車については【原則ハイビーム】とする法律はありません。
まず、車で【原則ハイビーム】とする法的根拠から見ていきます。
道交法52条に出てくる【政令】とは、道路交通法施行令を指します。
道路交通法施行令18条に灯火の規定があります。
第十八条 車両等は、法第五十二条第一項前段の規定により、夜間、道路を通行するとき(高速自動車国道及び自動車専用道路においては前方二百メートル、その他の道路においては前方五十メートルまで明りように見える程度に照明が行われているトンネルを通行する場合を除く。)は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める灯火をつけなければならない。
一 自動車 車両の保安基準に関する規定により設けられる前照灯、車幅灯、尾灯(尾灯が故障している場合においては、これと同等以上の光度を有する赤色の灯火とする。以下この項において同じ。)、番号灯及び室内照明灯(法第二十七条の乗合自動車に限る。)
二 原動機付自転車 車両の保安基準に関する規定により設けられる前照灯及び尾灯
三 トロリーバス 軌道法(大正十年法律第七十六号)第三十一条において準用する同法第十四条の規定に基づく命令の規定(以下「トロリーバスの保安基準に関する規定」という。)により設けられる前照灯、尾灯及び室内照明灯
四 路面電車 軌道法第十四条の規定に基づく命令の規定に定める白色灯及び赤色灯
五 軽車両 公安委員会が定める灯火
車では【原則はハイビーム】が正解ですが、これの法的根拠について。
夜間は、道交法52条1項に定めるライトを点けることが求められています。
法52条1項では【政令で定めるところにより】とあるので、政令である道路交通法施行令18条の1にある【保安基準】を満たすライトが必須になります。
保安基準では、車の場合は前方100mの障害物を確認できることが求められているので、それを満たすのはハイビームだけになります。
保安基準は国土交通省の定めです。
なので車の場合は、原則はハイビーム、対向車が来たときや他の車両の直後を走るときはロービームで正解。
で、ロードバイクは軽車両に当たりますが、令18条1項5号に【公安委員会が定める灯火】とあります。
公安委員会が定めるというのは、各都道府県の道路交通法施行規則によるものです。
(都道府県により微妙に名称が違います)
例えば東京都道路交通規則。
(軽車両の灯火)第9条 令第18条第1項第5号の規定により軽車両(牛馬を除く。以下この条において同じ。)がつけなければならない灯火は、次に掲げるものとする。
(1) 白色又は淡黄色で、夜間、前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる光度を有する前照灯
前方10mとなっています。
これは都道府県によっては5mの場合もあります。
車では前方100mを照らせることがデフォルトとして求められるので、それが出来るのはハイビームだけ。
ロードバイク(自転車)の場合、前方5mか10mになっているので、ハイビームではなくても照らせる。
なので自転車が夜間走るのに、ハイビームである必要性を求められているとはいえません。
相当ショボいライトならハイビームじゃないと10mとか5m届かないかもしれませんが、高輝度ライトならハイビームにしなくても届くでしょうから。
なので【原則はハイビーム】というのは、ロードバイク(軽車両)には当てはまっていないとみていいでしょう。
そこそこのライトであれば、下向きにしても前方5mもしくは10mは達成できるはずです。
単に【政令に従ったライトを点けろ】というだけ。政令に従った結果、車はハイビームになるし、ロードバイクは都道府県の条例に従って前方5mか10mの視野が確保できれば法律を満たせる。
法令上の前方視野 | ビーム | 根拠法 | |
車 | 100m | ハイビームじゃないと無理 | 道交法52条1項
道交法施行令18条1項1号 |
自転車 | 5mか10m | ローでも満たせる(都道府県によっては向きの指定アリ) | 道交法52条1項
道交法施行令18条1項5号 都道府県の条例 |
じゃあ、自転車で前方5mもしくは10mを達成できるライトであれば、ハイビームで使ってもいいのか?という話になります。
実はこれ、都道府県によっては明確に否定しています。
まずは埼玉県の道路交通法施行細則。
第7条 令第18条第1項第5号に規定する軽車両(牛馬を除く。以下この条において同じ。)の灯火は、次の各号に定めるとおりとする。
(1) 前照灯 白色又は淡黄色で、夜間前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる光度を有するものであり、進行方向を正射し、その主光軸は下向きであること。
軽車両(=自転車)のフロントライトは、下向きにせよとなっています。
神奈川県については、イマイチ意味がわからないのですが・・・
第7条 前条第1項の前照灯の灯火は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
(1) 白色又は淡黄色であること。
(2) 夜間において前方5メートルの距離にある交通上の障害物を確認できる光度を有すること。
(3) 発電装置のものにあつては、照射方向が下向きで、かつ、その主光軸の地面における照射点が前方5メートルをこえてはならないこと。
発電装置って昔ながらのダイナモライトの話だと思うんですが。
たぶん、条文が古いから意味不明になっているのではないかと・・・
ダイナモライト限定にしている根拠がイマイチわかりませんし。
神奈川県警本部に、発電装置の定義と、なぜ発電装置に限定しているか聞いてみました。
結論から言うと、わからないとのことですw
発電装置=恐らくはダイナモライトを指しているだろうけど、充電式か乾電池式ライトが当てはまらない理由もよくわからないと。
もしかしたら発電装置の解釈が違うのかもしれないけど・・・わからん!とのことです。
条文が古く、今のような時代のライトを想定していない可能性も否定は出来ないけど、よくわからないというのが本音のようです。
まあ、わからないとの事なのでこの条文で取り締まりは不可能でしょうけど。
山形県でも同趣旨の記載がありました。
第12条 令第18条第1項第5号の規定により軽車両(そり及び牛馬を除く。)がつけなければならない灯火は、次に掲げるものとする。
(1) 前照灯 白色又は淡黄色で、夜間、前方5メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる性能を有するものであること。ただし、自転車に設ける発電装置のものにあつては、照射光線の方向が下向きで、その主光軸が、前方10メートルの地点を超えないものとする。
青森県道路交通規則ではこのようになっています。
第十条 令第十八条第一項第五号の規定により軽車両(牛馬を除く。以下この条において同じ。)がつけなければならない灯火は、次の各号に掲げるものとする。ただし、反射器材を備え付けている場合は、第二号に掲げる灯火をつけることを要しない。
一 灯火の色が白色又は淡黄色で、夜間前方十メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる性能を有する前照灯(前方十メートル以上照射できる前照灯火にあっては、主光軸の地面における照射点が前方十五メートルを超えないもの)
地面における照射点が前方15mを超えないもの、となっています。
つまりは都道府県によっては、自転車のハイビームを禁止していると見ていいかと。
滋賀県の道路交通法施行細則でも似たような文言があります。
見たところ、東京都や大阪府の道路交通規則ではフロントライトの向きについての指定がありません。
一通り各都道府県の道路交通法施行規則などを見た結果をまとめます。(R2.12.09調べ)
自転車フロントライトの方向 | 都道府県名 | 数 |
ハイビームに制限あり | 埼玉県、青森県 | 2 |
発電装置の場合のハイビームの制限あり | 福島県、神奈川県、山形県、静岡県、滋賀県 | 5 |
ハイビームに関係する記載なし | 北海道、東京都、大阪府、岩手県、秋田県、宮城県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県、山梨県、長野県、石川県、富山県、新潟県、福井県、愛知県、岐阜県、三重県、兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、広島県、岡山県、島根県、鳥取県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 | 40 |
このように、都道府県によっては、自転車のライトについて向きまで指定しています。
その上、道路交通法52条2項では、対向車や他の車両の直後を走るときは減光するようにとあります。
法52条2項に対して、具体的指示内容は道路交通法施行令20条にあります。
第二十条 法第五十二条第二項の規定による灯火の操作は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める方法によつて行うものとする。
一 車両の保安基準に関する規定に定める走行用前照灯で光度が一万カンデラを超えるものをつけ、車両の保安基準に関する規定に定めるすれ違い用前照灯又は前部霧灯を備える自動車 すれ違い用前照灯又は前部霧灯のいずれかをつけて走行用前照灯を消すこと。
二 光度が一万カンデラを超える前照灯をつけている自動車(前号に掲げる自動車を除く。) 前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
三 光度が一万カンデラを超える前照灯をつけている原動機付自転車 前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
四 トロリーバス 前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
この通り、ロードバイク(軽車両)に対しては、具体的な指示内容はありません。
しかし法52条2項では、
【車両等】となっていて軽車両を除くという文言はありません。
なのでロードバイクであっても、対向車などに眩しい思いをさせて交通を妨げる恐れがある行為は普通にアウトかと。
法52条2項に【政令で定めるところにより】とあるので、政令(令20条)で定まっていない自転車(軽車両)には減光操作が求められていないのではないか?という疑義がありましたので、県警本部に問い合わせをしました。
令20条では軽車両について具体的な減光操作の方法が定められていないだけで、法52条2項は【車両等】と軽車両を除外していないことや、条文趣旨からも自転車に対しても適用される条文となると回答がありました。
ロードバイクでも、ハイビームなどで対向車などに対して幻惑させるようなライトの使い方をすればこの条文が適用されるそうですが、実際に取り締まりしているかはまた別問題と。
(管理人私見)ロードバイクのハイビームが危険だと判断されれば、注意・指導はあるかもしれません。
点滅式ライトについてになりますが、警視庁ではこのような記述があります。
点滅式ライトの使用自体は道路交通法等に違反するものではありませんので、同ライトの使用のみをもって取り締まることはできません。
なお、同ライトの角度や使用法等によっては、他の車両の運転者等をげん惑させるおそれがありますので、事故防止のため、引き続き、現場における指導を徹底して参ります。別紙 交通安全|東京都
角度や使用法などについては指導対象だとしています。
自転車用ライトって、ボタン操作一つでライトの向きは変えられないものが一般的。
明るさを変えることは出来ても、ハイビーム・ロービームと角度を変える機能は基本的にはない。
対向車が来る度に、手でライトの向きを変えるのも無理がありますよね。
そうすると、ライトはやや下向きにつけていないと、法52条2項の減光規定をクリア出来ないかと。
ロードバイクで使うようなライトの場合、下向きにしても前方10mはクリア出来るでしょう。
下向きにしているなら、対向車がきても眩しいという感覚にはなりづらいので、法52条2項もクリアします。
とりあえず明確になった事をまとめます。
・各都道府県の条例(道路交通法施行規則など)で、自転車のライトは【下向き】となっているところもある(=ハイビーム禁止)
・自転車で夜間、常にハイビームは、対向車を幻惑するなど危険だと思われる時には注意・指導の対象になりうる(法52条2項)。
まあ皆さんご存知のことと思いますが、ライトについては点いているかどうかについて警察から言われることはあっても、基準を満たす明るさなのか?については指摘されることはほぼないです。
自転車ライトの特殊性
自転車ライトがほかと違うのは、点滅モードがあることと、外付けなこと。
点灯と点滅、どちらも乗り手から見た視認性、他者から見た被視認性の両方に関わりますが、メインの要素としては
・点灯 ・・・ 乗り手から見た視野の確保
・点滅 ・・・ 他人からロードバイクを見た被視認性
こうなるかと。
ちなみに点滅ライトは違反ではありません。
あと、ロードバイクは特にそうですが、自転車ライトは外付け、後付け可能なので、可能な限り数を増やすことも出来る。
そのほかライトにもよるかもしれませんが、照度をボタン操作で変えることは出来ても、光の方向はライトごと動かさないと無理なものがほとんどではないでしょうか?
ハンドルなどにブラケットでガッチリ固定されているなら、ブラケットごと回すのも難しい。
ボタン操作一つでハイビームとロービームを切り替えできる、車とは違うわけです。
長くなりましたが
この表現が凄く気になったのですが、
まず道路交通法上では、対向車がいるときや、他の車両の後を走るときには減光、ロービームに落とすことが求められています(法52条2項)。
ロードバイク用ライトのほとんどは、ワンタッチでハイビームとロービームの切り替えは出来なくて、せいぜい照度を変える程度の話だと思います。
オーライトRN1500であれば、ハイモードの1500ルーメンからミドルモードの800ルーメンにボタン操作で切り替えるみたいな。
光の方向までは、ハンドルにガッチリ固定されているので動かせないです。
先ほども書いたように、眩しいと感じさせる方法によっては道交法に触れうる(法52条2項)。
一般的にハイビーム=対向車からすると迷惑だと思いますし、ハイビーム常用というのはちょっと違うと思います。
確かに、右折待ちしている車から見て、対向している直進自転車がわかりづらい場合もあると思います。
けど、
対向車に眩しい思いをさせないため、対向車の運転を邪魔したりしないために道交法の規定があると思うので。
都道府県によっては、そもそも【下向きに】となっているところもあります。
この場合、ハイビームで設置してあるならそもそも違反になります。
まあ、取締りに遭うことなんてないでしょうけど・・・
ちょっと話が変わりますが、ハイビームで眩しい思いをさせる行為。
これ自体、今年創設された妨害運転罪の構成要素に入っています。
十一 他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者ヘ 第五十二条(車両等の灯火)第二項の規定に違反する行為
第五十二条2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。
なんとかロードバイクの存在に気が付いてもらいたい!ということでハイビームを使う行為が、状況次第では妨害運転になりうる。
この方からは、【妨害行為をしたいわけではない】とメールも頂いているのですが、妨害行為に当たるかどうかは、その状況と相手の感じ方次第だと思うんです。
自分に妨害意思が無くても、客観的に第三者が見た場合と、相手がどう感じるかの話だと思うので・・・
意思が無くても、結果的に妨害行為になりうることもあるわけですから。
で、実際のところ、対向右折車がとんでもないタイミングで右折開始することは、夜でも日中でも起こりえます。
夜に、警察官が乗るバイク(対向右折車)にやられそうになったこともありますし。
基本的に直進車優先なわけで、おかしなタイミングで右折開始するほうが注意義務違反と言えます。
まさにそうなんですが、最近と言うかちょっと考え方が変わってきてまして。
結局、相手が100%に近いレベルで悪いことでも、ロードバイクと車がぶつかると、生身のロードバイクは爆死しかねない。
死んでから
死んでからいくら言っても意味が無い。
交差点は何かが起こりやすいという前提で、ある程度身構えておけば、ハイビームを使わなくても防げませんかね。
何となく嫌な予感がするときは、少し速度を落とし気味にして交差点に入るとか。
対向車の挙動を見ていれば何となく感じることもありますし。
結局、怪我をしないためには、相手任せでは不十分と言いますか。
最悪の場合、意味不明なタイミングで右折してくることも想定しておく。
そんなことをするよりもハイビームで被視認性を上げる、という考え方もあると思うのですが、そもそも対向車がいるときは減光するというのが法律ですし。
最近、オーライトさんから貰ったライトをダブルで運用してますが、
実は微妙に角度を変えています。
強力なRN1500は結構下向きにしてます。
ちょっと弱いRN400のほうは、水平よりは下げているけど、RN1500よりは上向き。
これ、当初はRN1500を常時点灯、RN400をフラッシュモードで使う予定だったので、このようにしてます。
RN400のインプレ記事は明日にアップしますが、水平でフラッシュ喰らわすのはさすがに無しとして、やや下げ気味だとそこまで眩しくない。
点灯は自分の視野の確保、点滅は自分を発見してもらう被視認性と考えるとこれが良さそうかなと思いまして。
実際のところ、対向車が来るたびにそんなに頻繁にライトの操作は難しいわけで、現実的だと思わないです。
そうなると、ハイビームのまま乗ると威嚇行為と勘違いされる可能性すらあるわけで、あんまりよろしくないと思いますし。
近年、煽り運転が社会問題化してますが、強引な割り込みされたから報復としてやるとか、ハイビームで威嚇されたから腹いせに・・・みたいな報復が結構あります。
強引な割り込みとかハイビームとか、必ずしも嫌がらせ目的だったわけじゃないと思うんですよ。
タイミングをミスって結果的に強引な割り込みになったとか、ロービームに落とすのを忘れていたとか・・・
なので誤解を受ける恐れがあるハイビーム常用は、デイライトならまだしも、夜間はやめたほうがいいと思いますがどうでしょうか。
デイライトでハイビームについては、眩しくないのでいいと思いますが。
で、最後になんですが、この方からこのようなURLをご提示頂きました。
道路交通法上、車両の運転者は、夜間は、走行用前照灯(ハイビーム)をつけなければならず(道路交通法52条1項、道路交通法施行令18条1項)、他車とすれ違うときなど他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときに限って、すれ違い用前照灯(ロービーム)を用いるなどの操作をすることとされています(同法52条2項、同令20条1項、2項)。
つまり、原則として夜間はハイビームにしておかなければなりません。
法的義務がない場面において、ロービームにしていたことにより、発見が遅れ事故を起こしてしまった場合などには、それが過失として評価されます(京都地裁平成27年6月15日、大阪地裁平成26年1月29日等)。
夜間走行時はハイビームが原則です | 交通事故を福岡の弁護士に無料相談【被害者側専門】たくみ法律事務所【交通事故の無料相談】福岡の交通事故被害者側専門・弁護士法人たくみ法律事務所にご相談ください。相談実績9227件(2011-2022実績)。慰謝料や後遺障害認定、保険会社との交渉等をサポート。弁護士による無料電話相談も実施中。
こちらの判例では、ロービームにより発見が遅れて事故に至った場合に、それが過失になるとの判例のようです。
上でも書いたように、これは自転車に当てはまらないかと。
車の場合は、対向車がいない場合などは前方100mの視野が求められているので、原則としてハイビームになります。
軽車両であるロードバイクでは、前方5mか10mしか法律上求められていないため、5mもしくは10mの視野が確保出来ていないライトであれば過失になる可能性はありますが、それを満たしているならロービームだから過失には出来ません。
法律を満たしているのに過失というのは、100%あり得ないと思っていいです。
また、ハイビーム常用したことで対向車が眩しくて事故を起こせば、むしろロードバイクの過失になり得ます。
なので車の事故の判例をそのまま自転車に当てはめるのは、根本的に法律に合致しないので無理がありすぎるかと。
車とロードバイクでは、灯火に求められる性能も規定も異なります。
法律を全て満たした上でロードバイクに乗るなら、現実問題としては下のどれかしかありえないと思います。
・ハイビームを常用するなら、対向車や他の車両の直後を走るときに、モードを落として減光する
・常にやや下向きにライトを照らす(オススメ)
常にハイビームで対向車がいても何も操作しないのは、いかがなものかと思います。
また、都道府県によっては、ライトの向きに指定がありますし。
自転車のライトが高性能になってきたせいで、対向車から物凄く眩しく見えて迷惑だと感じるケースも結構あるそうです。
迷惑かどうかよりも被視認性を重視するというのは、さすがに無理がありますし。
私の感覚ですが、過去にシングルライト体制で通勤していた頃は、歩行者がとんでもないタイミングで横断しようとして急停止したことはあります。
ダブルライトにして、一本は点灯、一本は点滅にしてからは一度もそのようなことがありません。
あと、これは経験によるものですが、意味不明な場所で横断しようとする歩行者をある程度見分けられるようになったので、経験に基づいて減速して警戒することも出来ますし。
これは皆さん、自然とやっていることなんじゃないですかね。
あと、ハイビームにしていると、対向車や歩行者からすると、ライトで光っている対象物がなんなのかと、距離感がわかりづらいと思います。
ちなみにですが、夜にサイクリングロードを走ったことがある人ならわかると思いますが、サイクリングロードって基本的に街灯がないところばかりです。
なので高輝度ライトじゃないと怖くて走れません。
しかも犬の散歩をしている人とかもいて、きちんと前が見えていないと怖い。
その一方、サイクリングロードって狭いので、対向車がハイビーム&強力ライトだと、マジで視界がぶっ飛びます。
一般道はもっと広いですが、片側一車線道路とかでは、対向車がハイビームだとやはり怖い。
これが片側三車線道路とかだと、お互いに第一通行帯にいる分には、ハイビームでも眩しいという感覚にはならない(距離が離れているので)。
これはロードバイクではなく車のハイビームですが、
相手との距離感も、位置感も全くわからなくなる。
実際、ロードバイク用ライトでここまで明るいライトは無いかもしれませんが。
なので状況次第なんですが、自転車ライトの場合、ワンタッチでビームの角度を変えることは出来ません。
もし出来たとしても、頻繁に切り替えするのは現実的ではないし。
なので原則は下向きなんだと思います。
特にロードバイクについては、車のドライバーから迷惑だと思われがちなわけですし、ライトについては原則として下向きが基本だと思うのですが・・・
都道府県条例で埼玉県と青森県については、ライトの向きについて明確にしてあります。
わざわざライトを分解して、光軸を調整する人もいるようですし、ライトの上のほうを塞いで使う人もいるらしいです。
あいつら迷惑だ!と思われているので、それを加速させるような行動はしないほうがいいと思ってます。
実はオーライトさんから、RN1500よりもさらに明るいライトを頂きました。
これについては後日記事にしますが(予定では14日に)、かなり明るいことには間違いない。
これをハイビームで使ったら、対向車はかなり危険だと思います。
だからといって高輝度ライトが無意味という話ではなくて、うまく使えば相当いいものだし、使い方を間違えば他人に迷惑をかける恐れもあるのかと。
ご意見頂いた方のライトがどの程度の明るさのものをイメージしているのかわかりませんが、それほど明るくないライトであれば、ハイビームでも対向車を幻惑させる恐れは低いと思うんです。
ただし条例で下向き設置になっている県については、それは当然守るべきかと。
高輝度ライトなら、ハイビームは使う場所次第では危険になりますし、自転車の場合は原則ハイビームという規定もありません。
やや下向きが基本だと思うのですが、皆さんはどうしているのでしょうか?
単に条文が古くて、昔ながらのママチャリしか想定してないだけかもしれませんし、今みたいな高輝度ライトが登場する以前の条例なんだと思うのですが・・・
あと最後に。
自転車ライトが5mか10mの前方視野しか求められていないのは、恐らくはママチャリの速度(20キロ以下)を想定しているからだと思います。
もっと普通に30キロ以上出るロードバイクでは、5mか10mの前方視野では当然足りない。
原付(法定速度30キロ)ですら、もっと前方視野が求められているわけですし・・・
そういう背景もあり、ライトメーカーも高輝度ライトを続々と販売しているのでしょうけど、そういうライトと原付の違いは、ハイビーム・ロービームの切り替えがすぐに出来るかどうかの違いなんじゃないですかね。
この切り替えが即座に出来るライトなら、適切にハイ・ローを切り替えてロードバイクでも運用できますし。
後付ライトなのか、設置されているライトなのか?という違いもあるでしょう。
それと免許制かそうでないかも関わる。
免許制であればハイ・ローの切り替えとかについて法を厳密に適用できても、免許制ではないロードバイクに当てはめるとちょっと不都合も出るので。
このあたりは法の欠点なんでしょうけど、現実的に法律を遵守するなら、やはり下向きライトが当然だと思います。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
高はしです
無灯火の自転車もとんでもないですが、眩しいLEDもカンベンしてほしいです。LEDって、照度のわりに輝度が高いので、まぶしいのですよね。
昔は、電池のライトがここまで明るくなるとは思わなかったのでしょうね。法律が技術に追いつかないのでしょう。(自転車の電池式ランプといえば、松下幸之助さん?)
コメントありがとうございます。
ロード用ライトは、いまやLEDばかりですね。
使い方を間違うと結構マズイことになると思うのですが、ハイビームがベストと考えている方もいるようなので、法的な規制があったほうがいいのかもしれません。
規制というのは、向きのことです。
神奈川県などの条例は、たぶん古すぎて意味不明なんだろうと思いますが、なにせ県警本部ですら解釈がわからないそうですからw
多摩川のサイクリングロードを夜走っていますが
対向の人のライトがかなり眩しく、
歩いている人や走っている人が確認しずらく
危なかったことがあります。
そのような人は、ほぼ、一人でロード用に乗っている人です。
スピードも出しています
スムーズに早く走るために、明るくしているんでしょうが
対向の人からしたら迷惑行為です
自分では気づいてないのかと思います
取り締まってほしいです
コメントありがとうございます。
サイクリングロードのハイビームは、相手との距離感もわからなくなるし、左寄りにいるのかすらわからないので困りますよね・・・
別記事でちょっと注意喚起しますが、現行法では恐らく取り締まりは難しいと思います。
夜間に目潰しのような点滅LEDハイビームで走行している人を見ると、「この人は自分さえ良ければいい、もしくは自分が迷惑をかけている自覚を持てないタイプの人なんだな」と感じます。
コメントありがとうございます。
おっしゃる通りです。
けど事実上、取り締まりしていないようなので、好き放題になっているケースが多いようにも思えます。
好き放題やっていれば、自転車が非サイクリストに理解されない原因になると思うのですが・・・
神奈川条例にある「ダイナモ式云々」に関して。
昔は乾電池式の白熱豆球の光量は低く暗いものだったので規制する必要がなかった、、、
対してダイナモ式は明るいので規制する必要があった、、、
と想像。
今はリチウム二次電池+LEDの光量がダイナモ式を超えるようになっているけれど、条例の整理改正が追い付いてない状態なのでは。
コメントありがとうございます。
恐らくおっしゃる通りだと思います。
このコメントを見て、思い出したことがあったので別記事で書きます。
条例が追い付いていないという点は完全に同意でして、そもそも県警本部ですら発電装置の意味がわからないというくらいなので、何ら規制対象になっていないと見ていいのかなと思いますが、条例で規制したところで現在のハイビーム自転車が減るのかも疑問です。