ホイールメーカーとして大手のMAVICが、ロードバイク用のチューブレスホイールをリリースしてきました。
マヴィックは今まで、ロードホイールとしてはチューブレスホイールを出していませんでした。
ここにきてマヴィックが提案する新しい形のチューブレスとはいかに??
ロードチューブレスのメリットとデメリット
ロードチューブレスについては、カンパニョーロやフルクラム、シマノ、イーストンなどが出していましたが、マヴィックに関しては出していませんでした。
ここでチューブレスタイヤのメリットとデメリットを考えましょう。
まずメリットですが、チューブがないということにより乗り心地がいいということが挙げられます。
振動吸収性はチューブラーやクリンチャーとは全く異なる感覚です。
これが病みつきになってチューブレスを使い続ける人もいるくらいです。
それと転がり抵抗が低いことも一つの特徴です。
接地面ではタイヤとチューブの間で摩擦が起こり、これが転がり抵抗を大きくしているという話はありますが、チューブがないのだから転がり抵抗が低減できます。
デメリットについてですが、まずはタイヤ脱着の問題です。
リムの構造がクリンチャーリムとちょっと異なることと、エア漏れを防ぐためにリムがキツキツなことが考えられます。
チューブレスはタイヤを嵌めた後、空気を送り込んでビートを上げるという作業があるのですが、普通のフロアポンプでも上がらないことがあり、コンプレッサーなどを使わないと上がらない場合すらありました。
もちろんですが、携帯用ポンプでは上がりません。
こういった作業性の悪さが市場の敬遠を招く原因となっていて、チューブレスタイヤが流行らない一因だったと思います。
また、最近は多少タイヤ自体が増えてきましたが、そもそもロード用チューブレスタイヤが少なかったため、タイヤの選択肢が限られていたというのも一因でしょう。
あと、最近の11S対応ホイールの場合、エンド幅130mmの中に11s用フリーボディを付けるということで、フリーボディが中まで食い込むような形になっています。
そのため、フリー側と反フリー側ではどうしてもスポークテンションが異なるわけですが、スポークテンションが異なる状態でチューブレスタイヤを使った場合に、空気圧によってリムが圧縮される方向に圧がかかり、それがスポークテンションに作用してリムのセンターがズレるという問題もありました。
これはクリンチャーでも多少は起こる問題なのですが、チューブレスの場合はリムが空気圧をモロに受けるため影響が大きく、タイヤをセットするとリムのセンターがズレるという問題もありました。
MAVICが提唱する、新しいチューブレスシステム【UST】
マヴィックは1999年からミシュラン、ハッチンソンとの共同開発によりチューブレスの開発を進めてきたそうですが、クリンチャータイヤに近い作業性を確保することがなかなか難しく、今まで研究開発を進めていたそうです。
今は2017年ですからね・・・18年もかかって作り上げてきたということがすごいですね。
マヴィックが開発した【UST】ですが、まずはリムの精度を上げることで気密性を確保したということが大きな特徴です。
気密性が上がるということは、今までのように空気を送り込んでもビートが上がりにくいという問題を解決しているわけです。
また、チューブレスリム特有の、リム中央にある溝やハンプの構造を見直すことで、タイヤの脱着を容易にしたということもあります。
携帯ポンプでも簡単にビートが上がるとか。
これについてはかなり朗報なのではないでしょうか??
マヴィックは元々は【リム屋】ですから、リムの製造については実績があります。
手組リムでも、オープンプロは精度がよく組みやすいことでも有名ですが、マヴィックのリムは非常に精度が高いことでも知られています。
チューブレス特有のセンターズレについても、スポークテンションを高めることで影響を最小限にしているようです。
チューブレスのラインアップ
UST対応のチューブレスホイールは、以下の通りです。
アルミモデル
Ksyrium Pro Disc
Ksyrium Pro
Ksyrium Elite Disc
Ksyrium Elite
Allroad Pro Disc
Allroad Elite Disc
Allorad Elite UB
Open Pro UST
Open Pro Disc
カーボンモデル
Comete Pro Carbon SL Disc
Comete Pro Carbon SL
Cosmic Pro Carbon SL Disc
Cosmic Pro Carbon SL
Cosmic Elite Disc
Cosmic Elite
Ksyrium Pro Carbon SL Disc
Ksyrium Pro Carbon SL
驚くべきことに、手組リムのオープンプロまでチューブレス対応です。
そしてもっと驚くべきことなのですが、初回販売のキシリウムエリートUSTの重量が1490gとなっています。
現行モデルのキシリウムエリートは1550g。
現行モデルのキシエリのスペックはこちらです。
重量 | F680g,R870g
ペア1550g |
リムタイプ | ISM 4D
(ワイドリム17㎜) |
リム高 | F24mm,R26mm |
スポーク素材 | スチール |
スポーク数 | F18、R20 |
付属タイヤ | イクシオンプロ25c
(210g) |
対応タイヤ | クリンチャー |
一般論として、チューブレスリムはクリンチャーリムよりも20g程度は重くなるのが普通です。
これはリムの構造上仕方ないことなのですが、どういうわけかキシリウムエリートUSTは現行のクリンチャー専用モデルよりも軽い。
これのマジックがどんなところにあるのか、まだメーカーサイトでは出ていないので今後の動きに注目ですね。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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