くだらない争いだなと思う話。

読者様からこのようなメールを頂きました。

ネットサーフィンをしていてたまたま以下の記事を見つけました。

http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/5274934.html

とあるツイッター動画について、自転車乗りを嘲るような内容のスレッドをまとめたものです。
スレッド内でレスをする人たちは基本的に自転車否定派のようで、自転車ナビラインの知識を知らずに違法行為だと煽り立てる様子になんとも言葉にし難いイライラが起こりました。
一方でツイッターに動画を投稿した自転車乗りのマナーもそれで大丈夫か?と思ってしまう部分もありました。

相変わらず自転車乗りへのひたすらなバッシングがあることには悲しさよりもどうにもならない虚しさのほうが勝っています。
この記事のコメントは他の記事の2~3倍位の量になっているので、少しは啓蒙になっているといいと思いますが…
コメント内で「撮り鉄と同じく自浄作用がない」とあるのに悲しくも同意をしてしまいます

オリンピックのロードレースを見たあとなのもあり気持ちが高ぶったためこの様なメールを送りますことを重ねてお詫びいたします。
アンケート系の記事などまたやっていただけると嬉しいです

こちらが問題となっているツイッターのようです。

先に書いてしまいますが、これ、このケースと同じ人なのかはわかりませんが、ケースとしては近いですね。

ちょっと思うことがありまして。 ちょっと前にですが、読者様からこのようなものを教えてもらいました。 ツイッターの動画なんです...

法律解釈の話

まずこの件ですが、前の記事でも書いたように、この動画だけ見て自転車の通行位置が合法なのか違法なのかを判断することは不可能です。
要は車両通行帯かどうかが問題になります。

車両通行帯であれば、第一通行帯の中であれば問題ありません。

(車両通行帯)
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。

車両通行帯でない場合には、左側端通行義務があります。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。

車両通行帯とは何かについては、こちらで詳細を記しています。

ちょっと思うことがありまして。 ちょっと前にですが、読者様からこのようなものを教えてもらいました。 ツイッターの動画なんです...

車両通行帯というのは道交法2条の7で規定されています。

七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。

道路標示は公安委員会が決定することで効力を得るものとされます(法4条)。

(公安委員会の交通規制)
第四条 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。
5 道路標識等の種類、様式、設置場所その他道路標識等について必要な事項は、内閣府令・国土交通省令で定める

つまり車両通行帯というのは、公安委員会が、省令(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)に基づいて道路標示(109)を設置した場合に限定されます。

複数車線道路でも、車両通行帯の場合と、車両通行帯ではない場合があります。
ややこしいことに似たような道路標示があるんですよ。

種類番号設置場所・意味
車線境界線

102四車線以上の車道の区間内の車線の境界線を示す必要がある区間の車線の境界
車両通行帯

109交通法第二条第一項第七号に規定する車両通行帯であること。車両通行帯を設ける道路の区間

※四車線以上というのは道路全体の話なので、片側2車線以上と同義。

つまり複数車線ある道路の場合、以下の二つのどちらかになります。

標示番号設置者
車線境界線で区切られた道路102道路管理者(国道であれば国道事務所、都道府県道であれば都道府県)
車両通行帯109各都道府県の公安委員会

ここで勘違いしやすい点。
【公安委員会が指定した車両通行帯】と【公安委員会が指定していない車両通行帯】という分け方ではありません。
【車両通行帯】と【車線境界線で区切られた道路】の区別になる。
車両通行帯は道路標示で示した場合なので(法2条の7、法4条等)、道路標示102であれば車両通行帯ではないことは明らかですね。

このケースでは、車両通行帯なのか、車線境界線で区切られた道路なのかが不明。
なので評価不能。

で、さらに続きます。
どっちかわからないし、見分けがつかないから車両通行帯とみなしてもいい、という謎理論もあります。
こういう屁理屈論者を封鎖するため、国家公安委員会がちゃんと決めているんですよ。

道路交通法108条の28の規定に基づき、国家公安委員会は交通の方法に関する教則というものを定めています。
教則自体は道路交通法の規定をわかりやすく解説したみたいなものですが、道交法の規定に基づいて国家公安委員会が定めているので、法的な意味を持つものです。

第2節にこのような表記があります。

(2) 自転車は、車道や自転車道を通るときは、その中央(中央線があるときは、その中央線)から左の部分を、その左端に沿つて通行しなければなりません。ただし、標識(付表3(1)32、32の2、33、33の2)や標示(付表3(2)14、14の2、15)によつて通行区分が示されているときは、それに従わなければなりません。しかし、道路工事などでやむを得ない場合は別です。

https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/kyousoku/index.htm

黄色のマーカー付けた箇所は、左端通行の除外と読みとれますが、左端の除外になっている道路標識と道路標示をピックアップしました。

種類番号表示する意味
車両通行区分

32車の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

32の2標示板に表示された車の通行区分の指定
専用通行帯

33標示板に表示された車の専用の通行帯の指定
普通自転車専用通行帯

33の2普通自転車の専用の通行帯の指定
種類番号意味
車両通行区分

14(省令109の3)車の種類別の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

14の2(省令109の4)特定の種類の車の通行区分の指定
専用通行帯

15(省令109の6)特定の車の専用通行帯の指定
※省令=道路標識、区画線及び道路標示に関する命令

この教則は道交法108条の28に基づくものですが、そもそも車両通行帯って、複数車線であれば必ず車両通行帯ではない。
これを見ると思うのは、単に複数車線だからと言って車両通行帯になっているケースなんてほとんどないんじゃないかとすら思えます。
自転車が左側端通行ではなくてもいい車両通行帯は、特定の道路標識か道路標示で示されているものに限定されていますね。

道路標示109に該当するものはなく、それだけでは左側端通行義務の除外になっていないのが現実。
教則とは言え、道交法108条の28に基づく正式なもの。

道路標識が写っていないので正確にはわかりませんが、たぶん無いでしょう。
なので左側端通行義務があると考えるべきもの。

ついでにいうと、自転車ナビマークが白線の外側にありますよね。

車両通行帯であれば、白線=車両通行帯最外側線になります。
つまり白線の中が第一通行帯なので、ナビマークがある位置は通行帯の外になってしまう。

ナビマークは目安とは言え、通行区分違反になるような位置に描くとは思えませんね。
目安なのに違反製造トラップになったら本末転倒ですから。

なので左側端通行義務があるにもかかわらず、左側端とは言い難い位置を自転車が通行し、それに対し後続車が注意喚起としてクラクションを使った可能性が高い。
法定外の位置を走る自転車にクラクション使うのが違反とは言えませんし。

ちなみにですが、車両通行帯がない道路で、左側端通行義務があるのは18条1項が根拠。

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。
(罰則 第二項については第百十九条第一項第二号の二)

18条1項って罰則が無いんですよ。
だから警察は注意しかできないわけです。

それが自転車乗りに悪用されているのかなと考えます。

<追記>
教則と名前が付いているので法的な意味がないものと誤認しがちですが、国家公安委員会は外局当たるので、これは外局規則・告示と言って法律で定められた一種の命令となります。
【~しましょう】という文言は努力義務・推奨行動と取れますが、【しなければなりません】とある部分は道交法の義務を具体化したものとなります。

該当するもの制定根拠
法律道路交通法憲法に基づき国会で制定する
政令道路交通法施行令憲法に基づき内閣が制定する
省令道路標識、区画線及び道路標示に関する命令国家行政組織法に基づき省庁で制定される
告示交通の方法に関する教則国家行政組織法に基づき省庁・委員会で制定される

名称上は【教則】となっていますが、【昭和53年10月30日国家公安委員会告示第3号】でもあるので、単なる目安というわけでもありません。

詳しくはこちらをどうぞ。

https://say-g.com/cabinet-order-ministerial-ordinance-1264

告示とは法律の執行基準を満たすもので、広い意味での法令になります(ならないケースもありますが)。
具体的な例で言うと、学習指導要領(昭和三五年文部省告示第九四号)は同じく告示ですが、法規としての性質を有すると最高裁が認めています(平成2年1月18日最高裁判所第一小法廷)。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62949

くだらない

車両通行帯なのか、車線境界線で区切った道路なのか、どっちなのかは管轄警察署に聞かないと不明です。
なので合法なのか違法なのかは不明。

その上で書きますが、【自転車は車両通行帯なら第一通行帯の中を】と主張する人の特徴って、法律根拠ではなくどこかの記事を引っ張ってくるケースがあります。
そもそも記事が正しいのかどうかも不明なので、本来は条文を挙げて説明すべきもの。

前に描いたこの記事のケースですが、

ちょっと思うことがありまして。 ちょっと前にですが、読者様からこのようなものを教えてもらいました。 ツイッターの動画なんです...

警察に映像を持って行ったけど、相手にされなかったみたいな話だったと思います。
今回のツイッターの方と同一人物なのかはわかりません。

相手にされない理由ですが、道路交通法って特別刑法です。
違反に対し罰則を与えるものですが、こんな事件性もないくだらない案件に付き合うほど暇ではないということ。

車両通行帯かどうかの説明から入って、法律解釈を説明して、納得させるには、相手にもそれなりの知識がないと成り立たない。
事件性も無いので【帰ってください】でいいんですw

前にある県警本部に聞いていますが、車両通行帯ってほとんどが高速道路の話で、一般道だと交差点付近だけ指定されているとかそんな程度らしいですよ。
全てがそうではないでしょうけど。

なので実態としてみる場合、自転車って左側端以外は通行できないと思ってほぼ間違いないです。
道交法108条の28の規定により、国家公安委員会が定めた教則によると、左端以外を走れるのはこのケースだけですね。

種類番号表示する意味
車両通行区分

32車の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

32の2標示板に表示された車の通行区分の指定
専用通行帯

33標示板に表示された車の専用の通行帯の指定
普通自転車専用通行帯

33の2普通自転車の専用の通行帯の指定
種類番号意味
車両通行区分

14車の種類別の通行区分の指定
特定の種類の車両の通行区分

14の2特定の種類の車の通行区分の指定
専用通行帯

15特定の車の専用通行帯の指定

単に複数車線あるからOK,ではないんですよ。
法律をちゃんと見ないと。

自転車ナビライン・ナビマークについて

自転車ナビライン・ナビマークに法的拘束力がないというのは事実です。
ただし、実態としては事実上の拘束力を持つケースがほとんどなのではないでしょうか?

事実上の拘束力というのは、車両通行帯ではない道路の場合、自転車は左側端通行ですよね。
車両通行帯なんてほとんどないのが現実なので、複数車線道路であっても、結局左側端になるケースは多い。

どこまでが左側端なのか?という点では疑義があるものの、概ねナビライン付近は左側端でしょうから、それが目安となる。

これが事実上の拘束力という意味。
拘束力というと語弊があるのでアレなんですが。

ツイッターのケースは、違法か適法なのかは判断できないですが、人として、先に行かせれば安全なんじゃないですかね。
自転車には法27条の譲る義務も関係ありません。

先日の記事について、 一部法解釈に間違いがありました。 前回の記事で私が書いたことは、 車両通行帯ある道路(複...

義務がないというだけですが、安全のためには先に行かせれば済むんですよ。
お越しされるときが危険なわけで、路肩に寄せて先に行かせれば安全。

警察が相手にしなかった理由も、事件性がない上に【人として】先に行かせれば済むからなんじゃないですかね。
よく道路上に【譲り合って走りましょう!】とか標語が書いてありますが、法律解釈うんぬんの前に、人としてみんなで譲り合って使いましょうねというだけの話。
電車内で妊婦さんとかご老人に席を譲るのも、法律ではなく【人として】ですよね。

自転車乗りが、ほかの車両に対してリスペクトしない限り、自転車もほかの車両からリスペクトされることは無いと思ってます。
尊敬と言っても難しいですが、少なくとも道路上で無駄な対立構造を作ったところで、誰に何の得があるんでしょう?
小学生の標語レベルだと思ってまして、【みんなでなかよくつかいましょうね!】なんですよ。
小学生でもわかっているのに。

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