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定義が曖昧なまま進む議論の無益さ。

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なんかいろいろ雑な記事だよなぁ、と思いつつ。

自転車は道路の路肩部分を走行するようになっている。車線の右端を走行すると取り締まりの対象となる。
しかし、自転車に乗っている人はわかると思うが、路肩部分は路面が非常に荒れている。自転車は後ろから迫りくるクルマ、バイクに注意を払うと同時に、路面にも気を使わなくてはいけない。

 

【改正道交法施行の罪深き余波】クルマにとって自転車は敵なのか!? - 自動車情報誌「ベストカー」
【改正道交法施行の罪深き余波】クルマにとって自転車は敵なのか!? 道路交通法が改定し自転車も例外を除き車道を走ることになった。事故せずに行くにはどうしたら良いのか。今回は自転車と自動車それぞれの視点から現在の交通事情について考察する企画を行...

こういう記事って、定義が曖昧なままで進むからおかしくなりがちなのかと。
恐らくは一般向けに書いているからこうなってしまうんでしょうけど。
これ、正解か間違いかというと、「あっていることもあるし間違っていることもある」としかならない。

定義がないと

この手のモノって、定義が曖昧なままで進むから書いているほうも読んでいるほうもモヤモヤする内容になる。

 

道路関係の法律っていろいろあります。

法律 趣旨
道路交通法 通行に関するルール
道路法(道路構造令) 道路の作り方や管理についての法律

道路交通法の定義と、道路法(構造令)での定義が異なるから意味が分からなくなる。
通行の方法については道路交通法なんですが、道交法の車道と、道路法(構造令)の車道って範囲が違うんです。


※以下、歩道がある前提で書きます。

条文 意味
道交法の車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分(2条1項3号) 車両通行帯が無い道路では歩道の縁石まで。車両通行帯がある道路では車両通行帯最外側線まで。
構造令の車道 専ら車両の通行の用に供することを目的とする道路の部分(自転車道を除く。)(2条4号) 車道外側線まで

 

オレンジが道交法の車道、青が道路法(構造令)の車道。
道交法の車道の定義には、「縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によつて区画」とあるのですが、車道外側線は標識令では区画線(5条、別表第三)、車両通行帯最外側線は道路標示(9条、別表第五)になっている。
なので車道外側線であれば道交法上は車道の定義には関わらない&何ら効力が無い、単なるお絵描きに過ぎない。

意味 法令根拠
車道外側線 区画線(道路法の車道) 標識令5条、別表第3
車両通行帯最外側線 道路標示(道交法の車道) 標識令9条、別表第5

 

そして車線とか路肩というのも、道交法では何ら定義が無い
これらは構造令で定義があります。

五 車線 一縦列の自動車を安全かつ円滑に通行させるために設けられる帯状の車道の部分(副道を除く。)をいう。
十二 路肩 道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分をいう。

これらは構造令、つまりは道路の作り方についての法律で定義されていて、道交法では何ら定義がない。
なので本来の意味でいうと走り方のルールとは直接的な関係性が無い。

車道外側線は道路交通法上では何ら関係ないお絵かきで、歩道と車道外側線の間が広い道路も普通にある。

道路交通法18条では、車両通行帯が無い道路では、自転車は道路(車道)の左側端に寄って通行することを義務付けているのですが、

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。

車道外側線は道交法では何ら効力を持たないお絵描きに過ぎないので、あくまでも車道の左端であることを求めている。
これ、通行に適さない部分を除いた上で左端に寄ることと解釈されていますが、通行に適さない部分は路肩のエプロン部や側溝など。

こういう定義をイチイチ見て確認しないと、正直なところ意味が分からなくなると思う。

 

車道外側線の外側は構造令では路肩ですが、このような状態であれば通行に適さないエプロン部と路肩が一致する。

このような場合、構造令の路肩の中に、通行に適さないエプロン部もあるし、通行に適した舗装部もある。

なので路肩がどうのこうのとか、道交法上では関係ない
車道外側線は道交法では何ら規制効力もないお絵かきなので、これを基準に自転車の通行位置が内側だ外側だと語ること自体が間違っている。
あくまでも道路交通法18条1項では、「道路の(車道の)」左側端であることを求めているので、構造令の定義を使う時点でおかしくなるんですね。
上の図であれば車道外側線の外側を自転車が走るのは危険だし、下の図でいうと車道外側線の外側でもキッチリ舗装されている部分があり自転車の通行にも適しているのだから。

 

ベストカーさんの記事を見ても、道路法(道路構造令→道路の作り方の法律)の定義を使い、交通の方法について語っているので、なんだか意味が分からない解説になっているわけです。

 

まあ、一般向けに解説しようとするとこうなってしまうのはありがちなんですが・・・

これらを踏まえて

これらを踏まえてですが、ベストカーさんの記事。

自転車は道路の路肩部分を走行するようになっている。車線の右端を走行すると取り締まりの対象となる。
しかし、自転車に乗っている人はわかると思うが、路肩部分は路面が非常に荒れている。自転車は後ろから迫りくるクルマ、バイクに注意を払うと同時に、路面にも気を使わなくてはいけない。

 

【改正道交法施行の罪深き余波】クルマにとって自転車は敵なのか!? - 自動車情報誌「ベストカー」
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道交法、もしくは道路法(構造令)の定義で見るとこうなります。

 

道交法 構造令
車道 2条1項3号(歩道の縁石まで) 2条4号(車道外側線まで)
車線 定義なし(強いて言うなら車両通行帯) 2条5号
路肩 定義なし 2条12号

 

いろんな人
いろんな人
自転車は道路の路肩部分を走行するようになっている。

管理人
管理人
その路肩が、走行に適さないエプロン部と側溝を除いて道路の左側端であれば通行義務があるし、そうではないなら通行義務はない。
そもそも、車道外側線は道交法では単なるお絵描きなので、車道外側線を基準に考えることに合理性が無い。

 

車道外側線の外側すぐが路肩のエプロン部であれば、自転車は路肩を通行するのは危険だし義務も無い。

けど車道外側線とエプロン部の間が広ければ、道交法上は車道だし左側端通行義務があるので、路肩(+α)を通行する義務がある。

続いて。

 

いろんな人
いろんな人
車線の右端を走行すると取り締まりの対象となる。

これを図で示すとこうですね。

赤自転車は「車線の右端」、青自転車は「車道の右端」。

違反 罰則
赤自転車(車線の右端) 18条1項(左側端通行義務) なし
青自転車(車道の右端) 17条4項(逆走) 三月以下の懲役又は五万円以下
管理人
管理人
車線の右端を走れば18条1項の違反ですが、罰則が無いので取り締まりは出来ませんね。

 

あとそもそもですが、普通自転車専用通行帯など車両通行帯があるのであれば、18条1項の適用が無いので車線の右端を走っても違反ではない。

義務 条文
車両通行帯が無い道路 左側端通行義務 18条1項
車両通行帯がある道路 第1通行帯通行義務 20条1項、2項

車両通行帯は交差点手前か、専用通行帯くらいしかないのであまり気にする必要もない気はしますが。
何度も書いているように、複数車線道路が車両通行帯ではありません。
複数車線で公安委員会が指定した道路が車両通行帯なので、事実上、交差点手前の進行方向別通行区分とか、専用通行帯以外ではないと思ってよい。

 

車両通行帯=複数車線道路ではないの??ええ、違います・・・
メールで質問を頂いていた件なのですが、 確かにいろんな記事にとっ散らかっているのも事実なので、全部まとめます。 用語の確認 ・「法」 ⇒ 道路交通法 ・「令」 ⇒ 道路交通法施行令 ・標識令 ⇒ 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 複...

 

例えばですが以前、なんか大暴れしていた方のケース。

 

正しい車両通行帯の考え方と、自転車乗りは違反なのかについて検討。
先日も書いた件です。 片側2車線道路で、左第1車線のど真ん中付近を走行しているのですが、これが違反になるのかどうかについて検討します。 事実確認・法確認から 調べたところ、この道路は府道13号京都守口線の守口市内のようです。 ・片側2車線道...

 

片側2車線ですが、この道路は車両通行帯が無い道路なので、18条1項により自転車は「車道の」左側端に寄って走る義務がある。

道路構造令的には、車道外側線の外側は路肩ですが、道交法上では車道。
路肩のエプロン部を除いても通行に適した路肩があるので、一般的な感覚でいうと車道外側線の外側が自転車の通行位置となる。
仮にやや広めにとっても、車道外側線の外側とやや内側程度まででしょうか。

 

道交法では車道外側線は何ら規制効力も意味もない、単なるお絵描き。
単なるお絵描きが道交法上の基準にはならないので、路肩を走れとか、路肩は走るべきではないとか、そもそも関係ないんですね。
本来は。
安全に通行できないエプロン部とか側溝を除いた上で左端に寄ることを求めているのであって、車道外側線がどうのこうのという説明自体が失当と言えます。

定義が曖昧なままだと

たまたま見つけたこの記事ですが、読み手も定義が曖昧なまま読むと筆者の意図が伝わらないし、読み手も定義が分かっていないと読み違えて的外れな批判になってしまう恐れがある。
なので法律問題を語るときって、「定義」から確認しないと意味が分からなくなるのですが、定義を確認しないまま勝手に決め付けて批判するような雑なプレイをしかねない。

 

例えばコレ。

いろんな人
いろんな人
自転車は道路の路肩部分を走行するようになっている。

これって合っている、間違っているという問題ではなく、そもそも的外れという感じ。
自転車が走るべき左側端が路肩になりうることもあるし、それが適さないこともあるので、路肩という定義を使うこと自体が間違いなのではないかと。

 

けど定義を分からないまま読んでしまうと、なおさら意味が分からなくなる。
こういう記事って本当にややこしい。

 

なんでもそうですが、まずは定義から確認して検討しないと、的外れになりますよね。
路肩とは何か?車線とは何か?というのは法律上の定義があるけど、道交法と道路構造令で差がある定義もあるし、道路構造令で定義があっても道交法では定義が無いものもある。

車道外側線は道交法では何ら意味がない線なので、その外側を走るべきか、内側を走るべきかという議論自体が不毛。

 

どこまでが車道なのか?という判例を検討する。
ウィキペディアの【車道外側線】のページをみると、車道外側線の外側は車道であるとした判例と、車道ではないとした判例で見解が割れていることになってます。 まあ、このようなことがなぜ起こるのか?という話。 車道外側線の外側は車道ではない? 車道外...

 

私が裁判で争ったのってまさに定義でして、ある法律に記された数文字の定義をどうするのか次第で全てが変わる。
長年かけて定着した定義について、行政側が恣意的な解釈をして拡大できると思い込んだことが原因で起こったものですが、定義が定まれば全て解決する。

 

先日、最高裁まで争ったコインハイブ事件も、ある意味では定義についての争いなんだと思うのですが、反意図性と不正性という曖昧なところをどこで線を引くのか次第で、有罪なのか無罪なのかが変わる。
定義ってホント大切ですね。
最高裁まで争ったあの方、凄いなと思います。

 

道交法関係では、定義を見誤ると全く見当違いの批判を繰り返すことになるので、まずは定義の確認と、定義が道交法に関係するのかどうかを検討してから読んだ方がいいと思う。
勝手な解釈を加えると、全部意味を取り違えるだけですから・・・
例えば車線の右端と書いてあれば、「車線」の定義を引っ張って来れば当然この位置を走る自転車(赤)だと理解出来ますが、

謎のオリジナル定義を使ってみたり、勝手な解釈を加えて読み間違えるような人はさすがにいないか。
車線が分からないという人は道路を走るレベルにいないし。
たまにいるんだよなぁ、謎の位置を通行する自転車。

 

それこそ、普通自転車専用通行帯という「車両通行帯」がある道路なのに、18条1項のキープレフトについて語り出すような人もいるわけで、こういう人は法律を読まないのかなと不思議に思うのですが・・・
例えばコレは、道路標識があることやカラーリング&車線で区分されていることから見ても普通自転車専用通行帯であることは容易に理解できることですが、

 

 

普通自転車専用通行帯の左端にある白線は、車両通行帯最外側線になるので、このラインと歩道の間(いわゆる路肩)を通行すれば、自転車であろうとも通行帯違反になる。
車やオートバイ、原付は普通自転車専用通行帯の右側にある第2通行帯を通行することになりますが、これは車両通行帯なので当たり前のこと。

(車両通行帯)
第二十条
2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。

 

標識令

種類 表示する意味
普通自転車専用通行帯 交通法第二十条第二項の道路標識により、車両通行帯の設けられた道路において普通自転車が通行しなければならない車両通行帯(以下この項において「普通自転車専用通行帯」という。)を指定し、かつ、軽車両以外の車両が通行しなければならない車両通行帯として普通自転車専用通行帯以外の車両通行帯を指定すること

普通自転車専用通行帯の道路標識があるので、ここは車両通行帯だと理解できるし、18条1項のキープレフトが適用されない道路だということは免許を持っている人であれば容易に理解できる。
まさかこの道路で、「車やオートバイは軽車両を空けた上で左側に寄るキープレフトガー!」という人がいるとは思えないけど、もしそういう人がいたら、免許を持っているのかどうかすら怪しくなってくる。

 

(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。

 

ただし上の普通自転車専用通行帯では、交差点手前に進路変更禁止の道路標示(イエローライン)もないし、進行方向別通行区分の指定もされていないようなので、左折しようとする車やオートバイが普通自転車専用通行帯まで寄せることは何ら問題ない(34条1項)。
これも分かってない人だと、

いろんな人
いろんな人
自転車レーンなのにオートバイが走りやがって!!

とか言い出すんでしょうかね。
むしろ自転車レーンまで寄せることは上の交差点であれば義務になってしまう。
判例上だと80m程度は左折前に自転車レーンに進入しても違反ではないことになってます。

 

一応、車両通行帯がある道路でもキープレフトという言葉を使うことはあるけど(20条1項)、これは最も左端にある車線を走るという意味。

(車両通行帯)
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。

このケースでは当たり前ですが、「車線左側を走る」ではなく、「最も左端の車線を走る」になる。
グーグルマップのところは専用通行帯がある道路なので、20条1項の規定は関係ありませんが。

2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。

 

メディアの記事がおかしいことはよくあるけど、読む人に知識が無かったら読み間違えるのも当然。
なんでもそうですが、定義を確認せずに読みだすと、間違いやすいですよね。
なお、18条1項のキープレフトについては、「車両通行帯が無い道路において」車やオートバイは軽車両の通行分である左側端を空けた上で左側に寄ることとされていますが、車やオートバイが左側端を通行したところで違反ではないというのが通説的解釈です。

 

キープレフトの原則とトンデモ論。片側1車線道路でのキープレフトの概念を見ていく。
だいぶ前にも書いたのですが、検索しても出てこないw と思ったらこれか。 だいぶ前のことですが、片側一車線道路(歩道アリ)をロードバイクで走っていたときのこと。 車道はやや混みくらいで、速度もさほど出てないけどゆっくり前進しているみたいな状況...

 

道路交通法18条1項の解釈と自転車。
ずいぶん前にも書いたのですが、 道路交通法18条1項の解釈、どうも勘違いする人がいるような。 18条1項 (左側寄り通行等) 第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車...

 




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