先日、イヤホン&無灯火の自転車が歩道で歩行者に当たって結果的に死亡事故になるという痛ましい事件がありました。
そもそも自転車に乗るときにイヤホンは違反なの?というところについて。
イヤホンは違反?
これ、以前も全都道府県のまとめを書いているのでそっちを見てください。
この記事なんですが、私が書いた意味。
基本は自転車に乗るときにイヤホンだろうと骨伝導だろうと、そんなもん使うなという意味合いで、最後に【推奨しない】と書きました。
特に歩道を通行するママチャリの人たち。
やっぱね、印象としては悪いです。
イヤホン&歩道爆走とか、バカなんじゃないかとすら思う。
歩道の場合、歩行者に絶対的な優先権がある。
そもそも歩道って自転車には徐行義務があるの知ってる??
6-8キロが目安で、歩行者がいない場合でも徐行義務はあります。
音楽聞きながら歩道を時速20キロとかで爆走して、そりゃ歩行者からしたら恐怖です。
車道を走るロードバイクの場合は、後続車が迫る音とか、メカトラブルの異音とかいろいろ気をつけていないと痛い目に遭う。
なので原則として使うべきではないと思ってますが、法律はそのようにはなってない。
基本、当サイトの方針としては、法律解釈はしっかり押さえた上で、法律論とマナー論は分けたいので。
で、自転車イヤホンについての規制は、道路交通法71条6号です。
第七十一条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
六 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項
各都道府県の公安委員会規則に書いてあります。
これ、全都道府県、多少の表現の違いはあっても内容は同じ。
東京都道路交通規則の例。
第8条 法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(5) 高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は公共目的を遂行する者が当該目的のための指令を受信する場合にイヤホーン等を使用するときは、この限りでない。
なので法解釈上は、安全に必要な音が聞こえているのであればイヤホンだろうとヘッドホンだろうと禁止対象ではない。
【等】とあるので、骨伝導だろうとスピーカーだろうと、安全に必要な音が聞こえないならアウト。
そのほか、京都府と千葉県については、独自条例にてイヤホンだろうと骨伝導だろうと禁止になってます。
これね、過去にこの記事を出した時に、あるサイクリストが勘違いして、
ふー。
法解釈を確認した上で、推奨しないと書いただろうが。
法律上はしょうがないにしろ、そこまでしてロードに乗るときに音楽聞きたいのかーと衝撃を受けたのを思い出します。
実務上、警察がどうやって【安全な音が聞こえているかどうか】を確認するかというと、声を掛けてきちんと止まるかどうか?にしているようです。
止まってもらえますか?
警察官からの声掛けに気が付かない⇒安全に必要な音が聞こえていないという感じにしているようですが、数回声を掛けても停止しなかった自転車に対し赤切符を切った事例もあります。
基本はイヤホンを外すように指導して指導警告票を渡す程度でおしまいです。
ただこれ、警察官によって結構差があるらしく、補聴器を付けている人に外せと迫ったクソ事例もある。
紛らわしいから外せと迫ったようですが、これはあってはならないクソ事例。
補聴器が無いと音が聞こえないのだから、外したらむしろ危険だろと・・・
イヤホン使用だけでいきなり赤切符という事例はあまりないと思うのですが、事故を起こせば重過失致死罪に問われる傾向にはあるようです。
民事でも過失は増えます。
あと、安全に必要な音というのも絶対的な音量ではなく、音楽に集中していて周囲を音が認識できていないならアウト。
個人的には禁止にしてもいいのではと思うけど
法律の条文を見ると分かるように、イヤホンの使用だけでは一発アウトに出来ず、安全に必要な音が聞こえない状態がアウトなわけです。
なので確認のために声掛けして注意指導でおしまいが多いんじゃないですかね。
個人的には音楽を聴きながら自転車に乗りたいとは思わないというか、クソ怖くないですかね。
よくある言い訳も、
たぶんこれ、集中力の問題のほうが大きいのかなと。
歌の方に気が向いて、それ以外が散漫になりやすい。
京都府と千葉県では独自条例で禁止にしてますが、これらは罰則が無いので努力目標みたいになってます。
以前、ハンズフリー通話についてもいくつかの都道府県に聞いたのですが、
安全に必要な音が聞こえているなら違反とは言えないけど、危険なので声かけして注意対象にはしている、というのが実情。
たまにいますもんね。
歩道を通っているママチャリが突然一人でしゃべり出すみたいな。
こういうのも、電話したいだけなら停まってすればいいのにと思うのですが、法律上は即座に違反とは言えない。
普通に禁止対象にすればいいんじゃね?と思うのですが、以前聞いた時は車のハンズフリー通話が違反ではない以上、自転車にも同様にするしかないみたいな話でした。
道交法上の違反ではなくても、イヤホンなりハンズフリーなり使っている状態で事故を起こせば重過失致死傷に問われる可能性もあるのだし、そもそも危険なので、個人的には全くオススメしません。
法律上では問題ないことでも、自転車と言えど車両の運転者ですから。
法律でもうちょっと厳しくしてもいいんじゃないかと思うのですが、補聴器つけている人に外せと迫る程度ですし、警察官が歩道で徐行していない事実もあるし、自転車だからと甘くなっていることが問題だと思うんですが。
ところでですが、一応は各都道府県の公安委員会に決定権があるわけじゃないですか。
自転車のイヤホンなどの使用については。
これってどの都道府県もほぼ同じ内容になってますが、強気にイヤホン等禁止とかには出来ないんですかね。
京都府なんかは独自の条例で禁止していますが、公安委員会規則ではないため道路交通法違反にはならず罰則もない。
警察庁の意向が反映されるのですかね?
道交法違反にはならない行動でも、それが本当に安全なのか?という観点でも考えるべきと考えていますが、法律論ではなくマナーとか自己防衛とかの領域になってしまうので、人それぞれ考え方の差が出るのでしょうがないとも言えますが。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
コメント
いつも参考にさせていただいています。
法律の素人なのですが、日本語的な解釈におかしいような感じがあるので質問させていただきます。
>(5) 高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な>運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと
>なので法解釈上は、安全に必要な音が聞こえているのであればイヤホンだろうとヘッド>ホンだろうと禁止対象ではない。
私の国語力では上の条文は以下の三つに分けられると思います。
高音でカーラジオ等を聞き → 安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態
イヤホーン等を使用してラジオを聞く → 安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態
等(そのほかにもあるよ) → 安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態
だから「イヤホンだろうとヘッドホンだろうと禁止対象ではない。」は間違いではないでしょうか?
コメントありがとうございます。
おっしゃりたいことの意味は分かります。
この規定は道路交通法71条6号の違反となるかの刑罰規定ですが、【安全に必要な音が聞こえないような状態】への例示列挙として、その前段が記載されてあるわけです。
この条文の本筋はここになります。
要はあなたが解釈されたように3つに分けていいのです。
安全に必要な音が聞こえないような状態の例示として、【等】も含めて3種掲げていると見ていいのですが、刑罰規定なので、上記1~3どれでもいいのですが、条文に記された内容をすべて満たしたときに違反となるわけです。
これについてみたときに、イヤホンを使用してラジオを聞いていたとしても、【安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態】ではないのであれば違反として成立しないこととなります。
イヤホンを使いラジオを聞きながらも、安全な交通に必要な音が聞こえている状態であれば条文を満たせなくなるためです。
実務上では、警察官が後方から声を掛けて振り向くかどうかを基準にしているようですが、警察としても本音は、そもそも音楽聞きながら乗ってほしくないということになる。
なので実務上では、外すように指導するけど安全に必要な音が聞こえているのであれば違反としては成立しないこととなります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/602f5de3be43d4da987dcddc0fab6f405b1fd30f