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しょーじき意味がわからん。

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先日の記事について、一言付言しておく。

 

秘技!?論点ゴロゴロ。
まだご理解頂けない様子。以前から負け惜しみが酷い人だなと思っていたけど、論点をどんどん変えるのですな。かわいそうな遠く離れた位置から、信号無視して横断している歩行者を発見したならば、安全運転義務(70条)に基づいて速度を調節しながら様子を見...

 

信頼の原則

この人、信頼の原則を理解してないのが明らかなのがこれ。

ところが
私が話してるのは
信頼を裏切られたとき
信頼の原則が適用されない場合の話

信頼の原則というのは、他の交通関与者が交通ルールに従って通行すると期待して信頼していたのに、信頼を裏切ってトリッキーなプレイをしてきた場合に働く論理。

 

「信頼を裏切られたとき」に信頼の原則が働くわけなので、もはや支離滅裂です。
「信頼を裏切られたとき」と「信頼の原則が働かないとき」は、方向性としては真逆の状態。

 

信号についての信頼の原則ってこういうの。

歩行者が信号は守るだろと期待していたから通常通り進行していたけど、まさか信頼を裏切って信号無視するとは思わず事故を回避できなかった。
この場合、車両の運転者に過失を押し付けるのは妥当ではないよね?

真逆とも言えることを平然と語る時点で、信頼の原則について全く理解していないと判断するしかないのよ。

徳島地裁の判例

 

そこそこ有名な事件だったんですね。
ちょっと前に取り上げた判例なんですが。この事故、そこそこ有名な事故だったんですね。知りませんでした。夜間、片側4車線道路の横断歩道&自転車横断帯を、赤信号のまま渡って起きた死亡事故ですが無罪(過失運転致死)となっているものです。不可解な夜間...

 

過失運転致死罪は、何らかの注意義務違反(予見義務、回避義務)があり、それが死亡という結果と因果関係があるなら成立します。
この判例、確かに信頼の原則にかかる判示は出てきますが、たくさんの注意義務を挙げて、その中の注意義務として「信号無視する自転車があることを予見する義務があったのか?」について信頼の原則を適用。

 

注意義務のうち一つを信頼の原則で消したことは間違いないけど、それが全てみたいな報道には違和感を感じる。

 

先日も書いたけど、この人の論理はメチャクチャです。

これは一見すると成立要件を満たすように感じる人もいるかもしれないけど、38条をちゃんと読みなよという話になる。

 

※分かりにくいので、カッコ書きや自転車横断帯を省略します。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は、①横断歩道に接近する場合には③当該横断歩道を通過する際に当該横断歩道によりその進路の前方を横断しようとする歩行者がないことが明らかな場合を除き、②当該横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。④この場合において⑥横断歩道によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは⑤当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない

<前段>
①義務の発生点(横断歩道に接近)
②義務(速度調節義務)
③除外規定(横断しようとする歩行者がいないことが明らかな場合)
<後段>
④義務の条件(前段の速度調節義務が発生しているとき)
⑤義務(一時停止と妨害禁止)
⑥義務の発生点(横断歩行者がいるか、横断しようとする歩行者がいるとき)

 

38条って、こう。

横断歩道に接近するときは減速徐行(速度調節義務)しろ。ただし横断しようとする歩行者が明らかにいないなら免除する。
減速徐行した状態のときに、歩行者が横断しようとしていたら一時停止して妨害するなよ。

前段の義務って、そもそも歩行者の存在は関係なくて横断歩道に接近する行為自体に一律で義務を課し、除外規定を置いている。

 

だから「赤信号を無視して横断歩道を横断する歩行者に、38条の義務があるのか?」という疑問を解決するには、「赤信号で規制された横断歩道に対して減速徐行義務はあるか?」で考えないと、意味がない。

 

だからこういう判示になるわけ。

検察官は、その趣旨は必ずしも判然としないものの、論告において、被告人又は被告人車両には、道路交通法38条1項が適用されることを前提として、先に述べた以上に特に高度の注意義務が課されるかのような主張をしているため、この点について念のため付言しておく。
道路交通法38条1項は、「当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合」を除外しているところ、この「歩行者等が無いことが明らかな場合」には、歩行者等に向けられた信号機の信号が赤色を表示しており、その赤色の現示時間中に車両等が横断歩道等を通過し終わることが明らかな場合が含まれると解される。本件における被告人車両は、この除外事由に該当するといえるから、道路交通法38条1項が適用はない。仮に、検察官の主張するように、被告人車両について道路交通法38条1項が適用されるとしたならば、信号機により交通整理が行われている交差点において、自車の対面信号機が青色を表示しており、横断歩道等の歩行者等に向けられた信号機の信号が赤色を表示している場合であっても、特にその道路幅が広ければ広いほど、自動車の運転者は、常に横断歩道等の直前で停止できるような速度、すなわち、横断歩道等に接近しながら徐々に速度を落とし、横断歩道等の至近のところでは徐行に近い状態の速度で進行しなければならないことになるが、このことが結論において不合理であることは明らかである

 

徳島地裁 令和2年1月22日

除外規定を取っ払って考えればわかりやすい。

 

(横断歩道における歩行者の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道に接近する場合には、当該横断歩道の直前で停止することができるような速度で進行しなければならない。

前段の義務って、歩行者の存在は一切関係ないの
横断歩道に接近する行為全てに義務を課していて、除外事由に当たるときだけ免除。
だから「現に横断歩行者がいるケース」とか持ち出して考える時点で、全然理解してないのな。
「赤信号を無視して横断する歩行者に対して38条の義務はあるか?」を検討するなら、「横断歩道が赤信号の場合に、歩行者の存在に関わらず38条の義務はあるか?」を検討しないと意味がない。

 

そして後段の義務。

この場合において、横断歩道によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者があるときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

「この場合において」は前段の義務のこと。
減速徐行義務があるときに横断歩行者がいるなら一時停止。
つまりは前段の義務が発生しない状態なら後段も無し。

 

前段の義務は「横断歩道に対して接近する行為」に対する義務なのだから。
だからこんな場面を想定しても、何も解決しないのな。
200m手前で明らかだろうと、30m手前で飛び出ししようと、そもそも前段の義務が発生する要件は「横断歩道に接近するとき」であり、歩行者の有無を問わないのだから。

これも根本的に条文を理解していない証拠。
これは70条の義務。

この人が決定的に理解していないのは、以下の点。

・前段の義務は「横断歩道に接近する行為」に対する減速徐行義務であり、横断歩行者の存在は関係ない(いないことが明らかな場合のみ免除)
・後段の始めに「この場合において」とあるので、前段の義務が発生しない状況では後段の義務も発生しない。
・前段の除外事由に「横断歩道が赤信号」が含まれると解釈されている。

法律構造を理解していない人の戯言レベルです。
よくこれで「論点ガー!」とか言えるよなと呆れます。
「接近」に当たるとは思えないケースを出して検討してみたりすれば、なおさら噛み合うことはありえません。

 

最近、なんだかよくわからないシチュエーションを提示して、「ほら!成立要件満たすジャマイカ!」みたいに言ってくる人が時々いますが、法律がどんなときに、どんな義務を課すのか?という観点を完全無視して謎シチュエーションを提示してくるので、話が噛み合うことがない。

 

前段の義務は、「横断歩道に接近するときは減速徐行しろ」。
現に横断歩行者がいるかどうかの話じゃないの。
横断歩道に接近するという行為自体に義務を課すのだから。
つまり前段の注意対象は、歩行者の存在じゃなくて横断歩道の存在。
だから「赤信号の横断歩道の存在自体が、38条の対象なのか?」で検討しないと意味を取り違える。

 

「としか読めない」というのは、根本的に理解していない証拠。
「論点ずれとる」というのは、この人が支離滅裂な論理を持ち出すから理解できないだけのこと。
ということで、仮に200m先の横断歩道を赤信号無視して横断しているジジイがいて、横断歩道に接近したときもまだヨタヨタ歩いていたとしても、38条の義務が発生しないのは明らか。
けど安全運転義務があるので事故を起こしたらタイーホ案件です。

 

もちろんマニア以外には関係ない話ですが、38条は歩行者の存在に関わらず横断歩道の存在を察知したら減速開始するものと覚えておけばよい。
除外規定は義務を除外するものだから、除外規定に従わなくても違反じゃないし。

 

ワケわからん場面を妄想すると、あたかも成立要件を満たすような錯覚に陥りますが、一つ一つ法律の条文に沿って検討すると、根本的に間違いだと理解できるかと。




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