ちょっといろいろ調べていたことのまとめ。
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車両通行帯
仮にですが、片側二車線の「車両通行帯」があるとします。
車両通行帯がある場合、20条1項により自転車は第一通行帯の中ならどこを走ってもよい。
なので第一通行帯の右端を走る自転車は違法ではない。
続きまして、自転車が第一通行帯の右端を通行中に、第二通行帯から大型車が追い越し又は追い抜きしようとしたとします。
道路交通法上、このような場合の側方間隔について明確な規定はありません。
マナー的には1.5mと言われます。
ちょっと前にいろいろ気になる発言をしている方がいました。
何度も書いているように、道路交通法上の車両通行帯は「公安委員会が車両通行帯とする意思決定をした複数車線道路」を意味します。
なので車両通行帯風だけど車両通行帯ではない「車線境界線」もあります。
これについて、
これね、いろいろ調べていたことのまとめとして書きますが、「狙って車両通行帯にしてない」。
先ほど挙げた状況。
自転車が第一通行帯の右端を走るのが違反ではないとして、第二通行帯から追い越しや追い抜きする際に「安全側方間隔」が保てなくなる。
つまりは追い抜き、追い越ししようにも違反となり出来なくなる。
二車線あるにも関わらず。
しかも、自転車に対して「もっと左側に寄れ」とも言えなくなる。
複数車線道路が車両通行帯に指定されてない理由はもちろん他にもあります。
車両通行帯の本質は走行車線と追い越し車線を区分して、速度が異なる車両間の安全性と円滑を図るところにある。
追い越し車線のほうが速度が速くなるわけですが、一般道は交差点がすぐに現れるので、右折車両が発生する。
速度が上がるべき追い越し車線の先が右折車両待ちになり、全然円滑でも安全でもない。
なので道路交通法が規定している「車両通行帯」って、一般道に設けるべきモノじゃないんですね。
交差点が滅多にないような自動車専用道路以外には不要。
強いていうなら、特定車両を円滑に進行させる「専用通行帯」や交差点の安全性を高める「進行方向別通行区分」などだけが一般道に必要になる。
結局のところ、一般道において車両通行帯なんてほぼ無い理由は「不要だから」、「むしろ悪影響」となります。
ところで
このような片側二車線道路があった場合、いわゆる上乗せ規制が掛かっていないなら「車両通行帯がない道路」と見なせるため、自転車は18条1項により左側端通行義務に反していると言えます。
18条1項には罰則がない以上、結局は同じなんじゃないか?とも言える。
追い付かれた車両の義務も自転車が対象になっていないことからなおさら話がややこしくなっている気もします。
18条1項に罰則がない理由は、どこまでが左側端なのか?は道路状況次第で変わりうることや、遵法精神に期待しているから。
話を戻しますが、仮に片側二車線の車両通行帯があった場合、自転車は何ら違反にならない。
けど、自転車がちょっと左側に寄るだけで第二通行帯の大型車は安全側方間隔を維持しながら追い抜きできるわけじゃないですか。
両者Win-Winになれるのに、「第一通行帯の中ならどこを走っても構わないのだから左側に寄る義務はない!」などと突っぱねます?
適法なことは必ずしも適切ではないという、法律以前の話が抜け落ちていると思う。
まあ、こういう事態を防ぐためにも複数車線道路の全てを車両通行帯にしてないわけだけど、18条1項に罰則がなく、27条追い付かれた車両の義務が対象外にしたことがより話をややこしくしているような。
とりあえず、なぜ複数車線道路の全てを車両通行帯にしてないのかというと、「不合理だから」としか言えないし、法律解釈をねじ曲げて好き勝手な位置を通行する自転車がいる限りは、「追い越し追い抜き時の側方間隔を規定しろ」と言っても無理。
個人的には数値規定を置くべきと思っているけど。
ちなみに、よく言われる側方間隔1.5m空けてないと違反説。
残念ながら刑事責任としては、先行自転車に何ら動揺性が見られない場合、1.0m空けていれば側方間隔は問題なしです。
唯一、先行自転車が酔っぱらいで動揺しているのを確認していた状況について「時速20キロ、側方間隔1.3m」は不十分とした判例もありますが(昭和29年4月15日 仙台高裁)、よく言われる1.5mという数値はどこから出てきたのやら、
強いていうなら1~1.5mは問題ないとしたこれなんかな?
原判決は、被告人が原付の右側を追い抜くに当り、同原付の前方及び同車の動静に十分注意し、かつ、その右側に間隔をとり進路の安全を確認しながら進行して、事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り同人の右側に近接して漠然進行した過失があると認定しているが、被告人は前記の如く原付の右側に、1mないし1.5mの間隔をとって道路センターライン寄りを直進して原付を追い抜こうとしたものであって、まず、この場合の追い抜きの方法としては正常なもので、特にこれを非難すべき筋合は認められない。
昭和45年3月5日 東京高裁
とはいえ
18条や20条に関する判例は過去散々挙げてきたので割愛します笑。
こちらを参考に。
ちなみに「車両通行帯の公安委員会の意思決定」について触れている判例が少ない理由は、原告被告ともに車両通行帯であることを争ってないからですよ笑。
争っている判例は、私が知る限りは道路交通法の通りに解釈されてます。
つまり、複数車線道路でも車両通行帯ではないとして18条1項で検討されてます。
あと、こちらの判例ですが、
双方ともに車両通行帯であることを争っていません。
そんでもって、自転車側の主張は否定されてます。
適法なら適切とは限らないし、適法なら無過失になるわけでもない。
まあ一部の人たちは理解する気がないみたいですが、弁護士さんの横断歩道の件も含め、結局は判例があったとしても持論を変える気はないのでしょう。
しょーもない人たちがいますよね。
ちなみに公安委員会の資料を全部出して立証しろ!とか不可能なことを言われても対応してません。
一部はこちらに載せた通り。
18条1項に関する判例
自転車は左側端、車やオートバイは自転車通行分の左側端を開けた上で左側寄り(18条1項)。
片側1車線道路にて、対向車がセンターラインを越えて進行してきた場合、18条1項を遵守していなかったことは過失になるでしょうか?
答えは「ケースバイケース」。
例えば片側1車線道路にて、センターラインから約70センチ左側の位置を通行していたオートバイと、センターラインを越えて進行してきた対向車が衝突した事故について、オートバイが18条1項の違反があったとして過失認定していたりする(東京高裁 平成26年8月26日)。
センターラインを越えて進行する対向車が全面的に悪いとならなかった理由。
峠道で車道幅員も狭く、対向車が大型車ならコーナーリングの際にセンターラインを越えて進行することが十分予見可能だからです。
バスなんか、何ら悪意がなくても曲がるにはセンターラインを越えますから。
そのほか、以下のような状況において、オートバイに18条1項の違反があったとして過失認定している判例も。
原告車両から見て衝突位置の左側に、車線の半分以上である少なくとも1.5m以上のスペースを残して直進進行してきたものであるから、左側寄り通行義務(道路交通法18条1項)に違反した過失もあるというべきであり、このことが本件事故発生の一原因になっていることは否定し難い。
東京地裁 平成19年1月21日
18条1項に罰則がない理由は、「状況により異なるから」という側面が大きい。
判例上でどのように扱われているかも知らない人が勝手な見解を語るケースはありますが、事故になってからビックリするんだよね。
判例上、そんな扱いではないことをあとから知って。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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