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死角が絡む事故。

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ご冥福をお祈りいたします。

事故の状況

いくつか報道にも出ています。

捜査関係者によりますと、片側3車線のうち2車線が渋滞している状況で、仲本さんが道路を横断しようと車の間を抜けたところ、歩道から3車線目の右折レーン付近で車に衝突したといいます。

 

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000272427.html
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イメージだとこうですかね。

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「歩行者横断禁止」ですが、直前直後横断になります。
直前直後横断を禁止している趣旨は、死角になり見えないことと、車両側が急ブレーキを掛けても回避可能性がないから。

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歩行者は、車両等の直前で道路を横断してはならないところ(道路交通法13条1項)、同規定にいう「直前」とは、当該車両等の速度との関連において客観的に危険を生ずるおそれがあると認められる範囲をいうものと解するのが相当である。そして、(中略)を総合すると、原告は、進路左右からの接近車両の有無、動静を確認すべき注意義務を怠り、しかも、本件車両との衝突の危険を生ずるおそれがある範囲内で本件道路を横断したものであると認められ

 

金沢地裁 平成30年5月9日

あとは車の運転者が何らかの注意義務を怠った可能性があるかないかになりますが、これについては何ら報道がないのでわかりません。
ここでいう注意義務ですが、普段からこの道路をよく通行していて横断歩行者が多いことを知っていた場合には信頼の原則を否定する材料になります。
速度超過や前方不注視があった場合には制限速度内で進行して前方左右を注視していた場合に回避可能性があったかどうかになります。

 

まあどちらにせよ、現時点では運転者の走行態様がどうだったのかは不明なので、「どっちが悪い」なんて話は出来るはずもありませんが。

 

ご冥福をお祈りいたします。

車列間を抜けて

歩行者横断禁止の標識ですが、警察庁の「交通規制基準」によると以下のように設置することになっています。

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1 歩行者横断禁止区間の始まり及び終わりの地点における両側の路端に始点標識及び終点標識をそれぞれ設置するものとする。
2 道路に防護柵等が設置されている区間は、その開口部等必要な箇所に、防護柵等が設置されていない区間は、おおむね100メートルの間隔をおいて両側の路端に、区間内標識を設置するものとする(図例(1)参照)。
3 中央分離帯に設置する場合は、おおむね50メートルの間隔をおいて設置するものとする

車列間を抜けて横断した場合、どうしてもお互いに死角になるわけなので、第二通行帯と第三通行帯の間で歩行者が確認するしかない。
この件でいうと、横断禁止かつ直前横断という違反が考えられる以上は。

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車両側に警戒義務を課す場合、最徐行し車列間横断を確認しながら進行するしかありませんが、普段からそういう場所だと知っていたか、車列間横断が容易に予測可能な場合以外はそこまでの義務があるとは通常なりません。

 

まあ、運転者側の過失については全く報道されていませんし、この手の事故については細かい状況次第で過失割合はどちらにも変わりうるので、「どっちが悪い」なんて安易に言えるものではないですね。

 

ところで以前も書きましたが、「歩行者横断禁止」について民事過失割合の倉田試案では、当初「歩行者過失80%」としていたそうな。
横断禁止=赤信号同等と捉えていたのかな。

 

これには裁判所内での批判が強く、結局のところ「歩行者横断禁止」については歩行者過失の修正は5~10%程度の加算に落ち着いたらしい。

 

昭和40年代って横断歩道を廃止して歩道橋を建設することにシフトしていた時代。
障害者やお年寄りなど、階段を上れない人に対する配慮が無さすぎるというのも一因みたいですし、横断禁止の標識の配置などからも赤信号同等とみなすのは不適切だったのかもしれません。
実際、横断禁止の標識は位置的に見逃す可能性もありますから。

どっちが?

どっちが悪い?というのは事故が起きた後の結果論。
結局のところ、それぞれに課された義務を果たすしかないんだよね。
仮に車の過失が大きいとしても、だからといって歩行者の違反が帳消しになるワケではない。

 

以前も挙げた判例ですが、こちら。

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ガソリンスタンドから歩道を横切り車道に進出する際に、クルマは一時停止義務を怠り時速4.2キロで進行。
歩道の左側には高さ2.5mの壁があり、歩道左側の見通しが効かない状況です。

 

自転車は歩道を時速39.6キロで進行した結果、クルマと衝突。
クルマのドライバーが過失運転傷害罪に問われた判例です。

 

一審は「一時停止義務を怠った過失」として有罪。
広島高裁は「一時停止しても事故は回避できなかった」として原判決を破棄。
その上で改めて注意義務違反を認定し有罪にしています。
「本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務を怠った」という認定です。

本件ガソリンスタンド敷地内からその北方に接する本件歩道を通過して本件車道へ向け進出するに当たり,本件ガソリンスタンドの出入口左方には壁や看板等が設置されていて左方の見通しが悪く,本件歩道を進行する自転車等の有無及びその安全を確認するのが困難であったから,本件歩道手前で一時停止した上,小刻みに停止・発進を繰り返すなどして,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,本件歩道手前で一時停止せず,本件歩道を通行する自転車等の有無及びその安全確認不十分のまま漫然時速約4.2kmで進行した過失により,折から本件歩道を左から右へ向け進行して来たA(当時41歳)運転のA自転車に気付かず,A自転車右側に自車右前部を衝突させてAを路上に転倒させ,よって,Aに入院加療150日間を要する脊髄損傷等の傷害を負わせたものである。

 

広島高裁 令和3年9月16日

ただまあ、だからと言って歩道を時速約40キロで進行していた自転車の違反まで帳消しにするワケじゃない。
歩道は徐行義務がありますし。

 

これ、ガソリンスタンドから出てきたのがクルマではなくガソリンスタンドのスタッフなど歩行者だった場合には、自転車が過失傷害又は重過失傷害に問われるわけ。
たまたま最終的な事故形態が被害者になっただけで、自転車が歩道で爆走していたことは加害者になる可能性も普通にあるわけ。

 

どっちが悪いという話よりも、お互いにそれぞれ義務を果たせとしかならない。

 

どっちが悪い論が大好きな人もいるけど、加害者になるか被害者になるかなんて結果論。
冒頭の件も、第三通行帯を進行してきたのがオートバイだったら、事故回避のために転倒して怪我をしたり死亡する可能性もあるわけで、どっちが加害者になるかどっちが被害者になるかはわかんない。
死角である以上は最終的にどうだったかはわかんないのだから。

 

なのでそれぞれに課された義務を果たすしかないんだよね。

 

先日もチラっと挙げた判例ですが、時速28キロで優先道路を進行したバスと、死角から進行した自転車(6歳)。

 

交通事故の損害賠償に少額訴訟はオススメしない。
交通事故になり少額訴訟を検討中という方から、こちらの判例の詳細を質問されたのですが、 メール、届いてますかね? 判例の詳細は この判例、一審で子供の自転車:バス=40:60としてますが、二審は50:...

 

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職業運転者として近隣に住宅等が多いことを知っていた以上、飛び出しに注意して進行する義務があるとして50:50。
これもたまたまバスだったから被害者になりますが、進行していたのが二輪車ならどっちが被害者になるかはわかんない。
この事故は6歳なので難しいけど、それぞれの義務を果たすしかないんだよね。
せめて、違反して進行したなら途中で確認すべきなんだけど。

 

死角が絡む事故は難しいよね。
ご冥福をお祈りいたします。





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