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「歩道の中の自転車道」。通行義務はある?

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こういうトラブルは聞いていて悲しくなります。

読者様
読者様
甲府駅南口からまっすぐ伸びる道路の歩道上に「自転車道」と書いてある部分があります。
自転車道の道路標識はありません。
この場合、自転車が車道を走ると違反になるのでしょうか?
車道を走っていたら「自転車道って書いてあるだろ!」と怒鳴られたので納得いきません。

 

Googleマップで探しましたが、これですかね。

 

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歩道の中にある「自転車道」

今回、あえて管轄署には聞いていないのですが、

管理人
管理人
結論から言いますと、自転車道と書かれた部分を通行する義務がある可能性もあるし、無い可能性もあります。
誰か裁判で争わない限りはわかりません。

以前も書いた話ですが、

 

自転車道の通行義務と自転車道の道路標識について。意外とややこしい。
自転車道関連の話は何度も書いていますが、道路に自転車道がある場合、自転車は自転車道の通行義務があります。(自転車道の通行区分)第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの(以...

 

こうなる理由は2つあります。

道路交通法の「自転車道」とは

問題なのは、道路交通法の「自転車道」の定義。

三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

道路標識が必須要件ではない

標識令によると道路標識325の2は「自転車道であること」を意味します。
ところが道路交通法上の定義によると、自転車道は道路標識が必須要件になっていない。

三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

要件は「縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された」だけ。
例えば車両通行帯の定義によると、道路標示が必須要件になってます。

七 車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう。

なので道路交通法上の「自転車道」は、道路標識がなくても工作物で区切れば成立します。

「車道の部分」の解釈

三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

自転車道の定義によると、自転車道とは「車道の部分」なんだとしています。
これ、解釈としてはどちらも取りうる。

 

①「あくまでも車道の部分だから、車道を工作物で区切る説」

自転車道:自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によって区画された車道の部分をいう。(法2条1項3号の3)したがって、車道上に単に道路鋲または区画線を設けて自転車通行帯を区分しているものは、自転車道とは言えない。また、従来、歩道とされていた部分を縁石線さく等の工作物により区画した自転車通行帯については、車道上に設けられたものではないので、自転車道とは言えない。

 

執務資料道路交通法解説、東京法令出版

②「工作物で区切れば車道とみなす説」

この自転車道は、車道の部分であるから、歩道上に道路標示により自転車および歩行者のそれぞれの通行区分を示しているような場合(第17条の3の規定が適用される場合には、このようなこともありうる。)、当該自転車の通行する部分は自転車道にはならない。ただ、従来歩道とされていた部分について縁石線または柵その他これに類する工作物によって区画された自転車の通行の用に供する部分は自転車道であると解される。

 

逐条道路交通法、交通法令研究会、警察時報社、昭和47年

歩道を区切って車道を作ることは道路交通法上何ら問題がない上、最近の行政の動向を見る限り、明らかに②を採用してます。

幅の広い歩道を「歩道」と「自転車道」に再配分する事例

 

自転車道の整備にあたっては、場合により図Ⅰ-7に示すような既存の幅広歩道などを活用して歩道と自転車道に再配分することが考えられる。この場合には、自転車道の幅員を一律に最小幅員とするのではなく、歩行者と自転車の交通量のバランスを考慮して、それぞれの幅員を検討することが望ましい。 (1-16)

 

https://www.mlit.go.jp/road/road/bicycle/pdf/guideline.pdf

その結果、明らかに「歩道上にある自転車道」が乱立してます。

なので、

・道路標識が必須要件ではない(無くても成立する)
・歩道を工作物で区切る

これでも道路交通法上は「自転車道」になるので、冒頭の件についても自転車道となりうる。
その結果、63条の3により普通自転車は自転車道の通行義務があると解釈される余地があります。

裁判で争わない限りは?

以前も書いたように、同じ神奈川県警傘下にある「自転車道」であっても、管轄署により見解が違います。

国道16号相模原 国道357号金沢区
構造 縁石で区画(どうみても歩道上) 柵で区画(どうみても歩道上)
道路標識 あり あり
管轄署の見解 通行義務あり 通行義務なし
備考 事故後の民事訴訟で「自転車道」と判断される可能性あり

まず、道路交通法上の違反(刑事処分)の対象になるかは管轄署の考え方次第。
警察の考え方は裁判所を拘束しないため、民事訴訟では「自転車道があるにもかかわらず、車道を通行した過失」とされる可能性あり。

 

どうです?
クソ法律ですよね?

結局のところ

こちらは国道357号金沢区にある「自転車道」ですが、自転車道の標識があるにもかかわらず管轄署の考え方は

 

金沢署「道路交通法上の自転車道とは考えてないので、車道を通行しても何ら指導対象ではない」

 

こちらは国道16号相模原の「自転車道」ですが、

相模原署「道路交通法上の自転車道なので、車道を通行すると違反になる」

上でも書いたように、道路交通法上の自転車道は道路標識がなくても成立するし、「車道の部分」についても解釈は2つある。
しかも最近の行政や警察の考え方を見る限り、

 

「歩道を工作物で区切っても自転車道になる」

 

という考え方が支配的。

 

なのでこちら。

読者様
読者様
甲府駅南口からまっすぐ伸びる道路の歩道上に「自転車道」と書いてある部分があります。
自転車道の道路標識はありません。
この場合、自転車が車道を走ると違反になるのでしょうか?
車道を走っていたら「自転車道って書いてあるだろ!」と怒鳴られたので納得いきません。

合ってるかもしれないし、間違っているかもしれないし、誰かが事故って裁判の争点にならない限りはわからん。
警察がどう考えるかについても別問題。

 

悪いのは法律なのでは?
法律の定義に「道路標識で示した」と書いてあれば何も問題ないはずなのに、曖昧にするからおかしくなる。

 

法律をきちんとしない前に自由な解釈の元で自転車インフラを作り始めるから、意味不明な世界が誕生しただけなのね。

 

自転車に乗る人が、「通行義務の有無」を容易に判断できないクソ法律だし、仮に通行義務があるなら、車道を通行する自転車に対して誘導するような案内がないと破綻してるとしか言えない。

 

自転車インフラがどうのこうのというなら、法律から再定義しないと「不明な構造物の大量生産」にしかならんよ。
被害を被るのは誰なのやら。

 

 




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