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直進車が右折車に譲った先にあるもの。

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交差点でもそうだし道路外右折車でもそうですが、「対向右折車に譲る」ドライバーについて質問を頂きました。
これ、「譲らないほうがいい」という考え方もあるし、「どうでもいい」という考え方もあるとは思いますが。

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対向右折車に譲る

交差点だろうと道路外右折だろうと適用条文が違うだけで原理は同じなので、分けずに書きます。

 

「譲るメリット」と「譲るデメリット」。

譲るメリット 譲るデメリット
対向車線が円滑に流れる(右折待ち渋滞の緩和) 譲られた右折車の心理として、「速やかに右折」しようとするため、左側から追い抜きする車両のチェックや歩道手前の一時停止義務が疎かになる
直進車の左側が死角になり、2輪車や歩行者を見逃しやすくなる
左側から追い抜きする2輪車からみても死角を形成する

例えばこんな判例があります。

直進車(大型車)が対向右折車に譲り、右折車は左側から追い抜きする2輪車を警戒しながら徐行進行したところ、路側帯を時速50キロで追い抜きする2輪車と衝突(東京高裁 昭和60年3月18日)。

 

刑事責任としては無罪ですが、民事責任は免れないかと。

 

交差点ではなく道路外右折の場合でも、「譲られた対向右折車」は「速やかに右折しよう」とするため、左側の死角がノーマークになるドライバーも多いし、歩道手前での一時停止義務が疎かになる。

結果的には歩道を通行する歩行者や自転車に対するリスクを上げる結果になるので、「譲らないほうがいい」という考え方も成り立ちます。

 

結局、「譲ることで死角を作る」ため、交通全体の難易度を上げる結果になることは間違いないかと。

どっちがいいか?

状況次第だし、譲った結果事故が起きたとしても、「譲ったドライバー」は刑事責任も民事責任も負いません。
対向車線の円滑を図った一方、交通の難易度を著しく上げたという評価にはなりますが。

 

「どっちがいいか?」という考え方自体に違和感があるので、「お好きにどうぞ」としか言えませんが、要はメリットデメリットを理解していることが大事だし、譲られた側も安易に進行しないこと、2輪車も死角に何があるのかわからないことを前提に行動するしかありません。

死角にいたのが右折車なら、左側から追い抜きした2輪車は被害者になる。
死角にいたのが歩行者なら、左側から追い抜きした2輪車は加害者になる。

このような事故形態の場合、歩行者も「直前横断」の違反があるため過失がかなりつきます。
譲ったドライバーからすると「いいことをした」なのかもしれませんが、見方を変えれば「歩行者に違反させた」にもなる。

(横断の禁止の場所)
第十三条 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。

※直前横断は進行中の車両のみではなく、停止車両を含みます。

 

歩行者の車列間横断(直前横断)と過失。
ちょっと前に、「歩行者横断禁止」の道路で歩行者が横断し事故になった場合の過失割合をいくつか挙げましたが、 過失割合の幅はかなり広く、「歩行者横断禁止」自体が大要素と見ているわけでもありません。 逆に、「歩行者横断禁止」ではない道路において車...

 

なので交通の難易度を上げないために譲らないという選択肢も成り立つし、「善意」という名の下で円滑化するのもいいし。
そして譲った側は一切責任を負わない。

 

状況次第なので、必ずどうあるべきだとは思いませんし、仮に「譲られた」としても先に右折しなきゃいけない義務もない。

 

安易に「ありがとう」で済ますからこうなりやすいだけな気がしますが、

譲られた側は「死角へのケア」と「歩道手前での一時停止義務」を負うので、著しく難易度が高いことを知っておかないと大変なことになる。
狭い道路で明らかに左側から追い抜きする2輪車がいない場合と、2輪車が追い抜き可能な隙間がある場合でも話は違うわけですが、現実としては東京高裁 昭和60年3月18日判決のように、2輪車の追い抜きを警戒しながら微速前進しても事故は起きるので、

個人的には右折するなら、見通しが効く状態のほうが嬉しいかな。
なお同判決については、「路側帯は車両の高速度進行が予定されてない場所」ということと、右折車は十分な注意を果たしたことから無罪ですが、民事責任は免れないかと。

譲るメリットデメリットを理解することと、譲られた側もメリットデメリットを理解することが大事。
いい・悪いという問題でもない気がしますが。

なお、2輪車が左側から追い抜きすること自体に違法性はないものの、停止車両があるときは「横断歩行者への配慮」をしている可能性があることから、大幅に減速して進行すべき注意義務を認めた判例があります。

視野を妨げられた被告人車の前方に横断歩行者又は他の車両のありうることが十分予想されるのであるから、A車は相当に減速し、安全な速度で被告人車の左側を通過すべきであつた。したがつて、被害者にも相当大きな注意義務違反があつたというべきである。

 

東京高裁 昭和50年10月8日


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