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歩行者用信号が、車両用信号よりも早く「赤」になる理由。

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不公平感、と感じる人もいるのか~とある意味勉強になりましたが、

そもそも、なぜ歩行者用信号のほうが早く赤に変わるのでしょうか?

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歩行者用信号のほうが早く「赤」になる理由

確かにこの方が言うように、歩行者用信号を先に「赤」にすることにより、右左折車両の円滑を図る目的あります

 

けど、それ「だけ」の目的なのでしょうか?

 

実はこれ、歩行者保護の目的です。
というのも、歩行者の歩行速度は4キロ以下。
青信号で「適法に」横断開始したものの、青信号のうちに渡りきれずに赤に変わってしまうことを想定しているんですね。

 

仮に車両用信号と歩行者用信号を同時に赤に変わるように設定すれば、青信号で「適法に」横断開始した歩行者が横断歩道上に取り残されてしまい、さらに交差道路側信号が青になれば事故多発に繋がる。

かといって「全方向が赤」の時間を長くすると、今度はそれを見越して車両や歩行者が青→赤に変わってもまだ横断したり、交差点を突破する。

 

歩行者用信号が車両用信号よりも早く「赤」になる理由は、歩行者保護、特に足腰が悪く歩行速度が遅い高齢者や、障害者、怪我人など弱者保護とも言えるかと。
交差道路側の信号が青に変わるまでの時間稼ぎも含めての話なのですが、現実的には札幌高裁判決のような「残存歩行者」の事故は起きています。
青信号で「適法に」横断を開始したものの、長い横断歩道&「すすきの」と繁華街(&酔っぱらい)で横断終了する前に交差道路が青に変わった事例ですね。

 

自転車と横断歩道の関係性。道路交通法38条の判例とケーススタディ。
この記事は過去に書いた判例など、まとめたものになります。 いろんな記事に散らかっている判例をまとめました。 横断歩道と自転車の関係をメインにします。 ○横断歩道を横断する自転車には38条による優先権はない。 ○横断歩道を横断しようとする自転...

 

青信号ってどうしても「すぐに進行したい」人が多いので、車両用信号よりも歩行者用信号を先に赤にする理由は、歩行者の歩行速度を考慮した「一種のクリアランスタイム」と見るほうがより適切かと。
そういう理由から「システム的制御」をしたほうが無難との考え方。

 

ところで、この方が言うような「右左折車両の円滑化」も当然目的の一つです。
あえて取り上げたのは理由がありまして、要はこういうことの理由って一つじゃないこともあれば、違う理由のこともあります。
様々な「理由」について検討すると見え方が違うのは当然ですが、歩車分離信号化を望む理由としてこの方が挙げるような「不公平感」を言ったところで実現するわけもない。
「他にも理由がある」のだから。

二段階右折と意味

以前、T字路での二段階右折について、以下のような意見を述べる方がいました。

 

本当にそう・・・なんですかね?自転車の二段階右折に関する歴史と考察。
当サイトの記事を引用されていたようなので。 アホ過ぎるらしいですが、ちょっと気になるところがあるとの、雑な意見だなぁと思うので調べてみました。 <長くなるので先に結論> ・二段階右折は、対向車との接触の問題だけではない。 二段階右折の歴史 ...

 

交差点での二段階右折は、直進してくる対向車を予想できずに右折して事故るケースが多発したために制定されました。

これも一つの要素にはなりますが、実はこれって「そこがメインの理由ではない」。
メインの理由って、速度が遅い自転車が道路中央に寄ることのリスク回避だったりします。

ウインカーもミラーもない自転車が進路変更時に後方確認することは期待しにくいし、手信号を片手で出すことは交差点付近ではあまり好ましくない事情まで考慮すれば、違う理由が見えてくる。

 

合図なし&ノールックでおじいちゃんの自転車が右折レーンに進行したら、危ないですしね。
T字路は全車両が右左折するわけだから徐行義務があるにしても、十字路とT字路で自転車の右折方法を変えたらややこしいだけだし。

横断歩道での一時停止義務

若干上の件とは意味合いが違いますが、横断歩道手前に停止車両があるときは、強制一時停止義務があります。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。

このルールは、「同一進行方向の停止車両があるとき」と解釈されるため、対向車の停止車両があるときは38条2項の義務はありません。
1項の義務(死角に歩行者がいるかいないかわからないため、事実上最徐行する義務)があるのは当然ですが。

これについて、「死角解消目的で一時停止義務があるのに、対向車の停止を除外するのはおかしいだろ!」という人がいます。
この規定が出来たのは昭和42年。
そもそも、「死角解消」は目的ではなく結果なんですね。
なぜ38条2項を新設する必要があったのでしょうか?
以下が38条2項を新設した理由。

もともと横断歩道の手前の側端から前に5m以内の部分においては、法令の規定もしくは警察官の命令により、または危険を防止するために一時停止する場合のほかは停止および駐車が禁止されている(第44条第3号)のであるから、交通整理の行われていない横断歩道の直前で車両等が停止しているのは、通常の場合は、第38条第1項の規定により歩行者の通行を妨げないようにするため一時停止しているものと考えてしかるべきである。
したがって、このような場合には、後方から来る車両等は、たとえ歩行者が見えなくとも注意して進行するのが当然であると考えられるにかかわらず
、現実には、歩行者を横断させるため横断歩道の直前で停止している車両等の側方を通過してその前方に出たため、その歩行者に衝突するという交通事故を起こす車両が少なくなかったのである。

 

警察学論集、浅野信二郎(警察庁交通企画課)、立花書房、1967年12月

横断歩道手前に停止している車両があれば、そもそも駐停車禁止エリアだし「横断歩行者のために一時停止中」だと理解すべき。

しかし空気を読めないドライバーが事故を起こしまくった。

本来であれば2項って「1項さえ遵守すれば無くても問題ない規定」
けどあまりにも空気読めないドライバーが多数いたし、どのみち横断歩行者がいれば一時停止義務があるのだから2項で一時停止義務を新設し「強制一時停止」に決めた。

 

対向車については「横断歩行者の有無は不明」だから「減速接近義務」だけで足りる。

そういう目的で新設したため、「同一進行方向の停止車両」と解釈されます。

 

もちろん、対向車の停止車両があるときに一時停止することは禁止されていないので、一時停止しても構いません。

理由は一つとは限らない

もちろん冒頭の件にしても、「不公平感ガー!」なんて雑な主張のみで歩車分離信号化を望むワケではないでしょうが、理由って一つとは限らないわけで、見方を変えると不公平感ではなく弱者保護目的と理解できる。
二段階右折にしても、懸念しているのは「対向直進車」がメインではないので、対向直進車を理由に「T字路での二段階右折義務を無くせ!」と主張したところで却下されるだけでしかない。

 

38条2項にしても、個人的には対向車の停止車両があるときも対象にしたほうがよい気がしますが、そもそもの立法趣旨は死角解消ではないわけで。

 

38条2項については、本来は無くても成立する。
横断歩道手前に停止車両があれば、「横断歩行者のために一時停止中」なんだと理解できるので、それに備えて最徐行接近するだけなので。
しかし、昭和30年代に空気を読めない方々が側方通過しまくり事故多発したために新設した。

 

なぜそのルールやシステムがあるのかをきちんと分析できないと、何かを変えようとするときに提案自体が的外れになるわけで、ルールやシステムが出来た経緯を多角的に検討することが大切かと。

 

見通しが悪い交差点での徐行義務にしても、

 

なぜ?見通しが悪い交差点で徐行義務がある理由。
一時停止って大切ですよね。 そもそも、一時停止とは「止まる」だけが義務ではない。 一時停止の意味 一時停止って「止まったか」だけの問題ではなくて、交差道路の進行妨害もしちゃいけないので、 (指定場所における一時停止) 第四十三条 車両等は、...

 

本来の趣旨は「一時不停止車両に備えて」ではなく、歩行者保護の意味合いが強い。
「優先権の明確化のため徐行義務を廃止すべき!」みたいな主張をしても、そもそも「そのルールの趣旨はそこがメインではない」としかならない。

 

他にもいろいろありますが、このような話をしだすとキリがないのでまた今度。
何かを変えようとするときに、そもそもの理由を分析できないと提案自体が的外れになるわけですが、行政側に何かを提案するときはどのような反論があるかまで想定して、先に潰しておくことが必要です。


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