ええと、こちらを読んでも理解できないのはさすがにいかがなものかと思いますが、
私のツイートが貼られてた。
動画だけで完全に判断できないのはその通りだが、動画から判断できることを論じても問題ないでしょう。
裁判をしているわけではないから。異論があるならツイッターで反論すればいいのに。https://t.co/rzm7x9fza1
— 永田 啓一【永田式英語の本、KADOKAWAより発売中!】 (@nagata_k1) April 12, 2023
✕ 「完全に判断できない」
○ 「優先については全く判断できない」
この方は「優先」と「事故回避義務」を混同している。
34条6項(合図車妨害)が適用されるか、26条の2第2項(進路変更妨害)が適用されるかについては、先行左折車が合図を出したタイミング、合図を出したときに停止していたか、合図を出したときの原付の距離と速度がわからない限りは判断不可能。
さて、こちら。
原付のオバハンまじ危なすぎる
まじ後ろから見ててヒヤッとした pic.twitter.com/6OdiYE2yl5— ジョー(尼) (@4DX4ojQLuEW1waQ) April 5, 2023
いつ合図を出したのかわからないので可能性は2つ。
動画をみてもどちらが「優先」なのかは判断できるはずはなく、①と②の可能性があることを理解していないという話。
「自動車の運転上必要な注意」として、仮に左折車優先の場面で後続2輪車が優先侵害してきたとしても、回避可能な事故ならば回避する義務があるのは当然。
優先侵害されたら優先が逆転するわけもないでしょ。
優先侵害したら優先権を得るという恐ろしい考えなのでしょうか?
それが認められるなら、みんなやりたい放題になりますが。
「優先」の話と「事故回避義務」を区別出来てないのですよ。
デカイ奴と小さい奴がぶつかれば小さい奴がしぬ仕組みなんだから、デカイ奴のほうに事故回避義務や注意義務が大きいのは当たり前の話ですが、「優先」とは別の概念なのね。
なお、Twitterはやらない主義なので、こちらはこちらとして「間違っていること」を正しい解釈として広めるだけですよ。
この件、判例などかなり広く検討しない限り説明できないわけで、文字数制限があるTwitterでは正常な解説は不可能。
しかし、いろいろ説明しても理解できない方がいるとなると、ちょっと厳しいです。
動画ではどちらが優先なのか判断できませんが、仮に左折車優先とされる場合であったとしても、優先侵害がないか確認する義務は最高裁判所も認めていること。
その確認作業が高度な確認なのか、ミラーによる確認なのかの違い。
なぜ一見して矛盾するかのような最高裁判例があるのか理解してないのではないでしょうか。?
本件のように、技術的に道路左端に寄つて進行することが困難なため、他の車両が自己の車両と道路左端との中間に入りこむおそれがある場合にも、道路交通法規所定の左折の合図をし、かつ、できる限り道路の左側に寄つて徐行をし、更に後写鏡を見て後続車両の有無を確認したうえ左折を開始すれば足り、それ以上に、たとえば、車両の右側にある運転席を離れて車体の左側に寄り、その側窓から首を出す等して左後方のいわゆる死角にある他車両の有無を確認するまでの義務があるとは解せられない
昭和45年3月31日 最高裁判所第三小法廷
被告人は、普通貨物自動車を運転し、幅員9.3mの道路を時速約35キロメートルで進行し、交通整理の行われていない交差点を左折しようとし、その手前約30mの地点で車内鏡によつて後方を確認したところ、左斜後方約20mの地点を追尾して来る自動二輪車を発見したので、同交差点の手前約22m付近で左折の合図をして車道左側端から約1.7mの間隔をおいて徐行し、同交差点入口付近において時速約10キロメートルで左折を開始した直後、被告人車の左側を直進して来た右の後進車に接触させ、事故を起したというのであり、また被告人が発見した際の同車の時速は約55キロメートルであつたというのである。原判決は、右の事実を前提とし、被告人が左斜後方に後進車のあることを発見したときの両車の進路、間隔及び速度等を考慮するときは、被告人車が前記のように左方に進路を変更すると後進車の進路を塞ぎ同車との衝突は避けられない関係にあつたことが明らかであるから、被告人車は従来の進路を変更してはならない場合にあたり、また、車道左端から約1.7mの間隔があり、かつ、前記のような進路を高速で被告人車を追い抜く可能性のある後進車のあることを認めた被告人としては、左折の合図をしただけでは足りず、後進車の動静に十分注意し、追い抜きを待つて道路左側に寄るなどの業務上の注意義務があるのに、被告人は右の注意義務を怠り、後進車の動静に注意を払うことなく左折を開始し、そのため本件衝突事故を惹起したものである、と判断しているのである。
すなわち本件は、道交法26条2項が優先的に適用される場合であつて、自車の進路を左側に変更して後進車の進路を妨害することは許されないものといわざるをえない(現行の道交法34条5項参照)。そうとすれば、前記のような状況下で後進車の動静に注意を払うことなく左折を開始した被告人に注意義務の違反のあることは明らかである。原判決の前記判断は、これと同旨であつて、正当というべきである。
昭和49年4月6日 最高裁判所第二小法廷
※「現行の34条5項」とは今の6項。
ではあらためてまとめますが、
間違った道路交通法を広めるの、やめてもらいたいのですよ。
上手く貼れてなかったので再掲載。
優先関係と誤解。なぜ判断できるのやら。 | ロードバイクが欲しい!初心者向けナビ (https://t.co/rzm7x9fza1)
— 永田 啓一【永田式英語の本、KADOKAWAより発売中!】 (@nagata_k1) April 12, 2023
この動画から「優先」を読み取れるなんて、あり得ない話です。
「注意義務の大小」と「優先権がどちらにあるか」を分けて考えることができないのかな。
単に「注意義務としてデカイ左折車が大きいのだから気をつけろ」ならわかりますが、「直進優先」などと「判断不可能なこと」を広めるのなら間違いだと指摘するのみ。
優先がどちらにあるかなんて、道路交通法を理解すればこの動画から読み取れませんから。
下記なんて「この方の推測以外の要素」を排除できる材料もないのに、メチャクチャです。
・トレーラー前方に車がいないこと
・原付の制限速度が30km/h、かつ、おばちゃんが制限速度を守って走行していることを考慮すれば、トレーラーがウインカーを出した段階で、原付がトレーラーの後方直近あたりにいたことは推測できる。
もちろん、推測であって証拠にはならないが。
— 永田 啓一【永田式英語の本、KADOKAWAより発売中!】 (@nagata_k1) April 12, 2023
「このトレーラーの前方に車両がいない」ことが、「いつ合図を出したのか」の推測になるはずもない。
原付との距離についても推測できるものが何一つない。
左折しようとして徐行している段階で、2輪車が何台も左から追い抜きしてきた可能性はどうやって排除できます?
原付のオバハンまじ危なすぎる
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②合図を出したときに停止していたか、動いていたか?
③合図を出したときの原付との距離、速度
これらがわからない以上、「優先」について判断できる要素がないし、推測という名の「不確実性」で「直進優先」だと言い切る姿勢を問題にしているの。
目に見えない「推測」で優先だと決めつけるのは、通常あり得ません。
わからないものは「わからない」と評価するべきであり、決めつけることは厳に慎むべきこと。
排除できない可能性を認めているのに、「直進優先」だと言い切る姿勢を問題にしているのであって、「裁判しているわけではない」などと弁解しだしても。
なぜ「わからない」ものを「わからない」と評価せず決めつけるのか意味がわかりません。
判断しようがないものは「わからない」でしかなく、その上で注意義務の大小はどちらなのか一般論でしか語れないのよ。
2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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