ちょっと前になりますが、こちらの質問を頂きました。

こういう意味かと思いますが。
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基本的には問題なし
おそらく「交差点手前30mの追い越し禁止」の話かと思われますが、
第三十条 車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
三 交差点(当該車両が第三十六条第二項に規定する優先道路を通行している場合における当該優先道路にある交差点を除く。)、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分
追い越しの定義はこちら。
「追い付く」とは、走行中の前車に接近するという意味です。
停止中の先行車は障害物扱いなので、そもそも「追い越し」には該当せず、これが違反になるわけではありません。
第二通行帯を通過するのも、20条3項でいう「道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」に該当するので問題はありませんが、優先権は第二通行帯を直進しようとする後続車にあるため、26条の2第2項の優先妨害にならないようにしなければなりません。
第二十六条の二
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
なお個人的には、明らかに後続車がいない場合は別として、
をオススメしてます。
理由ですが、まずは右から追い抜きする際に後続車との危険があること。
もう1つは、後続車の左折巻き込み対策です。
後続左折車が豪快に巻き込んでくることがあるので。
合図車妨害の件
先日のこちら。

基本的には先行車が適法に左折動作に入った場合には、後続車は合図車妨害(34条6項)になりうるので、減速、停止などをする必要がありますが、一定の条件下では後続2輪車が優先になります。
どうもこの件、1つの判例だけを見て「左側追い抜きは合法」と考える人もいるみたいですが、正確には「合法の場合もあるし、違反にもなりうる」。
たぶん34条6項の意味を理解してないから解釈を間違う原因になると思いますが、
1つの判例だけ見ても意味を理解できないので、挙げた判例を全て統合して考えることが大事。
判例 | 後続車との距離 | 後続車の速度 | 優先 |
最高裁判所S46.6.25 | 少なくとも60m手前で自転車を追い抜き | 左折車 | |
最高裁判所S45.3.31 | 左側のすぐ後に停止 | 先行左折車が赤信号で停止直後に発進 | 左折車 |
大阪高裁S50.11.13 | 14m | 30キロ | 左折車 |
旭川地裁S44.10.9 | 20m以上 | 自転車 | 左折車 |
東京高裁S46.2.8 | 至近距離 | 後続2輪車 | |
最高裁判所S49.4.6 | 20m | 55キロ | 後続2輪車 |
東京高裁 S50.10.8 | 30mかそれ以下 | 45キロ | 後続2輪車(ただし道路外左折事例) |
福岡高裁宮崎支部S47.12.12 | 4、5m | 30キロ | 後続2輪車 |
※福岡高裁宮崎支部S47.12.12については、左側端寄せが不十分だった普通乗用車のため、34条6項を排除。そのほかは大型車の判例で「できる限り左側端寄せ」を満たしたもの。

2011年頃からクロスバイクやロードバイクにはまった男子です。今乗っているのはLOOK765。
ひょんなことから訴訟を経験し(本人訴訟)、法律の勉強をする中で道路交通法にやたら詳しくなりました。なので自転車と関係がない道路交通法の解説もしています。なるべく判例や解説書などの見解を取り上げるようにしてます。
現在はちょっと体調不良につき、自転車はお休み中。本当は輪行が好きなのですが。ロードバイクのみならずツーリングバイクにも興味あり。
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